[水質]

4.水草の育つ水質

水草水槽を実践する上で、よく言われることに「弱酸性の軟水で」と言うのがあります。 なぜ?
これは、水槽内で用いる水草のほとんどが南米産やアジア、アフリカの熱帯雨林地域のものだからです。
前項でも記述しましたが、これらの地域の水質が総じて弱酸性の超軟水であるためなのです。(地質に大きく関係するのでしょう。)
水草の種類によっては、与えられた水質に順応して自生地とはまた異なった葉や色を出す物もありますが、総じて無難に生育させるには、自生地により近い環境にしてやることが、より失敗が少なくなると言うことなのです。
ベテランの方の中には自生地の水質に合わせるのではなく、自分の水槽の水質に合わせるようにしておられる方もいらっしゃいますが、これをこなす為には、それなりの経験と勘と忍耐、技術が必要になり、初心者には容易なことではありません。
 
まず、水質の変化によりコケまみれになったり、綺麗な色が出なくなったり、最悪は枯れてしまう物もあるでしょう。
ベテランの方は場合によっては、いったん葉をすべて落としたり株だけにしてしまったり、場合によってはわざわざ水上葉の物を選んで育成に取りかかる事もあるようですが、現地採取物や日本初上陸、なんて言うものでなければ、そのほとんどの水草が、国内において増やされたものですから、逆に自生地の水質の水槽に入れたとたんに調子を崩してコケまみれになってしまうかもしれません。(笑)
 
しかし同じ国内でも、我が家の水質は必ずしも同じではないわけで、1つ1つ違うと言った方が正しいぐらいです。
育成難易度の高い水草の多くは水質に敏感で、少しの水質の違いによっても変化してしまいます。
うまく生育させるには我慢と忍耐と何よりも経験がものを言うようです。
幸い日本は南米アマゾン流域に近い超軟水の水質ですから、そう言った点ではヨーロッパ諸国に比べ非常に恵まれた環境のようです。
 
次に同居させる生体について少しだけ記述します。
水草水槽をメインに考えるのであれば、当然水質は水草に適合するように心がけます。
そのような環境の中で同居させる生体を選ぶ場合に弱酸性の超軟水では生息していないような生体や、国内のブリーダーやショップで飼育されている水質が我が家の水質と全く違う環境であったような場合の生体を選ぶ事は出来ません。
当然我が家の水槽に投入するときには可能な限り時間を掛けて水あわせを行います。
ペーハーの状況を確かめながらていねいに行うのが基本であり、水温にも注意を払います。
しかしながらその様に時間を掛けて投入したとしても、今まで飼育されてきた水とは全く違う水での飼育が始まるのです。
魚にはある程度水質に対して順応する能力を持っていますが、その幅は様々です。
今までと違った環境での飼育が始まったことにより生体によってはストレスを受けたりおびえたりしてしまいます。
それが原因で病気を発病させたり、同居魚におびえたりして餌を十分に補食できなくなりやせ細っていき死んでしまう場合もあります。
気に入ったからと言ってそのような点も考慮せずに購入して、我が家の水槽に入れたとたん、数日後にお亡くなりになったりするのは、そのようなことに注意しなかったことが原因の場合も多いようです。
我が家の水槽の水質や同居魚の性質などがある程度分かっていれば、その条件で大丈夫かどうか、購入する前に確かめることが可能に成るはずです。
購入しようとする生体が本来持っている適応力や性質を前もって調べ、それなりの知識を得た上で購入するようにしたいものです。
そうなれば飼育するだけにとどまらず繁殖というアクアリストにとって最大の喜びも可能になるものと思われます。
そう言った意味からも水質を知ると言うことは何よりも基本のようです。