めーめーさんとご子息様



 ご子息様は頬を赤く染めながら、酷く迷ったように話し始めた。

「皇女の…ブレイズのことなんだけど」

 余程誰にも聞かれたくないのだろう。恥ずかしいのかもしれない。
 ソニックとふたりきりになると、部屋のカギを締め、窓にも厚いカーテンを引いて。部屋は真っ暗というほどでもなく、秘密基地めいた印象になる。
 やっぱりそのことか、とソニックは思う。先日の夜会で、皇女と何かあったのだろう。
 …というか、皇女が何か仕掛けたのかも。

「普通に話してたんだけど…オレもブレイズも、そしたら」

 ご子息様の顔が、つい、と近寄って、ソニックの唇と拳ひとつ分くらいで止まった。互いの呼吸がかかるほど。

「皇女が…この距離でさ、ふわっと笑って、薄目になったら、やっぱり期待されてたのかなあ…」
「シルバー、お前皇女にキスしなかったのか?」
「しなかった」
「なんで!?」
「だって、どーすればいいのかわからなかったし!」

 ソニックはガックリと項垂れてため息をついた。
 ご子息様は大変な奥手だ。
 まあ、それがいいって言えばいいんだけど。

「不甲斐ないか、オレって」
「いや、そんなことない。皇女は導いてやる気満々だろう、きっと」
「なんだよそれ…」
「あー、こっちのこと」

 ブレイズがご子息様のことを気に入ってるのは確かだし、貴族でのドロドロした恋愛関係に厭いているなら、新鮮な空気を望むだろう。
 子供扱いされていると思ってむくれているご子息様も、そのままにしておくのが一番いいのだけれど。

「で? この部屋に閉じこもったのは、オレをkissの練習台にしようってことか?」
「うっ…!!!!! ご、ごめん! 嫌ならいい」
「他に相談できそうなヤツっていないもんなあ」

 普段の執事ver.のシャドウに色恋事の相談って雰囲気じゃないし、ルージュは余計な知識まで植えてしまいそうだし、エミーは…なんだか怖い。他の使用人ではもっと話し難い。
 消去法でもソニックが適任なわけで。
 確かご子息様のご両親は数年前に亡くなっていて、スキンシップも慣れていないのだ。
 でも、どうしようか。ご子息様の命令だといえば、シャドウは許してくれるだろうか。

「…アンタ前に、ナックルズとキスしてただろ? あんな風にすればいいのか!?」
「アレは思いっきりディープだったじゃないか! ささっと、やればいいんだよ」
「わかんねーよ! じゃあ、こう?」

 ご子息様がソニックの唇に唇をぶつけた。勢いよく。互いに硬い感触があって、すぐに離れた。

「いてえ!」
「シルバー、違う〜! 触れるくらいにしてくれよ! って大丈夫か? 歯で口の中切ってないか?」
「…へ、平気。アンタは?」
「No Problem. もう、しょうがないな。付き合ってやるよ」
「いいのか?」
「その代わり! オレのことを皇女だと思って練習すること。間違えるなよ、シルバーの好きな人はブレイズだろう?」
「うん、…わかった」
「じゃあやってみろ。そーだな…最初はほっぺたにチュってして」

 ソニックが目を閉じないまま様子を窺ってるので、ご子息様の緊張は変な方向に高まっている。
 やらなくちゃ、と思うと、つい唇がツンと尖ってくる。

「ふっ、普通の顔で! 普通に喋りながらでいいから、やれよ!」
「喋りながら!?」
「そう! 当てるくらいでいいんだ」

 ご子息様の唇が、やっと軽く頬に当たった。ソニックは小さな子を褒めるように笑う。

「うん、それでいい。続けて、瞼とか鼻先とか耳元とか、して」
「顔中ってことか?鼻先って、鼻はパクっとしちゃダメなんだな?」
「パクっとしたら半殺し!ってことはないけど、あんまり嬉しくないな」

 ソニックの答えについクスクスと笑ってしまいながら、ご子息様が瞼の上にキスをした。そのまま、もう一度頬の方へ降りてくる。

「そんじゃ、そろそろ唇に」

 そう言うと、ご子息様とちゃんとしたキスができた。
 マナーだから、目を閉じたが、同時にソニックの胸がちくりと痛んだ。
 …触れているだけのキスが数十秒続き、ご子息様の様子がおかしいことに気づく。

