御同朋の社会を目指して!

参考書籍の紹介
                                          

 このコーナーでは、現在の日本社会の状況や、“戦争と平和”を考えていく上
で参考となるよう書籍をテーマ別に紹介させていただきます。
 みなさんも、「これは参考になるよ!」という本があれば、是非紹介してくださ
い。随時追加していきます。



●全般
○『分断される日本』 角川書店 斎藤貴男著
 格差社会の進行に伴って、日本の社会が勝ち組≠ニ負組み=Aエリート≠ニ非エリ
ート=A監視する側≠ニ監視される側=A差別者≠ニ被差別者≠ニにどんどんと分断
されていっているという。
 さて、あなたはどちらに入りますか?それともそんな社会に「NO!」を突きつけますか?

○『戦争中毒 アメリカが軍国主義を脱け出せない本当の理由』 合同出
版社 ジェエル・アンドレアス著
 なぜアメリカは戦争をするのか?その理由がよくわかる。アメリカと共に「テロ」との戦いを進
めようとする日本。決して他人事では済まされない。是非この本を読んで、一人ひとりがもう一
度、冷静に考えてほしい。

○『国家神道』 岩波新書 村上重良著
 少し古いですが、是非読んでみてください。
 「国家神道は、近代天皇制国家がつくりだした国家宗教であり、明治維新から太平洋戦争の
敗戦まで八十年間、日本人を精神的に支配しつづけた。本書は、国家神道の成立から解体ま
での過程を詳細にたどり、その構造と思想を分析して本質的性格を明らかにすることによっ
て、神道が日本人にとっていかな意味をもったかを追求する」(本文より)
 今、憲法を改悪して「政教分離」規定を緩和しようとする動きがありますが、まさにその狙い
がココにあるんだと思う。

○『戦争で死ぬ、ということ』 岩波新書 島本慈子著
 北海道の「にんにん」さんからの紹介です。
 「(ある80代の女性が戦時中を振り返って)戦争のときって、戦争について実感がなかったん
です。・・もちろん戦死者が出ていることは知っているけど、自分の目で死体を見たわけじゃな
い。『戦死』といっても抽象的で。戦争ってこういうものだという実感をやっと持ったのは、終戦
のまぎわ、空襲を受けたときです。そのときはじめて戦争のことがわかった。それまで私にとっ
て戦争はどこか他人事でした。」(本文より)。
 「戦争は必ず言論統制をうみ、コントロールされた言論は死のリアリズムを遮断する。死が抽
象化されてしまうことが、「生きてかえるな!」「私も死にます!」という叫びを容易にする。だか
ら戦争が近づいてきたときには、意識して死のリアルに立ち戻り、「人間をこうい目にあわせて
も、なお戦争をやるのか?」と自らに深く問いかける必要がある」(本文より)。

○『宗教は国家を超えられるか』 ちくま学芸文庫 阿満利麿著
 是非読んでみてください。明治新政府が近代国家建設にあたり、いかにして「国民」を統合し
天皇中心の国家を築き上げていったかがよく分かる。「神話」、「大日本帝国憲法」、「教育勅
語」、「軍人勅諭」、「国家神道」等様々な手段を用いて、国家にとって都合のいい価値観を国
民に刷り込み、いかに何でも言うことを聞く「臣民」を作り上げていったか・・。これは決して単な
る過去の話ではないような気がする。

○『平和と平等をあきらめない』 晶文社 高橋哲哉・斉藤貴男著
 お勧めの書です。今の日本社会を支配している「空気」と「本質」を、これまで“戦後補償問
題”を中心に取り組んできた哲学者・高橋哲哉さんとジャーナリストの斉藤貴男さんとの対談集
です。このHPをつくる際に大いに参考にさせていただきました。

○『「非国民」のすすめ』 筑摩書房 斉藤貴男著
 戦争に突き進み、国民を徹底監視する暴走国家を支えているのは、なにも一部のタカ派政
治家だけではない。彼らの言動を支持し、さらに過激にしている背景には、「生活保守主義者」
と呼ばれる人たちの存在があると説く。私自身、今の自分の姿を考えさせられました。

