星を読む人 蛇足
●8月13日。
眠さは限界を超えている。
宮原が寮の自室にあるシャワー(狭い)から出ると、同じく眠さ限界の美鶴が、下段の、自分のベッドに腰掛けたまま、眠るまいと頑張っている。
客人である亘といえば、美鶴のベッドの端っこに、引っかかるような恰好で熟睡している。これは後で疲れそうだ。
「ねれば?」
「うん」
「ねないの?」
「うん」
反射だけで返事をしている美鶴。昨日の朝のような失態は見せたくないのだろう。
だからって、あしかわもげんかいのくせに、もうせわがやけるったら。
残りの力を振り絞って、宮原は亘を担ぎ上げた。そのまま上段の、宮原のベッドに放り込む。
亘はうっすら覚醒したけれど、それだけ。なにをやってもしんだようにねてる。
「…これでいいだろ。 ね・ろ・よ !!」
「うん、ありがと」
やっと張り詰めていた気が緩んで、ごく自然にその頬もゆるゆると解けていく。
美しい微笑をたたえたまま、美鶴も自身のベッドに倒れこんだ。
そっと覗き込むと、いつも亘が言うような、無防備な幼さが垣間見える。
けれど、触れることは絶対にない。
そんな恐ろしいことはできない。あらゆる意味で。
早々に撤退しよう。
部室のシュラフが空いていることを祈りながら、宮原は自室を後にした。
おしまい。
本当におしまいです。長いお話に付き合ってくださって、ありがとうございました。
ワタルが幻界で出会った、宮原くんによく似た星読み、シン・スンシがずっと友達だったらこんな感じかなーという印象だけでやっちまいました。
書いててとっても楽しかったです。
自分ひとりが楽しいんじゃないか?もう、ホントにごめんなさいです。土下座。
以下どうでもいい脳内ダダモレ記。
・ペルセウス座流星群は8/12〜13にかけて飛びます。主に明け方。13が極大で、極大以前は結構飛ぶけれど以降は激減します。
・宮原が眼鏡です。私の趣味です。普段はコンタクトだとなおヨシです。私の趣味です!
・理科ヲタクはプリキュアSSイーグレット兄の美翔和也みたいです。自由研究にカエルの観察とかやる人。
・地球照。三日月のフチが丸く灰色に繋がって見えるヤツです。肉眼視可。
・屈折望遠鏡の操作は主に美鶴がやってます。
・宮原くんは亘と美鶴の関係が深かろうがどうでもいいけれど、当人たち以上に周囲に気遣ってるといいな。
・宮原くんの心配事は美鶴の成績だったりする。脳内設定美鶴は特待生なので成績絶対落とせない。
・高校まで行きゃ過去なんて騒ぐヤツいないだろうけれど、常時成績優秀・超美形の美鶴が亘とお付き合いして調子を崩したら騒がれること必至でしょう。
・秋の空は淋しいんです。冬の空まで書きたかったなー。シリウスとかきれいだし。M42もきれいだし。
・流星痕は、本当に煙です。すごいヤツは分裂もする。
・薄明(はくめい)、天文薄明、夜から昼に切り替わる空の色が大好きだったりする。
・翌日の部室には何故か徹夜明けハイテンションな部員が残っていたりして、トランプやジェンガに付き合わされたりして、眠れるわけが無い。お疲れ様な宮原くん。
・2006夏のペルセは観測条件がよくありません。月が大きく明るいので流星が見えません。
・その代わりすばる食が8/16に東日本で観測できます。きっと宮原はわくわくして見ている。
・メシエカタログ参考。 http://ja.wikipedia.org/wiki/メシエ天体の一覧
2006.08.02
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