「呼吸は鼻でしろ!」
「ぷ、はあ! そうか、鼻でするのか!」
「息止めてた? ディープキスの時も鼻で呼吸するんだぜ?」
「…してもいい、か?」
「え」

 ちゃんとした返事を待たずに、ご子息様が舌先でソニックの唇を撫でた。拒絶していなかったのでそれはすんなり中に入ってくる。
 そのキスには、好き、という感情よりも、やってみたい、どうすればいいのかその方法を確かめているような雰囲気だった。
 やっぱりしょうがないな、そう思いながら、ソニックの舌も応えてやる。

「…ん、……ぁん…」

 温い体温が混ざり合う口内で、柔らかな急所に触れ合って。
 教えれば教える分だけ上手くなるのは、ダンスの時も同じだった。
 キスも、女性の扱い方も、こうすればいいよ、と教えればどんな相手でも満足させられるようになる。
 だから、これ以上は、

「う… シル、シルバー、もうやめておこう」
「あ、…すまない。上手にできなかった、か?」
「そうじゃない。けどさ、ここから先は、皇女さまと」

 うん、きっとそうだ。ブレイズもご子息様を気に入ってるのだから、無垢な少年を穢しちゃいけない。
 そう思うソニックをよそに、ご子息様は再び顔を赤く染めて、じっと床を見つめている。

「オレ、ホントに何も知らなくて、知らなさ過ぎて、わからないんだ」
「キスはとっても上手かったぜ?」
「そうじゃなくて… せ、せ、…せっく…」
「え!? ちょっと待っ」
「アンタしか頼めない。どうすればいいのか、教えてくれ」

 軽くめまいを感じ、ソニックが座り込む。その真正面に、ご子息様も座り込んだ。
 ソニックはメイドだし、雇い主に命令、いや、お願いされたのなら、聞き入れるべき立場だ。
 早くなる鼓動に、さらにちくちくと痛みが混じる。

「あ、あのさシルバー。朝起きてすぐや、エッチなことを考えたときに、チンコでかくなる?」
「ああ、なる。今も、キスしてて少し、なった」
「正常だから気にするな。それを、女の股の間の穴に入れる。で、いい?」
「それがわからないんだ。女の子にもウンコの穴あるんだろ?そこじゃないんだよな?」
「そこじゃなくておしっこの穴のすぐ後ろ…ってゆーか」

 説明しながらも、ご子息様はやはり実験みたいで、罪悪感や羞恥心をあまり感じられない。
 しょうがないな、と3度ソニックが思い、スカートの中の下着をするりと下ろした。
 ご子息様に脱がされたり、強要されたり、というのは聞こえがよくない。合意の上でメイドが体を許した、という形にしてやりたい。
 頭の中で、そう理解しているけれど。シャドウ、ごめん、シャドウ・・・。
 座ったまま、足を少し開いて、ご子息様の視線を受ける。

「み、見えるか? …おしりの穴じゃないところにも、何かあるだろ?」
「うん、…ソニック、もう少し足を広げてくれよ」
「恥ずかしいんだぞっ! …も、やだ…恥ずかしい」
「一回でちゃんと憶えるから。こっちが尻の穴で、この上の小さい粒からおしっこがでるのか?」

 何気なく、ご子息様の指が敏感な部分に触れ、ソニックは快感ではなく痛みにビリリと震える。

「違うっ! そのちょっと下に小さい穴があって…」
「ここ?」
「あぁんっ!!」

 ご子息様の乾いた指先がソニックの入り口を突いた。
 ひくひくと別の生き物が呼吸するように動く小さな穴に、ご子息様は興味津津だ。

「ここからおしっこもでるのか?」
「で、出ない! それは別のとこから…って、指、い、いたいって!」
「…痛いのか? こんな小さな穴にチンコ入れるって、どうやって」
「濡れて、いれば…」
「濡れる? 水がいるのか?」

 ご子息様はふざけてるわけじゃない。声音はとても真剣だった。
 だからきちんと答えてやりたかったけれど、秘所に触れられているのがとても辛くて、涙を堪えるだけで精いっぱいだった。

「ソニック?」
「シルバー、ごめん、すまない。オレ、好きな人が、いて…、その人じゃないと嫌なんだ」

 ご子息様の指が離れた。広げていた足を閉じるように合わせてくれる。
 うつむいていたソニックの頬に、さっき教えたばかりのキス。優しく宥めるように触れる。

「アンタにはわがまま言いやすくて、つい甘えちまうな。もうこれでいい」
「オレだって、使用人なんだから本当は断ったりできないんだ。でもシルバーは気持ちを酌んでくれる…そんな優しいトコを、ブレイズ…皇女さまも気に入ってるんだと思う」
「ありがとう」

