サステイナビリティ と
(Sustainability)
サステイナブル・ディベロップメント


提言

1.循環型社会とか持続可能社会という呼び方は不適切なので、
  サステイナブル社会という名称に変更しよう。

2.サステイナビリティとは、社会、経済、環境のそれぞれの領域が
  相互に影響しあう関係にあるという重要な点と共に
  長期的な視点(未来世代の利益を考慮)から判断した
  社会(文化)、経済、環境の健全さや活力である。


下記は、勉強会のまとめです。

太郎「循環型社会とか、持続可能社会という言葉はよく聞くけど、
    サステイナブル社会とは聞いたこと無いなあ。
    なぜ、オールターナティブズでは、サステイナブル社会という言葉を
    使っているの?」

花子「まず、循環型社会だけど、誤解をうけやすい言葉だと思うわ。」

太郎
「なんで?」

花子「循環型社会では、リサイクルさえすれば、
   消費エネルギーや消費物質の総量が継続的に増えても構わないという風に
   とれるわ。要するに、大量生産、大量消費、大量リサイクルという図式が
   なりたつわけ。

太郎
「それなら、根本的には、今までの大量生産、大量消費、大量廃棄と
   根本的に変わらないじゃない。 だから、政府も安心して循環型社会を
   創ろうと躍起になっているわけか!それじゃ、持続可能社会は?」

花子「持続可能という言葉は、持続さえ可能であればいいという風にとられがちで、
   これから説明する社会、経済、環境のそれぞれの相互作用の重要点や
   未来世代の利益を考慮する重要性を表していない言葉だから、
   持続可能な社会という言葉は、もうひとつピーンとこないでしょ。」

太郎 「サステイナブル社会も何の意味か、さっぱりわからないけどなあ。」

花子「さっぱりわからないから、かえっていいと思うわ。
   わからないから、聞くでしょ、そのときに何なのかを説明すればいいのよ・・・」
    
太郎
「じゃ、説明してよ。」

花子「例えば、地域の健全性を測る古くからのものさしとして、失業率があるわ。
   だけど、失業率が 例えば5%というのは、
   地域の構成要素の三つの領域である経済、社会、環境のうちの
   経済の領域の変化を示しているのにすぎないわ。」

太郎「それが、何で問題なの?」

花子「そうすると、ある一つの問題を3つの領域にそれぞれ関連させないで、
   別々の独立した個々の領域の問題として、それぞれの領域内で考えることになるわ。
   言いかえると、経済関係の部署は、経済問題だけを考え、
   社会関係の部署は、住宅や福祉健康だけを考え、
   環境関係部署は、公害の予防や改善だけを考えようとするわ。」

太郎
「それで、いいんじゃないの。現実に、今の市の行政はそうなっているよ。」

花子「太郎くんの言う事もわかるけど、今みたいな切り分けたアプローチだと、
   ひとつの問題を解決しても、それがまた別の問題を引き起こす結果になりうるわけ。
   それに、このアプローチだと反対グループを作りやすいのよ。」

太郎「どういうこと?」

花子「例えば、環境保護派は、経済成長は、もうこれ以上いらないと主張し、
   経済成長推進派は、環境保護のために、経済成長が犠牲になるじゃないかと
   反対するわけ。」

太郎「よくある話だね。」

花子「それに加えて、切り分けアプローチは、どうしても長期的な結果を
   モニタリングせずに、短期的な利益に焦点をあてがちになるわ。
   代表的な例として、戦後の殺虫剤、DDTの導入があるわ。」

太郎「DDTなんて、僕達知らないよ。」

花子「太郎君、たまには環境関連の本も読んでね。有名なレイチェル・
   カールソンの「沈黙の春」にも出てくるんだけど。。。安くて、
   非常に効果があったらしいわ。でも、長期的にみると、
   残留性が高く、人の健康や環境に悪影響があって、
   今では、ほとんどの国では、その使用が禁止されているわ。」

太郎「それじゃ、一部分共有アプローチは?」

花子「三つの領域が重なり合っている事を指摘している点ではそれなりに
   評価できるでしょうね。」

太郎「ずっと気になっているんだけど、三つが相互に関係するってとこが、
   いまいち僕には解り難いんだけど?」

花子「例えば、経済と社会(教育)の関係で言えば、ある地域で、
   職を探している人達の技能や才能にあった職がどれくらい
   その地域にあるのか。」

太郎「そうゆうことか。関係は解ったけれど、今度はその関係の程度が解らないなあ!」

花子「その関係の程度を適切に示してる絵は三要素が重なり合った絵だわ。」

太郎「どうゆうふうに重なり合っているの?」

花子「親亀の背中に子亀が乗り、その背中に孫亀が乗ったようなもの。
   その親亀が環境、子亀が社会、孫亀が経済なのよ。このように
   経済は社会のなかに在るのよ。何故なら、人間が係わる
   経済の全ては、人々の相互作用を必要とするからなの。一方、
   社会を構成する要素は、経済だけでなく、友達、家族、美術、音楽、宗教、
   倫理などなの。それに経済以外のそれらの構成要素は製品やサービスの交換行為
   すなわち経済行為に一義的に基づくものではないからなの。」

