[濾過]

18.濾材いろいろ

一番大切なもの・・・ひょっとしたら濾過器よりもこの濾材かも知れません。
ゴミを濾し取る役目だけの物理濾過はさておいても、次の酸化菌による生物濾過に使用する濾材が、この濾過システムの命かも知れません。
しかし、一口に生物濾材と言っても、多種多様で様々なものがあります。
品揃えの良いお店などへ行くと、一体どれを購入したらいいのか迷ってしまいます。
しかも価格は?・・・結構するものですね・・・。
しかもたっぷりとこの生物濾材を投入しようとすれば、何個も購入しなくてはいけないのですから、お財布の中が寂しくなってしまいます。
最近ではスターターセットと称して必要な濾材も全てセットになって販売されているものも多く見かけますが、量的に少なすぎるものや訳の分からない濾材が添付されているもの、セットになっているクラスが限られていたりと、全てのタイプが十分に満足できる様にはなっていないようです。
濾材の原価がいかほどのものか、発売元がその製品情報を開示していませんのではっきりと断言できませんが、どう考えても高すぎる価格設定のように思えて仕方がありません。
まぁ、これから長きにわたってお世話になるわけですから、100歩譲って我慢したとして、出来ればこの濾材も一生使用できるものではありませんから、何年かに一度は少しずつ新しいものにも交換して行く必要もありますので、バーゲンなんかの時に買い置きしておくのも良いかも知れません。
それでは、いろいろなタイプの濾材の特長を簡単に紹介して、考えていきたいと思います。

<物理濾材>

物理濾過に使用する濾材は通水性さえよければ、極端ないい方をすれば「何でもいい!」と言うことになります。
ベテランの方の中には使い古しの大磯砂や川砂などを使用している方もいらっしゃるようですが、初心者の方は市販されている最も安価なもので、出来ればリング状のものを購入しておけば一生使用できるでしょう。
ただ、新しいうちは通水性がよいがすぐに目詰まりを起こすような細かい穴のあいたようなものは、あまり適しませんので気を付けなくてはいけません。
また、あまりにも濾材を詰め込みすぎて水槽内のゴミですぐに目詰まりを起こす場合もありますので、簀の子などを利用してゴミがたまる部分の確保も必要です。

<生物濾材>

多面積濾材

最も一般的な濾材で、バクテリアが住み着くための面積を出来るだけ多くするために濾材の表面を凹凸させたり、しわを付けたりしたものです。リング状のものや小石みたいなもの、陶器のかけらのようなものなど様々で、材質も天然物に近いものや人工物(プラスチック)など、様々です。 また、物理濾材と兼用できたり、ウェット及びドライ兼用であったり、淡水、海水兼用であったりします。
価格も様々ですが、どれをとってもさほど性能が変わるようには思いませんので、安価な物で問題はありません。
ただし、あまり細かい形状の物を選ぶと濾材の水流による締まりや目詰まりなどを比較的早く起こしますので、濾過槽内において水流の抵抗が大きくなるような物はさけるべきです。

多気孔濾材

上記多面積濾材の特長を生かし、さらに細かい気孔を持ち合わせた濾材です。
すやきの陶器のかけらなどもこの種類に入るものがあります。材質自体に小さな細かい穴がいっぱいあいている、と考えて良いでしょう。
こうすることによってさらに濾過バクテリアが住み着く面積が増えるという利点があり、比重も軽くなりますから濾材のしまりによる、通水性の心配も軽減されるようです。
ただ、この気孔が目詰まりを起こすと多面積濾材と変わらないこととなってしまいますので、あまりにも細かい気孔ではメリットはなさそうです。
販売価格は多面積濾材よりも高価なことが多く値段の割にはそれに見合った効果がないようなものもあるようですが、キャッチコピーには素晴らしいことが書いてある物が多く、うかつに信じるとアクアメーカーの思うつぼになるかも知れません。

連続した多気孔濾材

よく話題になっている濾材ではないでしょうか・・・。価格もそれだけで結構高価です。
この濾材の特長は多気孔な部分が連続していることにより小さな穴の始めの部分で酸化作用による硝化バクテリアの濾過を行わせ、その穴の奥の方でさらに通水性嫌気環境を作り、脱窒素菌による脱窒素濾過を期待しようと言うもののようです。
当然の事ながら濾過面積は非常に広くなりますから濾過能力は最大であるといえるでしょう。
ただ、その穴の大きさが微妙で、かつ、非常に難しいものだと言われています。
当然の事ながらバクテリアは世代交代をし、次々と生まれ変わっていきます。
そうなればバクテリアの死骸も蓄積して行くわけですから、連続した気孔がいつまで保たれるのか、と言った疑問も出てきます。
かといって、頻繁に生物濾材をメンテナンスするわけには行きませんから、その期待する効果は少しの間だけかも知れません。
その様なことを考えると市販されている価格には納得しがたい部分もあり、まさにそれを購入し、使用すれば必ず脱窒素濾過が行われるように書かれていることには少なからず抵抗を感じます。
また、スポンジを切り刻んだようなものが、びっくりする価格で販売されていたりしますが、効果は同じ様なものであるようです。

還元濾過濾材

デニファやデニボールと言った名称で販売されているようです。
これは、まさに脱窒素菌による脱窒素濾過=還元濾過を目指したものであることは事実のようです。
脱窒素濾過については項を改めて詳しく記述しますが、これを通常の濾過器の中や説明書きにあるように底床内に埋め込んだからと言って、それだけで必ず十分な効果が得られるとは思えません。
ある程度の効果は得られているという報告は耳にしていますが、濾過器に入れれば完全に出来るようなことは決してありません。
販売価格もかなり高価なもので、脱窒素濾過をちゃんとしたシステムで行うのであれば、これらの炭素素材を利用して必ずそれに見合う環境の構築が必要なはずです。
脱窒素濾過を期待して、物珍しさで濾過器に投入するのであればまだしも、「水換えをしなくてすむ」、「水換えの回数を減らせられる」などと結論付けてはいけません。
これらのものを確実に結果に結びつけるには、まだまだ、分からないことが多く、手探り状態であることは確かなようです・・・。 

<濾材選びのポイント>

それでは濾材選びのポイントですが、まず、大前提として、「濾材は決して水質に影響しては成らない」と言うことです。
ものによれば「この濾材でペーハーが6.5になります。」なんてものも存在するかも知れませんが、そんな濾材は決して購入してはいけません。
その様なものはなにがしらの化学反応を起こさせて水質を酸性にしようと言う物質が混入されているわけですから、自分で水質を管理することが出来なくなります。
また、「我が家の水質」は様々なわけですから、どのように変化するかが予測できません。
要するに使用してみなければ分からないものになってしまいます。こんな危険なことは出来るだけさけるべきです。
また、「水質を安定させる・・・」と言うようなうたい文句も信用できません。
安定させる、などと言ういい加減な表現はいかようにも受け取れます。注意して購入しましょう。
また、濾材の使用に当たってはその濾材ごとの前処理が必要なものもありますので、説明書を良く読むなり、ショップで良く聞いてから実際に使用するようにしましょう。
 
次に上げられることは「長期間使用しても変質しない」です。
生物濾材ではバクテリアを飼育するわけですから、濾材そのものがつぶれたり変質してはもともこもありません。
(リング状のものがつぶれてもその効果にかわりがないものもあります。)
何年間も使えるにこしたことはないのですから、しっかりした素材のものが必要となります。
ただ、一生使用できるものではありませんので、数年間の耐用で良いとは思います。
濾材のメンテナンスなどは別で詳しく記述いたします。