[水質]

10.濾過器いろいろ

さてさて、実際に水草水槽を実践する上では、今まで述べてきたこと以上に水槽内の水質と言うのは複雑になってきます。
当然水槽内の水質を出来る限りいい状態に維持するために濾過器を設置します。
また、言わずとも水草と生体を飼育することが目的になるわけですから、それらが水槽内に入ります。
水草の光合成のために必要な光量を確保するために照明を設置します。
COの強制添加、これはどうでしょうか?
厳密に言えば「しても良いし、しなくても良い。」と言うことになるのかもしれません。(育成できる水草の種類は限定されますが)
水草水槽において鉄則として、必ずCOの強制添加をしなくては成らないように言われていますが、必ずしもそうではない場合もあります。
これについては後述するとして、ほとんどの方が強制添加しているのですから、基本的にすると言うことで考えると、水質はどうなるのでしょうか?前項でも記述しましたようにとんでもなく複雑になると言うことは、「何となく・・・」という感じで伝わったと思います。

基本的な濾過システムをセットすると

濾過における詳しい硝化システムは濾過の項で詳しく書くとして、ここで言う基本的な濾過システムとはやはり外部式濾過システムと言うことになるでしょう。ではなぜ上部濾過システムや底面濾過システム、外掛け式、水中フィルターはダメなんでしょうか?
「ダメだ!」と言うことは決してないのですが、おのおの、水草レイアウト水槽を楽しむ上で様々な欠点があるようです。
しかし、ベテランの方のように豊富な経験と知識のある方ならば、いろいろな欠点を上手に工夫して補っておられる方もいるでしょうから、欠点とは言えないかも知れませんが、ほとんど知識や経験のない初心者の方にとっては必ず欠点となるはずです。
それでは、おのおのの持つ欠点を少しだけ見てみましょう。

上部濾過システム

水槽の上部に設置するため光量をたくさん必要とする水草の育成には照明システムを設置する上で制約があり不利になる。
しかしながら光量をあまり必要としない種類の水草においては問題がない。
COを強制添加する場合においてはせっかく強制添加したCOを逃がしてしまう(ポンプて゜汲み上げて濾過槽に落とし、さらに水槽内に落とす仕組みのため空気に触れやすく発散してしまう)構造のため、効率が悪くなる。
濾過槽のメンテナンスは楽になるが水槽内のガラス面のコケ取りやすみの方にたまったゴミ取りなどのメンテナンスがしにくくなる。
濾過した水が一カ所から下の方へ落ちてくるために水槽全体に水の流れを作りにくくなり、らん藻などの発生につながったりする。ただし、工夫によってそれは解消することが出来る。
外部式に比べて投入できる濾材の量が少なくなる。価格は至って安価で最適である。

底面濾過システム

水槽最下部に簀の子のようなものをセッとしてそこから水を吸い込み濾過するシステムで、多くは上部濾過システムと組み合わせて使用されている。また、外部濾過装置にもつなげることが可能である。
上部濾過システムの欠点に加えて底床を通じて水を汲み上げるために土系の底床や粒の細かい人工物の底床も使用できない。
(どうしても使用したい場合は簀の子の上にウールマットなどを敷き、その上に底砂を敷いてセットする)
さらに底床内に肥料分を添加する事ができず(せっかく添加しても吸い取られてしまう為)また、根張りの良い有茎草などの水草の根がからみついたりするので水草育成には最適とは言えないようである。
しかし、大磯などを用いて根張りの良くない水草を用いて行う場合などは、底床内の通水性が確保され底床内が良好に保たれることは長所といえる。この場合大磯の底床が物理濾過の役目を担い、プロホースなどで簡単にメンテナンスが出来ることもメリットである。

外掛け式濾過システム

十分な照明システムを水槽上部に設置できることは確かであるが、水槽壁面に取り付けて使用するために水槽周辺にその分のスペースは必ず必要である。簡単にいろんな場所に設置できるが、最大の欠点はその濾過能力である。
特別大きな物であれば別であるが、使用に当たっては小型水槽に限定されるようである。
また、メンテナンスは楽で価格も比較的安価でありちょっとした小型水槽には重宝されている。

水中設置式濾過システム

外部式濾過装置の小型の物を水槽内に設置するタイプの物である。
濾過能力は比較的高く信頼できる物であるが、水草水槽を楽しむ上では、そのものを水槽内に設置することにより、見映えが悪くなり、また、水草を植栽出来るスペースも制約されることとなる。
当然水槽上部は広くなるがそれ以前に水景を考えるとあまりお勧めしたくないシステムである。
また、最大の欠点として濾過器のモーター部分も水没するわけで、このモーターの発熱による水温の上昇は必ず起こる。
それでなくても夏場の水温上昇は水草水槽にとっても濾過バクテリアにとっても非常につらい時期であり、さらにモーターからの発熱によって水温が上昇すると言うことはさけるべき事であると考えざるを得ない。

 
以上のようなことを考えると、外部式濾過システムは一番高価ではあるが、その濾過能力と水槽内と上部に十分なスペースを設けCOを添加する場合を考えれば、その溶存率(密閉性)は他の濾過システムとは比較できないものと思われます。
また、濾過器自体のメンテナンスを考えてもとんでもなく面倒なわけではなく、何よりも水槽内のメンテナンスがしやすいことも長所であります。
このようなことから外部式濾過システムを採用されている方々が大半を占めるようです。
ただし、この外部式濾過装置を設置できるスペースが水槽周辺で確保できなければならず、濾過装置の占めるスペースを考えると一番の欠点となります。
 
どのような濾過システムを採用するにしても、濾過システムでは物理的なゴミなどを取り省く物理濾過部分と、バクテリアの働きによって水槽内の水質を維持するための生物濾過部分とを作ります。(詳しくは濾過の項で記述します。)
物理濾過部分は水質に対して何の影響も与えませんが、生物濾過部分はいろいろな影響を与えるようです。
また、使用する濾材によっても大きく変わることがあり、何かと話題としてよく持ち上がることがあります。
 
濾過システムを導入することで前項でも述べましたが生物濾過部分において、バクテリアによる水質浄化を行うこととなります。
と言うことは水草水槽を行う上で、いや、アクアリウムを行う上ではこのバクテリアも飼育することとなります。
このバクテリアの作用によって水質が変化します。