オルトさんの Has His Say

サステイナビリティというのがわかりにくいという読者からの指摘に答えて、
このコーナーでは日々のニュースをサステイナビリティの視点からコメントしていきたいと思います。


第13回 政権交代

日本は、明治の改革でイギリスの議会制民主主義をとりいれました。
そして、軍部の台頭により戦時中 中断されていた議会制民主主義を
復活させ 戦後、新しい憲法のもと「議会制民主義政治」が行なわれています。
しかしながら、戦後、実質的には ほぼ1党独裁(すなわち自由民主党)が
続いています。

この状況は、議会制民主主義先進国から見ると奇異にうつります。
というのは、民主主義が正常に機能していれば、政権交代が行なわれるのが
当然のことだからです。

2年前に発足した小泉政権は、ずっと構造改革をかかげています。
また、マスコミは その構造改革が実現可能なような論調を貫いてきました。

万が一、自民党政権が これからも与党として実権をとりながら、構造改革
をなしとげたら(そんなことはありえないことですが)、野党の存在意義がなくなり
議会制民主主義そのものの否定につながります。

このような矛盾点をマスコミは指摘することなく、また 脳梗塞状態におちいっている
自民党主流派と呼ばれる議員たちは、構造改革を声高にとなえています。

民主主義が正常に機能している国で真の構造改革は、政権の交代なしには
実現することはできないのです。

こういったわけの分からない事態になった、一つの大きな理由は、自民党の党の
「綱領」が大雑把、不明瞭で何でもありだからです。

通常は党の「綱領」が定期的に見直されるのですが、自民党の「綱領」は、大雑把、
不明瞭だからそんなに見直しの必要はありません。ちゃんと見直せば寝た子を起こし
かねないので、ちゃんと見直してこなかったのです。

平成7年に見直されますが、昭和30年の綱領で福祉国家を目指すとしていながら
平成7年の新綱領では「小さな政府」をめざすに180度転換し、あいもかわらず
口当たりのよいスローガンの羅列をしてるだけです。自民党から「なんでもあり党」に
改名してもらいたいものです。

こんな事実があるにもかかわらず、この重要な自民党の欠陥をマスコミは指摘してき
ませんでした。結果的に、自民党は場当たり的な国民受けする政策を打ち出すことが
出来たのです。ある時は大きな政府を目指す政策を打ち立て、ある時は小さい政府を
目指す政策を打ち立ててきたのです。

そして この結果、自民党は野党の要素を内包できることが可能の「なんでもOK政党」に
成り下がってしまいました。 このことが、自民党がどのような「改革」もできるかのような
妄想をいだかせる結果となり、野党の政策との違いがわからなくなった最大の原因です。

(7/26/2003)

オルトさん