○『茶色の朝』 大月書店 フランク・パヴロフ著
  〔内容〕

○『戦争のつくりかた』 マガジンハウス りぼん・ぷろじぇくと
  〔内容〕



●「憲法」改正関連
○『ルポ 改憲潮流』 岩波新書 斎藤貴男著 
 アメリカの世界戦略とそれにともなう日本の財界の動きに焦点を当てながら、改憲の背景に
あるものを探る。

○『改憲は必要か』 岩波新書 憲法再生フォーラム編
 「変えてもいいのでは?」、そう思い始めている人のために、Q&A形式で疑問に答えていま
す。私にとっては少し難しくて解りにくかったかな・・・

○『対訳 地球憲法 第九条』 たちばな出版 チャールズ M. オーバビ
ー著 國弘正雄=訳、桃井和馬=写真 
 賛同人の志村道夫さんからの推薦です。
 改憲を視野に入れた、軍事による「国際貢献」の強化が政府と与党によって着々と積み上
げ られるなかで、平和憲法を守っていきたい、と願っている国民のなかにもあきらめや、自信
を 失いかけている部分があるのではないでしょうか。しかし改憲と軍事貢献を強引に迫るアメ
リカ 政府のお膝元から、「憲法九条をしっかり守ってこそこの21世紀、日本は地球規模の貢
献を することができる」、と豊富な実証に基づいてオーバビーさんは呼びかけます。私はオー
バビー さんの呼びかけに眼の覚める想いがしました。また一方で、オーバビーさんが期待して
いるこ とから、あまりにもかけ離れている日本の現状をひどく切なく思いました。私はオーバビ
ーさん の、この本を通じての呼びかけを肝に銘じていきたいと思っています。(國弘さんの翻訳
もとて もよく、高校生や大学生の英語の勉強の教材にも使えます。) 

○『憲法九条の戦後史』 岩波新書 田中伸尚著 
 これまで九条が果してきた役割や九条を拠り所に反戦平和運動に取り組んできた人々の姿 
が克明に記されている。 



●「教育基本法」改正関連
○『「心」と戦争』 晶文社 高橋哲哉著
 「教育基本法」改正、『心のノート』、愛国心通知表・・、今教育現場において、子供たちの
「心」の中に国家が侵入しようとしている。その目的は、ずばり“戦争のできる国民”をつくること
にある・・こんなに恐ろしいことはありません。

○『教育と国家』 講談社現代新書 高橋哲哉著
 今、教育現場で行われている「愛国心」、「道徳心」、「伝統文化の尊重」、「宗教的情操の涵
養」の強制、その意図は・・・

○『教育改革と新自由主義』 寺子屋新書 斉藤貴男著
 現在進められている“ゆとり教育”の本当の狙いは子供の学力低下にある。その一方で、金
持ちでコネのある少数の子供だけがどんどんと学力を身につけ、将来の日本の階層化を招く
と説く。

○『心のノートを読み解く』 かもがわ出版 小沢牧子 長谷川孝著
 「心に善悪の基準を外から注入してもだめなのだ。因ー縁ー果の「縁」つまり関係や条件を選
んだりつくったりする「自分」という主体が感じなのである」(本文より)

○『「心のノート」を考える』 岩波ブックレットNO.595 三宅晶子著
 「心のノート」の問題点について、具体的な内容を提示しながら詳しく述べられている。



●「日の丸・君が代」強制関連
○『良心の自由と子どもたち』 岩波新書 西原博史著
 「思想・良心の自由」について法律面から解説している。私には少し内容的には難しかったけ
ど、「思想・良心の自由」「君が代」強制に論理的に反対していくためには避けて通れない一冊
かもしれない。

