オルトさんの Has His Say

サステイナビリティというのがわかりにくいという読者からの指摘に答えて、
このコーナーでは日々のニュースをサステイナビリティの視点からコメントしていきたいと思います。


第5回 イラク危機
今回の米国のイラクへの武装解除要求(イラク攻撃)理由は正当化できないし、確証が取れていない
ものであるにも関わらず、ブッシュ政権は この戦争を強行に推し進めようとしています。 もし、この戦争が
強行されれば、後の世界各国で、正当性がなくても戦争を仕掛けられるという悪例を作ることになります。
その結果、インドとパキスタンや中国と台湾との間の緊張が戦争に発展し易くなります。

政治屋ブッシュを強力にささえる支持基盤は、南部(主にテキサス州)のキリスト教原理主義者たちです。
3月2日サンデープロジェクトによると、このキリスト教原理主義者に属する人は米国有権者の10%強はいるということです。

このことで思い出されるのは、1970年代から現在でも世界2大対立としてイスラム教VSキリスト教の
宗教対立が存在するとイスラム圏のバックグラウンドを持つ大学教授が言っていたことです。

この指摘は、宗教観の乏しい日本人にとっては、とても理解しにくいことであり、また
冷戦構造という日本人には理解しやすいという理由が、その宗教対立が存在するとの認識を弱めてきました。
冷戦が終わり、それまであまり世界的に表面化しなかった宗教対立がグローバリズムの進展により、
より鮮明になりだしました。

すなわち、世界規模での経済格差の拡大につれてイスラム勢力圏が拡大し、イスラム圏においては原理主義の台頭。
米国では、それまでの中絶論争にみられるカソリック教徒とプロテスタント教徒との小競り合いから、
世界経済競争を推し進めた結果、白人ブルーワーカーが勤めることができる給料の良い職場が減り、また
皮肉にも比較的裕福であった一部の白人ホワイトカラー層が凋落し、不満が鬱積しキリスト教原理主義の
台頭を許す土壌ができました。そこに9・11テロが起こり、その恐怖を全アメリカ人が共有するようになって、
キリスト教原理主義を積極的あるいは消極的に支持するようになりました。

この泥沼の状態を抜け出すには、グローバリズムに対する対抗策を講じると共に、多神教を許容する
仏教国の仲裁が必要になってきています。日本の仏教会の役割が問われています。
(3/2/2003)
オルトさん