オルトさんの Has His Say

サステイナビリティというのがわかりにくいという読者からの指摘に答えて、
このコーナーでは日々のニュースをサステイナビリティの視点からコメントしていきたいと思います。


第16回 プロ野球再編問題が日本新聞業界の閉鎖性打破につながるか?

なぜ、読売ジャイアンツの元オーナー渡辺常雄氏が
もと検事総長および公正取引委員会委員長経験者
である根来氏をコミッショナーにすえたか?

以下のような背景が考えられます。

現在、読売新聞は 世界1販売数の日刊紙
(1000万部)ちなみに米国ワシントンポスト紙は
わずか100万部未満です。
この読売新聞の圧倒的な地位は、読売新聞自体の
記事の質ではなく、(他社の新聞を取り扱わないという)
専門店による宅配制度があるからです。

10年以上前に この宅配制度は、米国から
(新規参入業者に障壁となる)独占禁止法違反
ではないかとクレームがつきました。
しかし、読売新聞は必死になってこの問題が
大きくなることを食い止めました。
渡辺氏は、このことを蒸し返されるのが一番怖いので、
公正取引委員会に影響力を持つ根来氏を
コミッショナーにすえました。

野球協約によると 日本のコミッショナーは
絶大な権力を有しているのにもかかわらず、
法律のプロのはずである根来氏は、自分は口を
はさむ権利がないのだと嘯いて逃げていました。
今回も自分の立場の形勢が悪くなってきて、
傷つくのが怖いので、辞任というかたちで
敵前逃亡をはかったのです。

逃亡先は消費者機構日本です。 消費者団体が
消費者に代わって訴訟を起こすことができる「団体訴権」が
日本で制度化されるのに備え、日生協を含む3つの
「消費者団体」がこの機構を設立しました。 この機構は
業者への警告や訴訟を実行する受け皿として
誕生しましたが、きっと気に入らない企業だけに
警告や訴訟を行う機構になるでしょう。

したがって以上の背景から、渡辺氏は、新参者、
特に宅配制度の影響が及ばないメディアである
インターネット新聞の出現に脅威を感じています。
ゆえにIT業界からの参入は可能な限り阻止したいと
考えているのではないでしょうか。
(9/20/2004)

オルトさん