夢の始まり 花嵐 (おまけのオマケ)



「その結界から絶対中に入ってくるな!わかったな、ソニック!」
「ちぇーっ!」

 部屋の四隅に貼られた呪符が見えない壁を作り出し、なお名前まで呼ばれて命令されれば、なかなかそれを破る気にはなれなくなる。
 そこまでしなくったっていいじゃないかという文句は、強い視線で黙殺される。
 確かにやりすぎたという気はする。
 明け方、朝勃ちしてる影霧をぱくっと頂いてしまって、そのままあれやこれや。放出される精力をたくさん注いでもらって、ソニックは元気いっぱいになったけど、逆に影霧は一日中まったく仕事にならないほどゲッソリだったという…。
 鬼と契るのはこの上ない快楽だというから、影霧も悪くはなかったんじゃないか?と言いたくなるけれども。

「Sorry. 悪かったって。もうしないからさ」
「信じろと!?それに、今は束縛から外しているのに、何故ここにいる?」
「んー。寝ずの番?」
「 絶 対 、 中 に 入 っ て く る な 」

 ソニックも思わず縮むほどに睨まれて、改めて念を押された。
 影霧は結界の真ん中でごろりと横になり、綿入れを引き上げて寝てしまう。
 しつこく呼びかけて邪魔してやろうと思ったのに、あっという間にすーすー規則正しい寝息が聞こえてきた。余程疲れてたのだ。
 ごめん、と思うより、面白さが先に立ってしまう。
 力を奪うような契りじゃなくて、だた普通に触れ合うように契りたい。
 ソニックも体を開くことは好きだし、相手が影霧、シャドウならなおさらだ。
 もっともっと欲しくなる。
 けれど。
 ここは自重、自重。嫌われてはたまらない。


 ふと、首に下がった細帯に触れる。つるりと滑らかな絹の帯。
 緑、黄、赤。残り四色。
 その先端を握る見えざる手があることを自覚する。
 確かに、賭けは分が悪い。
 けれど、負けるわけにはいかない。
 天国を追い出された天使は、悪魔になるしかない。メフィレスはそう言った。
 どちらも拒否してしまえば、これが罰。


「仕方がないよなあ、シャドウ」

 声をかけた相手が寝がえりをうった。眉根に力を入れて、苦しげにしているのは、ソニックへの返事のよう。
 いや、違う。きっと悪い夢を見てるに違いない。

「こんなの、意味ないんだけどな」

 精神の壁をつうとなぞる。
 綻んだ隙間から結界の内にもぐりこむと、眠る影霧の隣に、ころんと丸くなる。

 ちつ、と軽く接吻をする。
 悪い夢を吸い取ってやるように。







 明け方、影霧の絶叫で目覚めるまで、おやすみ。










おしまい。笑








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