めーめーさんとひつじさん



 山積みになっていた書類をあらかた整理し終えて、シャドウは長いため息をついた。
 手紙類、新聞のスクラップ、出納帳、先程届いた電報と、したためたばかりの請求書。

 人待ちの間、じっと耳を澄ましてみるけれど、今夜はとても静かだった。
 伯爵がエキドゥナ家の仕事を引き受けたことにより、久々に社交界へ出かけられたのだ。ご子息様もご一緒に。皇族方もいらっしゃるという夜会、そのお手伝いに使用人たちも先を争ってお伴に行ってしまった。
 お伴について行かなかったメイド達も、短い休暇を得て実家に帰っている。
 屋敷に残った者は少ない。シャドウは屋敷の、隣部屋のテイルスは伯爵の研究室の留守を預かっている。
 もう一人、人気のない廊下を弾むように走ってくる足音の主。

「シャドウ、呼び出しってなんだ?」

 ノックもそこそこに、青いハリネズミのメイドが執事室のドアからぴょこんと顔を覗かせた。
 就寝時間はとうに過ぎているというのに、エプロンも付けっぱなしというのは仕事を長引かせていたんだろう。要領の悪いことだ。
 シャドウが指差したのがベッドの端だったので、ソニックは素直にそこへ座る。
 そして、ぴらりと見せる一枚の書類。

「昨日、青磁の花瓶を割ったな。弁償の請求書は今月で3枚目、これで今月分の給金は消えてなくなる」
「Oh No!! そんなに高級品だったのか…あーあ、欲しかったものがあるのになあ」
「お金で解決できないような骨董品も屋敷にはあるんだ。もう少し注意深く仕事をしろ」

 請求書を受け取ったソニックがそれを凝視し、泣きだしそうな目でシャドウを見上げる。
 無理もない。先月も同じことを繰り返したのだから。

「なあ、…なんとかならないか?」
「なんとか、とは?」
「特別報酬…とか。どうしても欲しいレースがあるんだ。手編みの、かわいいやつ」
「だからと言って、特別に報酬を出せるような仕事なんて屋敷では…」
「シャ…シャドウがっ!…オレを雇ってくれよ」

 頬を真っ赤に染めたソニックが、シャドウの腕を引き隣に座らせた。肌の紅潮は耳の中にまで広がる。

「ご奉仕、します」

 必死すぎるソニックの訴えに、シャドウの口元が緩む。滅多に表情を動かさないシャドウの笑みに、ソニックの胸もドキリと高なる。

「いいだろう。ボクが満足したら、それなりの報酬を考えてやる」

 瞳を細めて後ろに手をつくシャドウ。無防備な姿勢に一瞬迷う。どうすれば満足させられるだろう。
 頭で考えるよりも、シャドウの整った顔立ち、結ばれた口元にソニックの視線が集中してしまう。欲しいと思ってしまう。
 ベッドをきしませシャドウの前に立ち上がると、腰をかがめて上からキスをする。
いつもの、深いキスの時は、シャドウの舌がソニックの中で絡むことが多いけれど、今夜はソニックの舌がシャドウの 歯列をなぞっていく。かすかに珈琲の味がするけれど、苦みや酸味より不思議と甘い。シャドウの熱い舌が絡むと、水音とともに唇の端から唾液がこぼれる感覚があった。
 唇を離し、頬から顎に落ちる水滴をソニックはぺろぺろと舐めた。
 その間、手はシャドウの黒いズボンの上から昂りを探る。厚い布越しでもハッキリと解るそれ。ベルトを引き抜き、ボタンを外し、下着ごとズボンをずり下ろすと、かなり大きくなっている。

「いつも、これがオレの中に入ってる…」

 ソニックが床に膝をつき、ベッドに腰掛けているシャドウの足の間に顔を寄せて、楽しそうに触れて観察する。
 長く弓なりに反る茎があり、丸くくびれのある傘帽子を被っている。茎にそっと触れて上下にこすると、先端の割れ目から潮に似た匂いの体液が溢れてくる。

