■6-PURPLE FANTASY■
遠く遠く、生命をもたぬ星々が荒肌を見せるだけの世界。闇より深い宇宙の色。 本来なら楽士として絵師として、月の王国で無憂の生活を約束されていたはずなのに。 最強の武器タリスマンをあやつる力を認められた運命の日から。 ネプチューンに冠されたのは『抱擁の戦士』という名の十字架。 より強い力を授けられ、外部太陽系・海王星に封じられること、それは。 美しき地球を狙う侵入者を排除しながら、海の星を守護する使命のこと。 誰のためにあるのか忘れた生命、それでも。 戦士のプライドにかけて、必ず勝って生き残る。 辛く孤独な戦いに、たったひとりで。 果てしなく続く戦いに、誰の手も借りずに。 それが幸福と引き換えに与えられた使命。 年月を数えることは無意味と悟り、誰かに愛され、誰かを愛することなど知らないでいた。 はるか遠く太陽系の中心を成す、美しく輝く青い地球にあるという『海』に憧れても。 深海の戦士は『海』を知らず、忘れられた城にひとり住むという。 ただ、ときおり…。 ひとりでは重すぎる使命にくじけそうになったとき。 守護する海の星には吹くはずがない、穏やかで涼やかな『風』に包まれるようになった。 その風は、ネプチューンの孤独や憂いごとを吹き飛ばし、希望をもたらし。 不思議に愛しい、その感覚。 タリスマンに祈りを込めて、宙を翔る風を追った。 ディープ・アクア・ミラーを覗いて、初めて知った、その人。 はるか彼方、海王星と対照的な軌道を回る風の星・天王星を守護する姿。 タリスマンの中でも、戦う使命をゆるぎなく受けるスペースソードを持つ少年を見たとき。 ネプチューンのクリスタルが熱く輝いた。 そして、察した。 戦士ネプチューン誕生を祝してクィーンが残した城に刻まれた、禁忌のメッセージの意味を。 タリスマンの真の力。 魔具をあやつるものに架せられた鍵の守り人の役割。 それと…自分の半身がいるという事実。 幼い頃から意味を探ろうとして、でも分からずにいた。 『風』が吹いた、いまなら分かる。 幾千回生まれ変わろうとも選び選ばれ、愛し愛されずにはいられない相手。 それは『飛翔の戦士』ウラヌスだということを。 半身であるがゆえに求めあう絆には抗えないというのに。 タリスマンの輝きを手にしたとき心に刻んだ、沈黙を阻止するための誓い。 『タリスマンを決してそろえてはいけない』 それはタリスマンを持ちし人物とは逢うことは叶わぬという非情な約束。 ネプチューンとして、その使命にも抗うことができない。 けれど。 風は、そんなネプチューンの心を知りながら、それでも。 数億光年を軽々と飛び越え、まるでウラヌスが側にいるように心強い気配を残して吹き付けるのだった。 何度、その風に救われたのかわからない。 ウラヌス……… |
To be continued[7-TRUTH].
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