太郎「それじゃ。なぜ社会全体が環境の中に含まれるの?」

花子「私達が必要不可欠としている家、交通、製品を作るための
   エネルギーや原材料が自然環境から生まれるものでしょ。
   同じように、私達が基本的に必要としているもの(空気、食物、水)は
   自然環境から生まれるでしょ。」

太郎「とゆうことは、一番外側は環境だね。 確かに、この亀たちの位置は僕達全てが
   依存している自然環境を破壊すれば経済や社会がなりたっていかない
   事を良く表しているね。」

花子「重要なことは、自然環境、社会、人工物(インフラや情報)の
   それぞれのシステムに関してそれぞれの大きさに制限があるって事なの。」

太郎「そうでなきゃ、大きさの違う亀のような関係を続けることが出来ないよね。」

花子「要するに、サステイナブルかどうかを判断するには、資源を再生できる
   スピードより早く消費してないかどうかとか、
   社会、人的資本を大きくする努力しているかどうかって事で、
   判断すれば解るって事。

   サステイナブルかどうか、即ちサステイナビリティは
   全ての地域にとっては非常に重要な問題なの。」

太郎「そのサステイナビリティ て背中をさする能力のこと?」

花子「うーん! おもしろい 駄洒落ね。
   海外ではいろんな団体が、少しづつ違う定義づけをしているわ。」

太郎「じゃ、例をあげてみて。」

花子「まず、Sustainable Seattleでは、サステイナビリティとは、
   社会、経済、環境のそれぞれの健全さは、
   相互に影響しあう関係にあるという重要なことと 共に
   長期的な視野からみた文化、経済、環境の健全さや活力である
   という定義をしているわ。

   Friends of Earth Schotlandでは、サステイナビリティとは、
   地球が無限に供給できるものだけを利用するという
   単純な明快な原則を含んでいる。
   それゆえ、我々が享受している状態と同様に
   未来の世代も それらを享受できるようにすることである。

太郎
「要するに、未来の世代のことも考えて、環境、社会、経済のつながりを
   認識しながら、問題に対処することなんだね。」

花子「なかなか、いい要約ね。」

太郎 「でも、個人的には未来の世代のことなんて、どうでもいいよ。
    ただし、自分の子や孫は気になるけどね。」

花子「太郎くんって、正直なのね。でも、良く考えてみると、
   ちょっと道徳の先生みたいだけど
   人間というのは、人の間と書くし、
   少なくとも孤立しては楽しくは生きてはいけないわ。
   一人でも多くの人が、楽しいと感じる社会の方がいいと思わない?」

太郎「まあ、花子さんの言うのは、正論だね。
   ところで、サステイナブル社会では、
   ずっと経済が成長し続けることができるの?」

花子「ずっと成長し続けることは、できないけど、
   発展し続けることはできるわ。」

太郎「それって、どうゆうこと?成長と発展は 同じ意味なんじゃないの?」

花子「それは、違うのよ。
   例えば、人間でいえば、生まれてから18歳くらいごろまで
   体は成長するでしょ。その後は、体は 実質的には成長しないけど、
   (太ったり、やせたりはするかもしれないけど)、
   新しい趣味を持ったり、新しい友人ができたり、
   知らないところに行ったりして、知識や経験をつけ、
   発展はすることはできるわけ。


太郎
「それは、そうだけど、サステイナブル社会という枠組みの中では、
   どう言うことになるの?」

花子「ある時点で拡大成長が止まるの。
   でも、全住民の生活の質を高める方向にむかって変化することで
   より良い社会に発展し続けることが出来るの。 」

太郎 「ふーん・・・。」

花子「要するに、徐々に社会や環境を悪化させずに、経済を改善することなの。
   言いかえると、サステイナブル・ディベロップメントは、
   私達の消費するエネルギーや物質の量を継続的に増加させずに、
   私達の生活の質を改善することに焦点をあてているの。」

太郎「という事は、現在の日本は、サステイナブル社会じゃないってことかな?」

花子「そうゆうことになるわね。もし、このままの消費パターンや生産パターンが続くと、
   私達の未来の世代は、私達の現在の生活の質より劣った、より汚染された社会に
   住むことになるからよ。」

太郎「それじゃ、サステイナブル社会の発展って、どんな発展のことを言うの?」

花子「常に経済、環境、社会の それぞれの繋がりを強固なものに
   することによって、社会をより住み良いように変えていく方法をみつけることなの。
   だから、サステイナブル社会の発展というのは、
   むやみやたらに無制限に大きく成長するのではなく、
   その社会が現在、持っている自然資本、人的社会資本、今在るインフラを
   最大限に活用することで、発展することなの。」

太郎「なんか、ユートピアみたいだね。」

花子「ユートピアじゃないわ。何も悪いことは、おこらないで、
   倒産がありえない、飢餓がない、環境汚染がありえない
   そんな社会でもないの。」

太郎「じゃ、問題がおきるんだね。そしたら、どうするの?」

花子「もしも、問題がおきたら、サステイナビリティ・アプローチをとるの。
   即ち、その地域の社会面、経済面、環境面の
   どれかひとつだけを考慮にいれて、早急に問題解決するのではなく、
   それら3つの要素を考慮にいれた総合的な視点で、未来世代の利益を
   考慮しながら問題解決を図るの。」

太郎「サステイナビリティとはなにか 良くわかったよ」

Alternatives


K. Nihei  7/18/2000