「ソニック、ボクがキミにしているようにしてくれないか」
「あ、口で… シャドウみたいに、上手にできないかもしれないけど」

 茎の根を優しく握ると、緩い弧を描く外側をぺろぺろと舐め上げる。充血して浮いてくる筋と、先端に近いくびれのあたりも。頂きからしずくを落とさないようにちゅっと吸い上げてから、舌で誘って口に含む。
 口内で、歯をあてないように舐めたり吸ったりしていると、シャドウの手のひらがソニックの両頬に添えられた。

「こう、口に挿れたまま、頭を動かしてみろ」

 顔を支えられて、口から抜ける寸前まで離され、今度は咽喉に当たりそうな程深く飲まされる。息苦しさに呻きそうになりながら、その行為を繰り返すと、秘所で迎えるシャドウを目の前で見ることが不思議な興奮を呼ぶ。
 ただ、ますます大きくなるそれを、奥まで迎えることが難しくなってくる。

「あっ…おえん、しゃろ…、はっ ちょっと、顎が疲れて」
「わかった。じゃあ、先だけ咥えてろ」
「うん」

 ソニックがくびれより先をぱくりと含むと、とろとろ溢れる先走りは随分苦みが強くなっていた。味の変化が辛くなってきたけれど、唾液と一緒にこくりと飲み込む。
 シャドウの手のひらが疲れた頬を撫でてから、茎に添えてあったソニックの指の上に被る。唾液でびしょびしょに濡れて汚れるのも気にせず、そのままソニックの手を使って自慰を始めた。強く握ってシュッシュッと上下にすりあげれば、落ちた水滴はぴちぴちと泡立つ音を立てる。
 ソニックの手のひらが熱い脈を強く感じる。そっと顔を上げてシャドウの表情を盗み見れば、口元から落ちる吐息と薄く閉じられた瞳があった。

「ん、…ソニッ…」

 どくん、どくん、と、ソニックの口の中でシャドウの熱い欲が弾けた。飲み込もうとしたけれど、あまりに強い精の匂いに耐えきれず口を離してしまった。むせるソニックの頬や鼻先を、続いて飛び散る白濁が汚してゆく。

「ふっ ぐふっ、にがいって…すごく」

 涙目になりながらも懸命に飲み下し、顔に付いて垂れ落ちるものを気にして指で拭う。
 やさしい指がソニックの耳や頭のトゲを梳いてくれたので、先程と同じように見上げてみれば、僅かに呼吸を乱しつつも、赤い瞳孔を開かせてるシャドウ。

「ど、うだった?」
「そうだな。…またして欲しいと思うくらいは良かったな」
「へへっ またやってやるよ。…それより、さ」

 ソニックが達したシャドウのそれをもう一度丁寧にしゃぶると、すぐに強い芯を取り戻した。
 引っかかったままのズボンや下着、靴もそのまま、シャドウの足をベッドに持ち上げると、ソニックは片足だけパンツを脱いで、シャドウにまたがるように膝立ちになった。
 黒いフレアスカートを持ち上げて、すぐにでも触れ合いそうな秘部をシャドウに見せる。

「挿れて、いいか?」
「最後までは無理だと思うが、やってみろ」
「何をっ!? 今日はオレがご奉仕するって言っただろ!」

 にやりと笑うシャドウのその表情を変えたくて、ソニックは足元にある彼の芯を、自らの花に沿える。丸い頭を前後にこすりつけるとソニックの愛液が花の周りを濡らした。それだけで丸い小粒がピリピリと痺れる。
 よく見えない手探り状態のまま、慎重に狙いを定めて、ほんの少し腰を落とす。
 ぬるり、と、丸い先端が花に挿った。耐えきれない吐息は小さな声に変わる。
 少し退き、ぬめりを足して、沈ませ、また退いて、少しずつシャドウを中に収めてゆく。
 が、ソニックの自らの重みで狭くなっている膣内にシャドウは大きくて、その根元まで埋めるのが辛い。

「力を抜いて、ボクを踏みつけるようにすればいい」
「…ヤ…、それも、…イヤだっ! もう中が、スゴく…いっぱいすぎるっ!」
「仕方のないメイドだな」
「え、…あっ、いやあっ!」