○『日の丸・君が代の戦後史』 岩波新書 田中伸尚著
 占領期から国旗国歌法成立後にいたるまでの、様々な事件やエビソードをたどり、戦後社会
が思想・良心の自由と歴史認識期の問題にどう向き合ってきたのかを浮かび上がらせてい
る。

○『させられる教育』 岩波書店 野田正彰著
 教育現場に「日の丸」「君が代」を強制するために、実際の現場で先生達に何がなされている
のか。具体的に述べられている。もし私自身が同じ立場(教師)だったら、校長や教育委員会
の圧力に負けて、起立もすれば、歌も唄うと思う。それ程人権を無視した強制が実際に行われ
ている。信念を貫いている先生たちはほんとうにすごいと思う。



●「ヤスクニ」問題関連
○『国家と犠牲』 NHKブックス 高橋哲哉著
 「国民が「国に命をささげる」のは、「国のために倒れた人に対して国民が感謝をささげる場 
所がある」からこそである。その場所がなかったら、いったい「だれが国に命をささげるか」。
国 家、為政者の側からいえば、「国に命をささげる」国民を作りだすためにこそ、そうした場
所、そうした儀式が必要なのだ」(本文より) 

○『靖国問題』 ちくま新書 高橋哲哉著 
 内容がすごく充実している。「ヤスクニ」問題とは何かがよくわかる。著者は哲学者の高橋
哲 哉さんだけど、すごく読みやすい。「ヤスクニ」問題の入門書として最適。 

○『靖国の戦後史』 岩波新書 田中伸尚著
 小泉首相の靖国神社参拝の本当の狙いは何なのか?戦後日本が政教分離や戦争責任の
問題にどう向き合ってきたのかを振り返り、国家が死者を追悼することの意味を問う。

○『世のいのり・国のいのり』 同朋選書 和田シゲシ著
 浄土真宗大谷派の僧侶である著者が、一念仏者として「靖国」問題を考える。

○『国立追悼施設を考える』 樹花舎 田中伸尚編
 靖国神社に代わる新しい国立追悼施設の建設構想があるが、それもしょせんは国家のため
の新たな死者の受け入れ措置でしかない。特に、浄土真宗本願寺派の門徒・僧侶は一度読ん
でおくべきではないでしょうか。宗派としてこの構想に賛成していると聞いたことがあるので・・

○『「靖国」という檻からの解放』 永田文昌堂 菅原龍憲著
  〔内容〕



●「戦争責任・戦後補償」関連
○『この国のゆくえ 教科書・日の丸・靖国』 岩波ジュニア新書 梅田正巳
 
 「つくる会」の歴史教科書が作られた背景や、採択に向けての動きなどが詳しく述べられて
い る。少し内容は古いけど、高校生や中学生向けに書かれた本なので読みやすい。 

○『戦争と罪責』 岩波書店 野田正彰著
 お勧め。精神科医でもある著者は、戦争時代と戦後を通じて私たち日本人が、自己の行為
に直面し、その責任について思考することを放棄してきたがために、「悲しむ力」を失ってしまっ
たと説く。そして、いかにしてその無感覚状態から脱し、豊かな感情を取り戻すことができる
か、私たちに問い、考えることをせまる。



●「有事法制」関連
○『ルポ 戦争協力拒否』 岩波新書 吉田敏浩著
 有事法制成立によって、私たち一般の市民がどのように戦争に協力させられるのかが詳しく
述べられている。決して他人事ではないと改めて思う。 

○『有事法制批判』 岩波新書 憲法再生フォーラム編
 「有事法制」が成立した本当の訳は?「備えあれば憂いなし」と言うような、決して国民を守る
ためではない。アメリカの世界秩序維持のための軍事行動を、日本としていかににスムーズに
行うか、その目的のためであると説く。また、今後実際に私たちの自由、権利、生活がどのよう
に制限されていくのか、具体的に述べられている。
 


