8月2日は「パンツの日」



「やっとお仕事終わったのに、お部屋が暑ぅい!」

 使用人部屋に戻ってきたエミーが窓を開け放つと、籠もった空気がさあっと流れ出ていった。
 ふぅ、とため息をついて、夕宵から暮れてゆく部屋を見渡すと、同室のメイド、ソニックが部屋干ししている洗濯ものも揺れているのが見えた。
 エミーはあまり洗濯ものを出さないのだが(夜は裸族なので)、執事頭のシャドウとデキちゃってるソニックは一日1,2枚のパンツを洗濯している、ようだ。
 えっちい話が好きなわりに実経験が無いエミーには、何故何度もパンツを洗濯するのか理由がイマイチ掴めない。

「でも…ソニックのパンツって」

 かーわいいのよねー!
 子供っぽいのだ。
 最近、メイドのお給金ですてきなレースを買ったというのに、それを縫いつけたパンツは、アンダースコートみたいになっちゃってる。
 部屋を抜ける風に揺れるソニックのパンツを良く見れば、縫いつけた糸の処理もあまり上手じゃなくて。
 ソニックが上手にできるメイド仕事は「ご主人様に紅茶を淹れて差し上げること」だけだから、しょうがないといえばしょうがないのだが。

「…そうだ!わたしが縫い直そうかしら!」

 同室で、一緒にメイド仕事を終えたはずのソニックは、今夜もシャドウの部屋でイチャイチャしてから戻ってくるに違いない。
 針仕事が得意なエミーに、時間はタップリある。
 いつもはひとつしか使わないランプを、今夜はふたつ手元に集めて、エミーはウキウキと裁縫箱を持ち出した。





 パタパタと廊下に軽い足音が響いて、それからそおぉぉーっとメイド部屋のドアが開く。
 いつもはエミーが先に眠ってしまっているので、起こさないように慎重に部屋に入るのだが、今夜はまだ部屋が明るかった。

「あれ?まだ起きてたんだ」
「おかえり、ソニック!ちょうど終わったわ!」
「針仕事してたのか。なになに?何を作ってたんだ?」

 エミーの針仕事はとても上手で、端切れでマスコットや小物入れを作ってしまうのがまるで魔法のようで、ソニックは大好きだった。
 今夜、エミーの手の中にあるのは、白い小さなカタマリだった。

「ん?なんだ、コレ?」
「見覚えなーい?」
「…? ……ん? …レース」
「そう。ソニックのパンツ!」

 そう言ってエミーが指に引っかけて開いたのは、レースで飾られた小さな布…だが。
 ハッキリ言って原型をまったく留めていない。
 なにこれこのヒモ!である。

「Tバックなんだけどね、縦にレースをいっぱい縫い込んだから、ほら、すっごくカワイイでしょ!」
「え?…ええ!?」
「ねえ、穿いてみてソニック!後ろのリングにしっぽをいれて、サイドはリボン結びしてね」
「ちょ、Wait! Wait!!!」

 エミーが楽しそうにソニックのスカートをめくる。さっきまでシャドウに触れられていたことを思ってソニックの頬が真っ赤に染まるけれど、エミーはそんなことお構いなし。
 パンツまで脱がされそうになって慌てて本気で制止する。

「わ、わかった!わかったから!エミーのパンツ穿くから!ぬ、脱がすなあ!」
「イエーイ☆ はいコレ!手伝ってあげようか?」
「う、ひとりでがんばるから、ちょっと、後ろ向いてて…」
「オッケー♪」

 エミーが後ろを向いた。その背中にわくわく!って書いてあるようだった。
 ソニックが小さくため息を落として、今穿いているパンツを下ろす。
 シャドウの部屋でシャワーを浴びさせてもらったので、あまり汚れてないようだった。(それでも今夜洗濯するけど)
 エミーから渡されたヒモのカタマリから輪っかを見つけてそれをしっぽに通す。しっぽからフワフワのレースがお尻の谷間をくすぐるのを気にしながら、小さな当て布で秘所を隠す。さらにフワフワしたレースがかわいい三角形を作っていて、きれいにパイピングされたリボンが両サイドに伸びてる。
 しっぽの輪っかから伸びてるリボンとサイドを結ぶと…

「あ…かわいい」
「穿いた?」
「うん」
「見ていい?」

 ちょっと迷ったが、作った(作り直してくれた)のはエミーだし、女の子なら構わないかと思って「いいぜ」と答えた。
 スカートを下ろして、エミーの前を勢いよくくるりと回る。
 ふわっと裾が高く舞い上がり、白いレースで覆われたソニックのお尻が、エミーにもチラリと見えた。

「きゃああ!!かわいい!ソニックすてきー!」
「へへっ!ちょっと見えすぎだけど、コレもアリだよなあ♪」
「そうよねそうよね!」

 エミーはニコニコ笑うと、ソニックの背を抱いて部屋の外へ出そうとする。

「おいおい、もう就寝しなくちゃ」
「今夜は執事頭のところで寝ちゃいなさいよ。メイド頭のルージュには黙っててあげるから♪」
「そ、そんな!コレをシャドウに見せるのか!?」

 ドアの外まで押し出されたソニックに、エミーはヒラヒラと手を振った。
 ソニックはちょっとだけ考える。
 夜は遅いけど…シャドウならこのパンツを見てどんな反応をするのかを見てみたかった。

「わかった。行ってくる!」
「行ってらっしゃい!勝負パンツ!」

 扉を閉めて、ソニックのパタパタという足音が遠ざかるのを聞いて、エミーもワクワクしてしまう。
 明日、あのカタブツ執事頭がどんな顔をしているのか考えるだけで、今夜はいい夢を見られそうだった。





おしまーいw







.



ソニックの落とし物(脱いだままのパンツ)は、またエミーに改造されてしまうのですよwww

もどる