女の子だって、勇気!
「芦川くん、ちょっといい?」
「ここじゃだめ?」
「ここ…じゃちょっと…」
昼休みの5年2組、隣の組の僕が遊びに来てても関心ないくらいざわついてる。美鶴はしれっとしているけれど、声をかけた女子の困り果てた様子に宮原が僕の手を引いた。
「じゃあ僕らが席外すよ。それならいいでしょ」
「…いい。俺が行くから」
宮原を睨みつつ、しぶしぶ美鶴が立ち上がる。行き先は屋上か、どこかの空き教室か。その背を見送って宮原が大きなため息をついた。
「芦川のやつ…こんな所で女子に告白させる気か? 可哀想だろ」
「やっぱり告白かなぁ?」
「三谷もされるだろ?」
「無いよ、そんなの。芦川や宮原とは違うんだから」
へぇ? と宮原は目を丸くする。
「今年は僕宛のチョコは確実に去年の半分以下だと思ってるんだけど」
「芦川が持っていくから?」
「三谷もだって。無自覚だなぁ」
そう言って笑うけど、自覚も何も、この間まで女子に嫌われてたこともあったのに。
美鶴はしばらく帰ってきそうに無い。僕は塾の先生から借りてきた資料を美鶴の机の上に広げた。近隣の私立中学のリストだ。
「宮原はもう志望校決めた? 今月中だよね、希望調査」
「うん。中高一貫私立のT校。芦川はどこに行くのかなぁ?」
「K大附じゃない? 芦川ならいけるレベルだし」
「…男女共学! うらやましいねぇ、頭のいいヤツは」
「宮原だって頭いいだろ。共学にすればいいじゃん」
「T校のすぐ近くにお嬢様でハイレベルな女子高があるのですよ、三谷クン」
「ソレ狙いか、宮原は…」
にっこり笑う宮原。最近、その中に含みがあることに気付いてきた。そういうことにしておけばいいでしょ、って意味だ、と思う。
「三谷はどこにするの?」
「まだ決めてなくて…」
T校ならあと1年必死でがんばればなんとか行けるかもしれない。けど、K大附はとてもムリだ。レベルが違いすぎる。美鶴と一緒の中学に行きたいって言ってたって、実力が伴わないんだからどうしようもない。
5時間目の予鈴が鳴った。僕が1組に戻ろうとすると、美鶴とすれ違った。宮原がひらりと手を振る。
「おかえり、芦川。どうだった?」
「何が?」
「…また振ったんだな」
「知るか」
憮然とした態度の美鶴に、僕はなんとなくホッとした。
+ + + + + + + +
「三谷くん! これ、読んでください!」
「は!? 僕?」
手紙を手渡してった女子は俯いてたから、誰だったのかよくわからなかった。去年同じクラスの子だったっけ?
教室で…読むのは無理だったので、廊下の隅っこでこっそり封を切った。
4年のとき同じクラスだったハギノです。
三谷くんは憶えてないかもしれないけど、家庭科の調理実習で、熱いお鍋に触っちゃった私の手をすぐに冷やしてくれましたよね?
あのときからだんだん三谷くんのことが好きになっていきました。
もし三谷くんに好きな子がいなかったら…
私とつきあってください。お返事、待ってます。
「うっわっ! ラブレターじゃん!!」
「カ!! カッちゃん! 声小さくして!!」
後ろから覗いてるカッちゃんのドングリ目が落っこちそうに興奮してる。
「オレもらったことねぇよ、こんなの!」
「僕だって初めてだよ…!! ど、ど、どーすれば、いいんだろ!?」
「わっかんねぇよ。オマエ、付き合うの?」
チャイムが鳴って授業が始まった。けど、僕の頭の中には何も入ってこない。給食も何を食べたのか全然憶えてない。つきあうって友達としてじゃないよね? でも、僕、何にも考えられないよ。
あっという間、いつの間にか、放課後。カッちゃんが迷ってる僕の前で迷ってるのを不思議に思って眺めてると、4組のサトウが僕の前に来た。そういえば、ハギノと仲良かったっけ?