●「日米安保・同盟」関連
○『米軍再編 その狙いとは』 岩波ブックレット 梅林宏道著 
 米軍再編の背景。それは決して地域的なもの(日本や北東アジアの防衛力強化)ではない。
日米安保のグローバル化(地球規模の脅威≠竅uテロ」との戦い)のためだという。また、そ
れを早期に実現するための口実としての近隣脅威論=「中国カード」・「北朝鮮カード」が使わ
れているのだという。

○『拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる』 文春新書 関
岡英之著
 現在進められている規制緩和(小さな政府論:官から民へ)も憲法改正の動きも、すべてアメ
リカの意向が大きくはたらいている。
 「関岡英之氏の『拒否できない日本』なる著書を読んで、今日の日米関係の本質を改めて認
識し愕然とさせられた」と石原慎太郎氏が言うように、本当はもっと「愛国者」と呼ばれる人たち
が今の日米関係、改憲の動きに警鐘を鳴らすべきなんじゃないの・・?

○『騙すアメリカ騙される日本』 ちくま新書 原田武夫著
 上記『拒否できない日本』と共にお読みください。

○『「あふれる愛」を継いで 米軍ジェット機が娘と孫を奪った』 七つ森書館 土
志田勇著
 1977年9月27日、厚木基地を離陸した米海兵隊所属のファントム・ジェット機が横浜市緑区
蒔田町(現青葉区蒔田北)に墜落し、9人の死傷者が出た。本書の著者は、その事故により、1
歳と三歳の孫、そして彼らの母親である娘を喪った。理屈じゃない。これがかけがえのない家
族を喪った遺族の生の声だ!

○『集団的自衛権と日本国憲法』 集英社新書 浅井基文著
 なぜ今憲法が変えられようとしているのか?なぜ集団的自衛権を認めるべきだという声が
あ るのか?その背景には、アメリカの対中国脅威論があると著者は説く。日米安保強化やミ
サイル防衛構想等、全てここに出発点があるという。 



●「沖縄問題」関連
○『沖縄「戦後」ゼロ年』 生活人新書 目取真俊著
 「沖縄を「捨石」にすることによって「本土決戦」を回避し、沖縄をアメリカに売り渡すことによっ
て戦後の経済成長を実現した。そして「戦後六十年」が経った今も沖縄に軍事基地を集中さ
せ、一部の地域を除いては日米安保体制の負担を感じることもなく生活をしている。その醜さ
を日本人は自覚すべきです」(本文より)。確かにキツイ言葉かも知れないけど、私には返す言
葉がない。これが沖縄の人々の私たち「日本人」に対する怒りである。

○『沖縄現代史 新版』 岩波新書 新崎盛○(日ヘン軍)著
 敗戦以降現在まで、基地を押し付けられてきた沖縄の人々の苦悩と闘いの姿が克明に語ら
れている。一体私たち「本土」に住むものはいつまで沖縄の人々を犠牲にして自らの幸せだけ
を追い求め続けるのだろうか・・?本当にそれでいいのだろうか?考えずにはおれない。

○『母の遺したもの 沖縄・座間味島「集団自決」の新しい証言』 高文研 宮城
晴美著
  「沖縄の人々は、明治12年の廃藩置県によって日本人≠ノ組み込まれて以来、天皇を頂
点とする近代国家の中で徹底した皇民化教育≠ほどこされた。あわせてその線上に「同
化政策」があり、沖縄人自らもそれまでの独自の言語や文化、習俗をヤマト(日本)風にするこ
とで、日本との一体化をはかろうとした。・・・軍国主義体制下にあっては、それは学校や行政
当局の指導のもと、県民あげての運動として加速度的に高まっていく。なかでも座間味村のよ
うに、島が小さければ小さいほど、東京から離れれば離れるほど、遅れをとるまいとする人々
の目は、県都の那覇を通り越して皇居のある東京に向けられた。・・・畳二枚に二十一発という
圧倒的な砲火にさらされ、完全に逃げ場を遮断されて、心理的にも徹底的に打ちのめされた
住民が現実に米軍と向き合ったとき反射的にとった行動は、「玉砕」だった。・・・そこではもは
や、「隊長命令」は本質的な問題ではなかった。細胞のすみずみにまで染み込んだ「皇国」へ
の忠誠心、「鬼畜米英」への異常なまでの憎悪と恐怖が、結果的に住民を「玉砕」へと導いて
いったといえる。それは明治以来、人々を洗脳しつづけた「国家」による住民への「死の強要」
以外の何ものでもなかった」(本文より)。


