ピンチのウルトラマン





「ごめんごめんごめん、美鶴!明日の約束、行けなくなっちゃった」
『しょうがないだろ、家の用事じゃ』

 土曜の特別授業が面白そうだったから、誘ったんだ。
 美鶴は「亘が行くなら」と参加にマルをつけてくれたのに。
 僕も一緒に行きたかった。だって、美鶴と同じクラスみたいな雰囲気で勉強できるなんて、滅多にないんだもん。

「宮原とカッちゃんに、美鶴と一緒にいてって頼んどく」
『…俺は保護者が必要な子供じゃないんだけど』
「そそそそうじゃなくて、カッちゃんが、僕がいないとひとりになっちゃうしっ」
『ふーん』

 電話の向こうの美鶴の声はかなり平坦。
 怒ってる、かな。
 最初に誘ったのは僕なのに。

「この次は必ず、絶対、一緒に行こう。ね?美鶴」
『この次があればな』
「う、あれば…」

 意地悪…。
 しーん。黙っちゃった。

「ごめん、美鶴」
『だから、もういい』

 ピッピッピッピ・・・
 アラームがなってる。

「あ、携帯の電源切れちゃう!」
『そうだな。あと30秒くらい』

 どうしよう、どうしよう、今すぐ、仲直りしたいのに!

「美鶴、僕、あの」
『亘、』
「え?」
『許してやる。俺、お前のこと好きだから』

 ぷつ。

 プーップーップーップーッ・・・
 必殺光線を受けたのは僕だった。



おしまい。








迫り来るタイムリミット!

2006.12.05


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