ピンチのウルトラマン
「ごめんごめんごめん、美鶴!明日の約束、行けなくなっちゃった」
『しょうがないだろ、家の用事じゃ』
土曜の特別授業が面白そうだったから、誘ったんだ。
美鶴は「亘が行くなら」と参加にマルをつけてくれたのに。
僕も一緒に行きたかった。だって、美鶴と同じクラスみたいな雰囲気で勉強できるなんて、滅多にないんだもん。
「宮原とカッちゃんに、美鶴と一緒にいてって頼んどく」
『…俺は保護者が必要な子供じゃないんだけど』
「そそそそうじゃなくて、カッちゃんが、僕がいないとひとりになっちゃうしっ」
『ふーん』
電話の向こうの美鶴の声はかなり平坦。
怒ってる、かな。
最初に誘ったのは僕なのに。
「この次は必ず、絶対、一緒に行こう。ね?美鶴」
『この次があればな』
「う、あれば…」
意地悪…。
しーん。黙っちゃった。
「ごめん、美鶴」
『だから、もういい』
ピッピッピッピ・・・
アラームがなってる。
「あ、携帯の電源切れちゃう!」
『そうだな。あと30秒くらい』
どうしよう、どうしよう、今すぐ、仲直りしたいのに!
「美鶴、僕、あの」
『亘、』
「え?」
『許してやる。俺、お前のこと好きだから』
ぷつ。
プーップーップーップーッ・・・
必殺光線を受けたのは僕だった。
おしまい。