再会の前の再会2


「どうやらここは一番奥か?」
鉱山にあるジオゲートのほとんどは、重い鉱石などを運び出しやすいように、低い位置、すなわち掘り進んだ奥の方に作られる。
「確かに、ヤバい気配がするな。早く閉じ込められてるヤツらを探そうぜ」
「おう。とりあえず、上の方だな」
エヴァンがほの白く発光する剣を構えると、ブランドルもズラリと大剣を抜き肩に引っ掛ける。
薄暗い鉱山での探索が始まった。

坑道には魔法の灯りが所々にあり、迷うこともなく進んで行けた。
だが、時折採掘される魔力を含む石(マナエッグの前段階のようなもの)の近くでは精霊力のバランスが崩れやすくなっており、昼間はただの虫だったモノが魔力の強くなる夜には凶悪なモンスターに変化する。
大芋虫の群れに3度、大蜘蛛の大群に2度…消耗戦でうんざりしながらやっつけて、二人は坑道を上へ上へと進む。

かなりの距離を歩き、出口…落盤のあった場所が近づくと、前方から人の声ならぬ獣の咆哮が聞こえてくる。
エヴァンとブランドルが顔を見合わせて、その場所に急行すると、狭い坑道にダンゴになっているデュラムタウロス7・8体、それに岩ヘビが何匹いるかわからないような状態。
モンスター達の向こう側に、ノーチス軍の誰かが戦っているが、あちら側は逃げ場も無いはず。
「エライことになってるな!」
そう言うと、すぐさま呪文の詠唱に入るエヴァン。
「少佐ぁ!助けに来たぜぇ!!」
ブランドルが一番手前にいるデュラムタウロスに切りかかる。
エヴァンはまず『ムーニャ』でかなりの岩ヘビを眠らせ、次に強化版の『ズンガ』を放つ。その後は剣を振り致命傷を与えてゆく。
狭い通路での戦いだったのが幸いして、大きなデュラムタウロスは一体ずつ相手をすることができた。
ブランドルが4体目を倒すと、反対側で戦う軍人が同じタイミングで数体目のモンスターを倒す。魔力とともにその巨体が消滅すると残りはあと1体。
向こう側にいる人間の顔が見える距離にまで近づいた。
…見覚えのある顔。
「ク、クロイツ!?」
「バカ!ボケっとするな!来るぞ!」
ブランドルが大剣を下から突き上げけん制をする間に、慌てて呪文を唱え始める。
だがそれよりも早くデュラムタウロスがエヴァンに向かって動き始め、間に合わないか?と思ったその時、
「ソニックウェーブ!」
クロイツが放つ剣戟の衝撃波で歩みが止める。
「とどめ!『メテオストライク』!!」
エヴァンの背後に生み出された熱い隕石が最後のデュラムタウロスに襲い掛かり、炎に包まれ崩れ落ちた。


next page