 シャドウが下から突き上げる。十分な湿り気がまとわりついていたので、根元ではぬちゃりと水音が立った。最奥まで杭を打たれたソニックは、快感の衝撃に耐えきれずにシャドウの上に崩れ落ちる。

「あっ…あっ、中が壊れちゃうよ…」
「イイぞ。キミが動いてみろ。奉仕してくれるんだろう?」
「イジ、ワルだ! んんっ!!」

 感じ過ぎて力の抜ける足を懸命に立てて、体重で落としいれる。退くときには抜けてしまいそうな不安と、落ちる時には溢れすぎる快感。
 近くなる絶頂の予感に、ソニックはすぐに動けなくなってしまった。

「シャド…シャドウっ! も、ごめん、ダメ! イキそで…」
「わかった。…そうだ、コレを咥えていろ」

 シャドウは手袋を抜いてソニックに渡した。

「隣の部屋にはテイルスがいるからな」
「声を出しちゃマズいんだな」
「フッ。声を出しちゃいけないんじゃない。他の誰にも聞かせたくないだけだ」

 この期に及んで独占欲かと嬉しくなるソニック。
 シャドウの白い手袋を口に含んで噛み締めると、すぐに下から激しい突き上げが始まった。
 逃げそうになる尻をスカートごと引かれて押さえられると、すぐにソニックの全身が震えだす。

「んっ、んんー!!!! ううっ!…」
「イッたか? ボクはまだだ。 イッた後のキミの中が好きだ」
「んウウ!? んんんっ!!!」

 さらなる快感を恐れて逃げるソニックの腕を捕らえて離さない。緑の瞳が涙をこぼしながら意地悪だ、と訴えるけれど、抵抗すら狂おしいほど愛しくなる。
 熱くて強く締め付ける、そのくせどこまでも柔軟なソニックの花の中に、シャドウは快感を迸らせる。
 そのあとも数度突き上げを繰り返すと、ふたり分の愛し合った体液が細い流れを伝って落ちてゆき、シャドウの尻までじっとり濡らした。





 シャドウが汚れた服を着替えていると(ソニックのメイド服はほとんど汚れていなかった)、ベッドの上でぐったり寝転んだソニックが、床に落ちている壊した備品の請求書を拾って、はあ、とため息をつく。

「ご奉仕…ちゃんとできたって言えないよなあ…」
「キミは快感に弱過ぎすぎるからな」

 シャドウはくつくつと笑って、デスクの引き出しから小さな包みを取り出し、ソニックへ渡した。

「なんだ、コレ?」
「特別報酬だ」

 紙包みを開けると、ふわりと柔らかな糸のかたまりがソニックの指にかかった。広げてゆくと長い手編みのレース、夜の部屋明りにも美しいつやが見える。

「…う、わ。高級品…! なんで!?」
「欲しいと言っただろう?」
「大事にする! 一番最初に下着に縫いつけて、シャドウに見せてやるよ!」

 それは楽しみだ、口の端だけでそう答えて、シャドウは脱いでいた執事服を羽織った。

「え?どこ行くんだよ? 夜中だぜ?」
「屋敷の見回りだ。疲れているのならキミはここで休んでいても構わない」
「今の特別報酬で疲れなんか無くなっちまったぜ。一緒について行ってもいいか?」

 そう言いながら、ソニックも後を追うように起き上がると、メイド服のシワをパンパンと叩いて伸ばし、シャドウの手袋の無い手をつなぐ。
 ぴったり沿うようすれば、シャドウは唇に小さくキスをくれた。

「屋敷はほとんど人がいないからな。今度は声を出しても平気なトコでやろうぜ!」
「見回りだと言っているだろう? 仕方のないメイドだな」

 早く早くとシャドウの手を引くソニックが執事室の扉を開けた。
 仕方のないメイドなのだ。
 この執事のことが好きになりすぎて、本当に仕方がないのだ。














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あはははは。(汗
やりやがったぜコイツ!>自分
ごめんなさいね。ごめんねwwww


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