[水質]

7.底床における水質の変化(セラミック系)

<焼き赤玉土>

これはアクアリウム用の底床ではなく、園芸用の土です。マニアックな方が水草水槽に使用されたのが始まりのようです。
園芸用品ですので原則としてアクアショップでは販売されていませんが、一部の水草専門店では取り扱っているところもあるようです。しかし、この園芸用土はあまり使用される方が少ないせいか、どこの園芸用品店やホームセンターでも置いている訳ではないようです。わざわざ取り寄せてもらったりして入手されているようで、先ず持って、簡単に手に入るかどうかが問題のようです。
価格も地域によってまちまちですが関西方面では2リットル600円程度の物が主流のようです。
 
この焼き赤玉土にも粗悪品があり指で押して簡単につぶれるようなものでも”高級焼き赤玉土”と称して売られていたりします。
良質の物は指でつぶそうと思ってもつぶれないぐらいに硬く焼成されています。(ただの赤玉土であれば簡単につぶれますが)
 
特長としては何度も再利用が出来る高温焼成された土である、と言うことです。(洗えるんです・・・。)
当然肥料分が配合されているわけではないので、必要に応じて施肥をしなくてはいけません。
また、水質を大きく変化させ続けることはなく、もともと弱酸性の土であるため水草水槽においても適しているわけです。
大磯砂同様とまではいきませんが、使い込めば水質も安定し(最終的には水質に全く影響を与えなくなります)、水草育成において十分に使用可能な底砂となります。
また、粒がしっかりしているので底床内の通水性も確保され底床の硬化にも他の土系の底床に比べて問題はありません。
ただし、大磯とは違って一生物ではなく、耐用年数がどれぐらいかはわたしもまだ分かりませんが、数年は大丈夫なようです。
所詮、原料は土なわけですからそれは当然のことだと思います。
ちなみに私は現在、この底床をメインに使用しています。
この焼き赤玉土には粒の大きさが色々あり、1p以上の大きさの物から3o程度の細かい物まで何種類かあります。
水槽の大きさや、下の部分と上の部分とでその大きさを使い分けることなど出来ます。
ただし、非常に入手困難であり、手作業で生産しているのか、流通量の少なさには手こずります。
 
使用するに当たって最大の注意点があります。
セッティング当初、かなりペーハーを下げてしまいます。しかも極端に・・・。
最悪なのは1〜2ヶ月ぐらいは改善されないようです。
よって使用するに当たっては前処理と準備が必要になります。
先ず、使用準備をする前にゴミなどを取り省く意味で水で洗います。いくら洗っても水が濁りますので適当なところで妥協します。
次にそれをプラボックスか何かふたの出来るケースに入れ、水換えの時の捨てる水を入れます。要するに水槽水に浸しておくのです。
この水は適当に水換えの時に新しいものと入れ替えるなどして熟成させます。
最低1ヶ月以上その様に前処理をしてペーハーを測定し極端な酸性から抜け出ていれば問題はなくなります。
うまく行けば水槽内の水を使用したことによって、バクテリアが住み着いているかもしれません。
ただし、1ヶ月でましになるのか2ヶ月かかるのかは、その製品にもよると思いますので一概には言えないでしょう。
必ず水質をチェックしなくてはいけません。
逆にこの性質を利用した使い方もできます。超低ペーハーを好むアピストを繁殖させるために使用したり、超低ペーハーの産地から入ってきたワイルドの水草を育成する場合などに利用できます。
ただし、この効果には期限があり、何時の時点かを境にしてペーハーが上昇し弱酸性へと変わっていきますのでいつまでもと言うわけにはいきません。
 
また、この底砂だけを用いて水草水槽を実践することもできますが(この場合固形肥料などを仕込むことになります)水草の生育はソイル系の底床を使用した場合に比べそのスピードはかなり遅くなります。
培養土やパワーサンドと併用したり、独自にピートや肥料分を配合させた培養土と合わせてセットすると水草の生長に支障をきたすことはないでしょう。
ピートを混ぜることによってより長期にわたって弱酸性をキープできるかも知れません。
 
