トーキョーデート・1・





「たまには日本にも顔を出しなさいね」


間を置いて「ふたりとも」と告げられた。
女神からそう言われたら、行かざるを得ない。
わたしも紫龍も、聖闘士としての務めは果たしているし、聖域の定例報告会には参加している。
ジャミールでの生活に口を挟まれたことはないので、意外な誘いとは思うものの。
女神の顔を立てるという意味合いで、数年ぶりにトーキョーへ行くことになった。


---テレポーティションで。


到着日時はあらかじめ伝えていたのに、喜びよりも、あきれた顔で迎えられしまう。

能力に頼るわけではないが、ほかの移動手段よりも一番早いのだから、仕方がない。
と、いうのは言い訳で。
義理だけ果たして、挨拶もそこそこ帰ろうという魂胆が透けてしまったのだろうか。

それとも、城戸邸のリビングに出でて、驚いたメイドが年代物らしき皿を割ったからか?
玄関から呼び鈴とやらを鳴らせば良かったのだろうか。軽く失敗。


さらには開口一番、

「あなたたち、そんな格好で出歩いてごらんなさい、コスプレと思われるわよ」

コスプレ?
それはなんだ?
この格好は変なのか?


互いの姿を見交わして、考えた。
どこか、おかしいのだろうか?さっぱり分からない。
ふたりして首を傾げていると、紫龍が弾かれたように、ひらめきを口にした。

「あ!ひょっとして、季節感がないですか、俺たち?」

ああ、そういえば、ニホンは四季がある国だ。なるほど。えらいな、紫龍は。

個人的に合点がいったつもりが。
哀れみのようでいて、冷たい、女神の厳しい視線に気づく。
目は口ほどにものを言うのなら、「手のつけようがない」とでも言いたげだ。


---どうやら間違っていたようだ。


長く重い沈黙を支配した女神だったが、おもむろに電話をかけ、なにやら指示を出し始め。
そしてわたしたちは、現代社会の勉強のためにと、なぜかトーキョーの街を行くことになったのだった。


---トーキョーよ。正直、不安でいっぱいだ。





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