「三谷、ハギちゃんが4組で待ってるって」
「えーっ!!」
「えーって、三谷はハギちゃんのことキライなの? 他に好きな子がいるとか? 困るんだったら私が代わりに行ってくるけど」
「あ…いや、べつに、きらいじゃないし、好きな子もいないけど…」
「じゃあいいじゃなーい! 気楽に付き合っちゃえば?」
「どーしよ、カッちゃん…」
「オレに聞くなってば」
呆然としながら、4組の教室まで歩いた。その道行きも全然覚えていない。4組の前には女子が3人、見張りみたいに立ってた。そして、中には一人しかいなかった。
「ハギノ?」
あからさまに嬉しそうにホッとするハギノ。4年生の時のまま、僕よりもちょっと背は低いけど、なんか、やわらかい線で描かれた女の子みたいになってて、ドキっとした。
「ごめんね、呼び出しちゃって」
「ううん、いいけど」
僕の前で真っ赤になって黙っちゃう。きっと心臓が飛び出しそうって今のハギノみたいなことを言うんだな。
「調理実習のときのこと、憶えてるよ。あの時、ハギノの手が真っ赤になっててビックリしたんだ」
「三谷くんがちゃんと手当てしてくれたから、大きな傷にならなかったの。ほら」
まっしろで細くてきれいな指、柔らかそうな女の子の手。一瞬釘付け。
「お、同じ班で、僕がたまたまやけどには冷たい水って知ってたから!」
びっくりした。目の前にいるのは、僕とは全く違う生き物だ。
「三谷くん、好きな女の子、いる?」
「いない、です」
「お願い、よかったら私と付き合ってください。私、三谷くんのこと…」
肩を震わせて、懸命に言葉を紡いでる。だんだん下がっていく視線、目に溜まった涙は今にも落ちてしまいそう。どうすればいいのかわからない。
「な、泣かないで!! うん、わかった。僕でよければ」
「ホント!? ありがとう!」
咄嗟のことで何が何やらよくわからなかった。ただ、泣かせたくなかっただけ。でも、僕、オッケーしちゃったのかな? また呆然としてしまう。その後何を喋ったのかもあまり覚えていなかった。
1組に鞄を取りに戻ろうとすると、2組の窓際には美鶴がいて、宮原と何か喋ってた。
僕とハギノに気付いた美鶴は、きれいな微笑を見せた。とてもきれいだったけど、僕には冷たい風みたいだと思った。ハギノがビックリしたみたいに、僕の腕にしがみついた。
「なんで、僕なんかに告白してくれたの?」
ハギノとふたりで下校…てか、女の子とふたりで歩くなんて、11年の人生で一番のサプライズだ。
「だって、三谷くん、私立の中学行くんでしょ? まだ時間あるってわかってるけど、離れちゃうと淋しいし、それにもうすぐバレンタインでしょ? 私よりもカワイイ子が三谷くんに告ったら負けちゃいそうだもん。先走っちゃった」
「僕、そんなに女の子に好かれてないよ。4月頃だったっけ、キライとか言われたし」
「どうしてー?」
「理屈っぽいから」
「あははっ三谷くん賢いもん」
「賢くないよ。芦川や宮原に比べたら」
「そんなことないよ? 三谷くんは賢いよ。球技大会のバスケもすっごく上手かったし、それに、優しくなったし」
「そーかなぁ、わっかんないよ…」
「私、すっごく焦ってたの。三谷くんが誰かに取られちゃうかもって…だから、ごめんね! 迷惑だったら言ってね」
「そ、そんなんじゃないよ、ハギノもカワイイし、優しいし…すごい女の子っぽいし」
「…よかった。また、明日、一緒に帰ってくれる?」
「う、うん、いいよ」
「ありがと。わたしコッチの道。じゃね、また明日!」
普通に喋って普通に歩いただけなのに、ものすごくつかれた…。なんで友達じゃダメなんだろう。素朴な疑問。
女子と喋るのは嬉しいけど、美鶴が女の子を邪険にするのもちょっとわかる気がした。
+ + + + + + + +
「カッちゃん、ごめーん、今日も一緒に帰れない…かも」
「イイよイイよ、オレべつに。…ってお前なんかガックリしてね?」
「わっかんないよ…」
昨日からずっとハギノのことを考えてるのに、確かにカワイイ子だなって思うのに、ぼくの中から迷いが消えない。こんな半端な気持ちでいいわけないのに。でもハギノを傷つけるのも怖い。
「あ、アシカワー! と妹! オッハー!」
「オハヨッ! カッちゃん、ワタルお兄ちゃん!」
「おはよ、アヤちゃん。芦川も…」
僕の憂鬱を見透かして、芦川の目がスッと細くなった。
「三谷、お前志望校決めたのか?」
「まだ、迷ってる」
「公立って選択肢もできたわけだ」
「…なんで?」
「告られた子と付き合うんだろ? なら一緒の中学じゃないと…な」
「芦川は決めたの? 私立?」
「何の為に塾に行ってるんだ。公立なら必要ないだろ」
「…美鶴は、僕と同じ中学じゃなくてもいいの?」
美鶴が口を閉ざした。怒ったのかと思ったら、ぷいとそっぽ向かれてしまった。ハギノとずっと一緒にいたいなら、近所の公立中学を選ぶことになる。美鶴は僕に選択を迫りたくないんだ。一緒に行こう、なんて言ってくれない。でもそれは美鶴の優しさだ。