さらに天然採取物と同様に底床内に堆積した腐敗物などをプロホース等を使用して掃除することも可能です。
石に比べると幾分比重が軽いので多少吸い込んでしまいますが後で戻してやれば問題ありません。
また、コケだらけになってしまった場合や黒く変色してしまった場合(特に前景部分や水槽の前面ガラスと接触している部分など)でも、その部分を細目のチューブ(6〜8ミリ経)で吸い出してしまい、それを一晩ハイターなどの塩素系洗剤でつけ込み洗いをすればまた元通り綺麗になります。
十分に洗浄した後しっかりと乾燥させればリフレッシュして再利用することが可能です。
また、幾分木酢液などをしみこませてから使用するとコケがつきにくくなります。(木酢液を大量にしみこませた物を大量に水槽内に投入することは危険です)
ただし、色合いが明るめの茶色(黄土色・アクアソイルマレーヤ色)しかありません。
黒系を使用したい場合には選択できませんね。

<アクアセラミック・クリスタリーノ>

 1998年9月にADAより発売されたセラミック底床です。(9リットル入り 3500円)
アクアソイルに見られるような吸着効果や多気孔性を兼ね備えています。
ネーミングの通りにセットしてすぐに水がぴかぴかのクリアな水になります。(これは焼き赤玉土も同じです)
天然土壌のままではないので高温焼成によって無菌状態を維持できます。
また、粒がつぶれることがないので、繰り返し使用できます。
セラミック底床ですので最終的には焼き赤玉土同様、水質に全く影響を与えないのが最大の利点となり、底床の硬化も心配することはありません。
 
セッティング当初にペーハーや硬度を下げる働きはアクアソイルと同様にあります。
しかし、アクアソイルほど極端にペーハーが酸性に傾くことはないようですし、焼き赤玉土のように極端に酸性になると言うこともありません。
また弱酸性に保つ効果が比較的に長く継続されるようです。
 
焼き赤玉土同様、使用前には流水で軽く洗ってから使用します。
そのまま使用することも出来るようですが、水を入れたとたんに真っ白になってしまうようです。
(しかし、吸着効果が高いのか、1晩で透明な水になるようですが・・・・。)
水を入れると少しくらい色になり、アクアソイルのアフリカーナのような色合いになります。
個人的な感想を述べさせて頂くと、このクリスタリーノは前述しました焼き赤玉土に非常に類似しており、おそらく焼き赤玉土の生成と同じ様な方法で生成されているのではないか、と感じています。
 
使用に当たってはパワーサンドと併用する、となっていますが前述した焼き赤玉土同様に考えて問題はありません。
また、若干高価になりますがより落ち着いた色合いのパンタナル色が追加発売されています。(9リットル入り 4200円)

<パールサンド>

発売元は失念しましたが、高温燃焼した人工砂です。薄いピンク色がかった白いものですが砂系特有のデメリットはあります。
また、当然水質に影響しないと言うメリットもあります。
水草の生育に関してはあまり問題がなかったように記憶していますが、コケや汚れが付いてしまうと汚らしくなって見映えが悪くなります。底床の掃除もほとんど出来なかったと記憶しています。
使用前にいくら流水で洗っても濁りが取れずセッティング当初は水が透き通りません。
やはり、人工的に作られた砂なので熱帯雨林を想像するような雰囲気は出せません。
新しい物は白くて綺麗なのでインテリアとしては良いかもしれませんが私個人としてはあまり好きではありません。

<その他>

以上の他にも、サンデーゴールドやピュアサンド、○○サンド、○○砂と言うように、またまだたくさんの種類があるようです。
しかしながら水草の自生地を思わせるような茶褐色の土、もしくは黒土っぽい物となると、現在では限られた物になるようです。
使用する底砂を決定する場合には天然採取物にするのか、ソイル系にするのか、はたまたセラミック系にするのか決定してから、好
みの色や使用感を調査してセッティングにかかるようにしなくてはいけません。
底床のセッティングに失敗は許されず、やり直す場合にはリセットしか方法がないのですから。
 



以上のように、使用する底床によって、特にセッティング当初の水質の変化には、注意する必要があることを認識していただけたと思います。
水草を植栽するための底床を入れただけで、またどの底床にするかによって、様々な化学反応や成分の溶けだし、吸着効果による水質変化が起こるようです。
さらにこれから生体を飼育し水草を生育させていくわけですが、当然濾過器が必要になるわけで、ますます水槽内では様々なことが起こるようになり、一発触発の状態にも簡単になってしまうことさえあります。
出来るだけ把握しやすい状態にすることが「水質を安定させる」事への近道なのかもしれません。
いろいろな薬品や添加剤をたくさん用いれば用いるほど、水質は難解になり、結果的にたくさんの出費を強いられた割には「水質を不安定にする」と言うことになってしまったと言う事は結果的に良くあることなのです。