 そう言うご子息様は、少年から大人になろうとしている瞬間の、とても心惹かれる微笑みを見せてくれた。
 ようやくソニックの心も体も、ホッと和む。

「けどさ、これだけは本当にちゃんと教えてほしいんだけど」
「なんだよ?」
「どーやったら、あんな小さな穴にチンコ入るんだ?大きくなってたら無理だろう?」
「うーん、むしろ大きく…いや、ええと、どーやって説明すりゃーいいんだろう」

考え込んだソニックが、その一瞬後にパチンと指を鳴らした。

「そーだな、百聞は一見に如かずって言うもんな!」







 夜、11時を過ぎたころだろうか。
 厩舎の隣にある馬具倉庫に明りがともった。
 ソニックが壁際にこそこそと細工を施すと、その正面向かい側にある休憩用の長椅子に座り、ニッコリ笑って見せる。

「シルバー、見えてる?」
「見えて、るけど、そっちからオレは見えてないのか?」
「うん。大丈夫、見えてない」

 丸木を組んで作られた堅牢な小屋の壁に、藁を詰められた穴がある。
 ここの主人のことだから、何かの発明品でも埋め込むつもりなのだろうが、今は何の用途に使われるでもなく、壁面に古い馬具を積まれ塞いであった。
 それに気付いてたソニックが穴の藁を抜き、馬具を整理したように見せかけて穴を陰で覆って隠したのだ。

「外側で幌を被ってじっとしてれば、絶対にバレないぜ」
「覗く、なんて…アンタはいいのか?」
「オレは別に…。アイツは気にするかもな」
「ちょ、ちょっと待て。そういえば聞いてなかった。アンタの好きな男って」
「…シッ…!! 静かに。もうすぐ来る」

 屋敷の、裏口のドアが閉じる、小さな音が聞こえた。
 壁の向こうで、ご子息様が息を詰める気配。
 やがて、倉庫の扉がキイ、と軋んで薄く開く。

「こんな時間に何をしている」
「え、ええと、倉庫の片づけ?」
「昼間にやればいいだろう。…僕がいない間に何かあったのか?」
「いーや、別にー」

 とぼけて答えながらも、鋭いなと思わずにはいられない。ソニックから誘うことは時々あっても、シャドウの部屋以外の場所に誘いだすようなことはしたことがなかったから。
 座っている長椅子の半分を空けると、軽いため息をつきながら、シャドウも隣に座る。
 これで、壁の向こうのご子息様にもよく見えるはず…

 がたん!
 小屋の外で何かがぶつかる音がした。

「何だ!?」
「あ、わあっ!外に置いてた桶が転んだんだろ、多分!」

 外を伺おうと立ち上がったシャドウの腕を捕まえて、様子を見に行かせないようにきゅっと引っ張る。
 何かを必死に隠していて誤魔化そうとしてるのが明白すぎる。
 ソニックの手を振り払って様子を見ることくらい簡単なのに、シャドウはそうしなかった。ふっと力を抜くと、長椅子にどっかり座る。

「本当に…何なんだ、キミは」
「クククッ…あはははっ! シャドウって優しいんだよなあ」
「意味がわからない。が、説明は後で聞こう」
「オレがシャドウのこと好きなだけだぜー?」

 ソニックが体を寄せて、目を閉じると、シャドウはほんの一瞬、正面の壁に視線を向けてから、ソニック頬にキスをする。指先で耳の後ろを撫でてピクピクと反応するのを楽しんでから、唇に。
 ちゅ、ちゅ、と高い音を立つと、ソニックは急にギャラリーを意識した。恥ずかしい。隠れてしまいたくなる。けれど、シャドウはキスを深くするうちにメイド服のリボンを解き、ボタンを外しにかかっている。

「ふあっ…ぬ、脱ぐの?」
「昨日、印をつけ忘れた」

 黒い袖が肩から落ちる。コルセットの紐も解くと、桃色の粒が乗った白い膨らみが冷たい空気に触れる。
 小さな形を気にしているソニックだが、座った体勢で脇から寄せるように触れられると、僅かながら谷間ができるのが嬉しい。やさしく揉まれるだけで吐息の湿度が上がり、頂点を摘まれれば声を抑えることなどできない。

「やんっ! んっは、恥ずかしっのっ…シャドウっ」
「もっと聞かせろ。胸だけでイッてもいいぞ」
「そん…、いつもはだめって言うのに! あっ、んああああっ!」

 片方の頂点を口に含まれた。そのまま甘噛みされ、もう片方も強く摘み上げられると、体の芯を突き抜ける快感に全部が支配されてしまう。体中のどこに指が触れても、痺れが中心に集まってくる。
 シャドウの手のひらが服の隙間から素肌に触れる。フルーツの薄皮を剥くように滑り、着ているものすべてを削ぎ落とされた。
 恥ずかしくて胸を手で隠し、足をすり合わせていたら、またもやシャドウの手によって、両足を開いたまま椅子の上に乗せられた。昼間、ご子息様に見せた格好とほぼ同じだが、ぴんと勃った乳首や色付いた肌、何より愛液で濡れ過ぎた秘所が違いすぎる。