僕は美鶴と一緒がいい。ハギノよりも。どうやってこの気持ちを現したらいいのかわからないけれど、ハギノを傷つけるのは確実になりそうだ。
+ + + + + + + +
「三谷くん。今度の日曜日、ヒマだったら…。スケート場の券があるの」
「え…それって…あの…」
デー…ト、かな? ちょっとまずい気がする。
「あ、えっとね、券いっぱいあるの! だから他の子も誘うよ。三谷くんも友達誘ってよ。小村くんとか、芦川くんと宮原くんも仲良いでしょ? みんなで行こうよ」
・・・・・
「って5枚渡されたんだけど…カッちゃん!」
「もー。しょーがねぇなぁー!」
昼休みの5年2組、カッちゃん連れで飛び込んだ僕に、美鶴と宮原も呆れ気味だった。けど、この際どうでもいい。次々とスケートの券を配る。
「芦川もアヤちゃんと一緒に、宮原も!」
「ついで感が漂うというか、魂胆丸見え?」
「魂胆?」
「わかんないならいいよ。付き合ってやるって」
苦笑してる宮原。美鶴は渡した2枚の券を興味無さそうにヒラヒラさせていた。
下校のときにハギノにそのことを話すと、手を叩いて喜んだ。「友達たくさん呼ぶから!」って。待ち合わせとか服装の相談をしてるハギノはとっても楽しそうだった。すごくカワイイって思うのに、ハギノほどテンションの上がってない自分にガッカリもしていた。
日曜日、ハギノは友達の女子8人と一緒にスケート場の入口で待ってた。そのとき初めて気付いた、宮原が「魂胆」と言った理由が。どう見たって、美鶴狙いの女子が2人、宮原狙いが3人、あとふたりはカッちゃん?(そこはよくわからない。カッちゃんが調子よくて普通に人気があるから)
貸し靴を履いてリンクに出ると、亘とアヤ以外はすんなり氷に馴染んで滑り出す。
「カッちゃん、上手い〜」
「去年のスケート遠足で教えてもらったもん」
「僕、あの日風邪引いて休んでた…う、悔しい」
ヨレヨレになりながらリンクの中央に出て振り返る。僕とカッちゃんについてきてる女子はハギノと、仲良しのサトウとマツヤマ。他の女子は宮原が引き受けてて、美鶴はアヤちゃんと二人の世界を作ってる。
「ほら、足をしっかり立てて! 最初はペンギン歩き」
「ペンギンー!? カッちゃん嘘ついてない?」
「ばか、ついてねぇよ! こーやって、ほら、慣れたら片足でスィーって」
「おおホントだ! カッちゃんすごい! もっとスゴイ技を見せて!」
「スピンとか!? できるかっつーの!」
カッちゃんの爆笑スケート教室で教えてもらってるうちに、滑れるようになってきた。カッちゃんはイナバウアーに挑戦してたり、僕も真似して転んだり、寒さを忘れて走って遊んだ。
「よかった。三谷くん、楽しそうで」
笑いまくってる合間に、ハギノが耳元で言った。普通に、嬉しかった。
「ハギノ、去年僕がスケート遠足に行ってなかったの気付いてた?」
「…うん」
「ありがと。すっごく面白い」
ホントに、ハギノは優しくていい子だよな。恋とか、何にもわかってない僕には勿体無いよ。そう言わなくちゃ、って思った。
そのとき、後ろから小学校低学年くらいの暴走集団が僕らの隙間を駆け抜けてった。慌てて体勢を立て直した僕は転ばなかったけど、代わりに僕の隣でサトウが派手にすっ転んでしまった。
「キャアッ!」
「あ、サトちゃん!」
「怪我してない?」
「大丈夫…もう、おしりで氷が割れるかと思ったよ…」
冗談めかしてるけど、ビックリしすぎたのかサトウはなかなか立ち上がれない。カッちゃんと一緒に手を貸して立たせてあげると、小さな氷雪があちこちについてて、とても寒そうに見えた。
「服が、手袋も、びしょ濡れだよ」
「これくらい平気よ」
「ダメだよ。休憩所のストーブで乾かしておいでよ。しもやけになっちゃうと大変だから」
ぴしゃっと言うと、みんな一瞬目を丸くして、ちらりとハギノの方を見た。ああ、そういえば、去年の調理実習のときもこんな風に言ったんだっけ。
「じゃ、オレ一緒に行くわ。マツヤマも行こ!」
「うん、じゃねハギちゃん」
カッちゃんが気を利かせてくれて、足早にリンクを離れてゆく。やっぱ親友だなぁ。
ハギノがちっちゃく笑って、僕の前でぴったり止まった。
「三谷くんて、ホントにやさしいよね」
「え? 当たり前のことでしょ」
「そーだけど、サトちゃんは平気って言ったのに」
「芦川にはいつもお節介って言われてる」
アハハと笑って、でもちょっと淋しそうに、ハギノがもう一度僕の目をまっすぐ見た。
「スケート、付き合ってくれてありがと。てか、今までありがと」
「うん…ごめん、気付いてたよね。僕、ハギノのこと好きだけど、ハギノと同じ好きにはなれない気がする」
友達なら最高なんだけど。ってそれで許してくれるかな?
ハギノは告白したときみたいに、顔を耳まで真っ赤にして、前にやけどを手当てした手を僕に差し出した。
「つないで、一周してくれる?」
お姫さま、いや、女神さまの手を取ったときのようにハギノの手を取って、今度は恭しさなんかじゃなくて、友達として、その手をつかんだ。
リンク一周はすぐに終わってしまった。すこし先の壁際に、美鶴がアヤちゃんとゆっくり滑ってるのが見えて、ハギノが「芦川くーん!」って声をかけた。美鶴はアヤちゃんが転ばないようにしっかり手を握ってる。
「ねえ、アヤちゃん、上手になった?」
「うん! ゆっくりだったら滑れるようになったよ!」
「じゃあ交替しようよ! アヤちゃん、三谷くんと滑ってみたら?」
「ワタルお兄ちゃんと!? 一緒に滑りたい! お兄ちゃん、いいでしょ?」
「いいよ。行っておいで」
ふたりが、意味ありげにニッコリ笑うので、僕は何も言えず、今度はアヤちゃんと手をつないでゆっくり滑り出した。
途中、こっそり後ろを振り返ると、美鶴とハギノが何か喋ってるのが見えた。
+ + + + + + + +
「芦川くん、お願い! 屋上に行ってくれる?」
また昼休みの教室、サトウがお呼び出しのアナウンスを告げると、芦川は重いため息を落として席を立った。宮原は不思議そうにその光景を眺めてる。
「なんで女子って振られるのがわかってて呼び出すのかな?」
「それが女の子の勇気だからよ!!」
サトウの強気な笑顔に場が和む。いつも誰かの恋の応援ばっかりしてんのかな、サトウは。
「あのさ、ハギノと同じ4組だよね? 元気にしてる?」
「元気だよ! 三谷に友チョコあげるって言ってた。宮原と芦川くんと小村にも。ついでに私も三谷に友チョコあげていい?」
「いいよ。ありがと!」
「宮原にも友チョコあげるね」
「ありがとう。楽しみにしてる」
言い終えて、すっごくテンション高くして、サトウが教室を出て行く。宮原がバイバイと手を振るのと同じ様に振り返した。相変わらず、どこまでも人気モノだな。
「今年もチョコいっぱいなんだろうな、宮原は…」
「誰のせいだと? この間のスケートで僕がどれほど女子の面倒みたと?」
笑顔だけど、なんかこめかみあたりに血管浮いてる気がする。あの日、スケート場で宮原は女子に囲まれて、みんなが楽しいように気遣ってくれたのだ。
「すいません…」
「まぁ、僕は芦川みたいに女の子バッサリ斬ったりできないし」
「博愛主義?」
「もぉペラペラ。ひとりに決めるなんてできないよ。バレンタインだって、友チョコって渡されたのが友チョコだとは限らないでしょ」
「え、違うの?」
「女の子の勇気は怖いからなぁ〜」
宮原が感慨深げに遠くを見た。ちょっとじじくさい。モテるってのも苦労なんだなぁ、憶えておこうって思った。
美鶴が帰って来た。今日は予鈴の前に。机の上に手をついて、がっくりと肩を落としてる。宮原が笑ってねぎらう。
「おかえり、芦川。ご苦労さん」
「…宮原、お前の志望中学、男子校だったよな?」
「うん、そうだけど」
「俺もそこにする。もう女子は面倒くさい」
「はぁ!? そんな理由? まぁ、いいけどさ」
美鶴がちらりと僕をみた。
てことはT校? 頑張れば僕もずっと美鶴と一緒にいられる!!
「み、宮原! 僕も同じところにする!」
「え、三谷、学力…」
「だから勉強教えて!! 美鶴も」
「いいよ。亘と一緒の中学に行くんだ」
嬉しくて嬉しくて、舞い上がっちゃいそうな僕に美鶴は表情を厳しくするけれど、目が笑ってるよ。
宮原は腐れ縁になりそうな予感に力抜けてたけど。
おしまい。
1/14、インテのイベントにて、無料配布したペーパーのお話。
て、わたみつを書こうとしたのに、どうしてもみんななかよし話になっちゃって。
脳内設定で、亘と美鶴と宮原くんは同じ中高一貫男子校に行ってもらうので、こじつけてみました。
おまけ→
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2007.01.14(02.09)
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