「いやぁんっ! み、見えちゃう、の、やだ、やだあ」
「僕だけしか見ていない。いつもより感じているな、ソニック」
「あ、はぁっ、さ、触って! 触ってシャド…ウ…んんっ!」

 シャドウが指を溢れる愛液にくぐらせて、割れ目の先端の小粒を摘む。チリチリと弾き続けると、短い声が断続的な嬌声に変わる。
 そして、昼間、ご子息様の指はほんの少し触れただけで痛くなったのがウソのように、シャドウの指はずぶずぶとひくつく穴の中に沈んでゆく。

「解るか? 少し入った上側のざらざらとした襞がキミのイイところだ」
「あっ、ダメぇっ! そこ、触っちゃ…あ、んああああっ!!」

 シャドウの指先がその部分をこすりあげると、ソニックはあっけなく達してしまう。声の無い悲鳴を上げ、全身を緊張させた。シャドウの指が秘所から抜けると、かくん、と脱力した。
 満足そうな笑みを浮かべたシャドウが、執事服を脱いでゆく。黒い体躯の胸元にある白く柔らかな毛をソニックはうっとりと見つめて、手を伸ばした。

「どうする? 舐めるか?」
「もう、いい。挿れて…」

 ズボンを下ろしたシャドウの足の間から、大きく、上を向いた強い根が現れた。ソニックの片足を肩に掛け、開かせた秘所にそれをひたりと合わせる。
 体を小刻みに揺らし、少しずつ埋めてゆく。くちゅくちゅ、とまだ控えめな水音が、びちゃびちゃといやらしい音に変わってゆく。

「ん、はんんっ…! シャ、ドウの、おおきいの、全部、はいっちゃった…」
「あまり締め付けるな。僕も持たなくなる」
「そーなのか? じゃあ、ん…どう? 気持ちいい? シャ、ど!!!?」

 ソニックがきゅう、と中に力を入れると、その形がさらに大きく感じられ息が詰まったところに、シャドウは突き上げを始めた。

「や、あっ! イイっ、きもち、いいよぉっ! シャド…、シャドウ、シャドウ!」
「まったく…いやらしすぎるな、キミは!」

 ソニックを椅子の背に押し付け激しく男根を打ちつけると、嬌声と水音にパチパチと肌を打つ音が小さな部屋に満ちた。胸を揉みしだき、強く乳首を摘んでさらに追い詰める。
 快感が多すぎて涙がこぼれる先を視線で追い、シャドウはちらりと正面の壁を見て自慢げに笑った。そして最後の数回を力強く打ち込む。

「ふ、う! ソニッ」
「やああっ、ああっ!シャド、ひぁ…シャ…」

 ぐっとシャドウが突き入ったまま、数十秒程ふたりは動かなかった。
 そして、互いに力の抜けた体が僅かに離れると、繋がった場所から白く濁った愛液がぽたぽたと椅子の上にしみを作る。
 そのまま呼吸を整えながらじっとしていると、屋敷の裏口のドアが、かちゃん、と閉まる小さな音が聞こえた。
 ソニックは舌打ちしたい気分を堪え、苦笑で誤魔化す。シャドウは渋い表情のまま。

「そこにいたのは、ご子息様か」
「あ、やっぱりバレてた?」
「何故?とは聞かない方がいいか?」
「いいよ、聞いても。セックスのやりかたがわかんないって言うからさ、オレと実践するより見せる方を選ばせて貰ったんだ」
「シルバー様と、シたのか?」

 言いながら、シャドウがソニックの胸の下につけてある赤い印にきつく吸いつく。薄くなりかかった鬱血の痕を鮮やかに甦らせると、舌先が上に滑って硬く熟れた乳首をまた緩く噛む。

「シてない、よ。わかるだろ!?」
「…見られて興奮していたな」
「ばっ… んも、シャドウと、なら…いつでも」

 次の絶頂へ向け、ゆるく胸を揉みあげられながら、喘ぐ呼吸はキスでふさがれた。
 ソニックは陰に隠れた壁の穴をちらりと見る。
 もうそこに誰の気配も感じないけれど、再び藁を詰めて穴を塞ぐ気にはならないな、と思う。

 ご子息様、また覗きにくるかなあ。







.




えろばっかりですいませーんwww


もどる