●「メディア論・ナショナリズム」関連
○『国家とメディア』 ちくま文庫 魚住昭著
 NHK番組改変問題(朝日新聞vsNHK)や国家によるメディアへの介入の真相に迫るルポ。

○『愛国の作法』 朝日新書 姜尚中著
 「大切なことは、国を愛することや愛国心を、夜郎自大的な一部の「右翼」的な人々の専売特
許のままにしておかないことです。もっとしなやかに、そしてしたたかに国を愛することや愛国
心について語り、議論することが必要なのです」(本文より)
 
○『ナショナリズムの克服』 集英社新書 姜尚中・森巣博著
 著者の一人である姜尚中さんは、在日韓国人2世の立場から、「愛国心」とは何か?また、
最近の日本のナショナリズムについて詳しく分析している。
 私にとっては少し難しかったけど、ナショナリズムについて、そしてそれによっていかに社会
の中のマイノリティが差別・排除されていくのか、そんな差別の構造についても詳しく述べられ
ている。是非一読を。

○『心脳コントロール社会』 ちくま新書 小森陽一著
 「それと気づかれないまま、人を特定の方向に誘導するマインド・マネジメント。脳科学の知
見を取り入れた「心脳マーケティング」に基づくこの手法は、今や商品広告のみならず、政治の
世界でも使われている。マスメディアを通してなされるこの種の「心脳」操作は、問題を「快」か
「不快」かの二者択一に単純化し、人を思考停止へと追い込む。「テロとの戦い」を叫ぶ米ブッ
シュ政権も、「改革」を旗印とする小泉政権も、この手法を用いて世論を動かした。」(本文より)


○『<癒し>のナショナリズム』 慶応義塾大学出版 小熊英二・上野陽子

 「「つくる会」につどう自称<普通の市民>たちのメンタリティを実証的に分析し、現在日本の
ナショナリズムの行方を問う。」(本文より)

○『テレビの罠』 ちくま新書 香山リカ著
 「「小泉劇場」とは何だったのか。誰が「小泉劇場」を望んだのか。そこにプロデューサーや演
出家は存在したのか。もし存在したとすれば、それは誰だったのか。この劇場で踊った人や集
まった観客たちは、どうなっていくのか。これから考えてみたい。」(本文より)。お勧めです。

○『戦争ニュース 裏の読み方 表の読み方』 講談社α新書 保岡裕之

 「日本の主要マスコミが報じるイラク戦争とは、アメリカのフィルターがかかった、あるいは、
同盟国である日本政府の意向をくんだ、非常に偏った断片的な情報のみを伝えているニュー
スであるということを認識しないと、戦争の本当の姿、内幕は見えてこない」(本文より)

○『メディア危機』 NHKブックス 金子勝 アンドリュー・デウィット著
 「民営化イコール改革(官から民へ)といった、もはや時代遅れの対立軸であっても、分かり 
やすい二分法(善か悪かといった二者択一を迫るやり方:tomo註)は、人々を思考停止に陥
ら せて、ある種のすり込みを可能にしていく」(本文より)。 

○『一九八四年』 ハヤカワ文庫 ジョージ・オーウェル著 
 旧ソ連の全体主義を批判して書かれた小説だけれども、決して他人事ではないと思った。都 
合の悪い歴史を隠蔽し、街中に監視カメラが氾濫する今の日本の状況とすごく似ていると思
っ た。 

○『こころおさなき世界のために』 洋泉社 森達也著 
 イラクでの人質事件のときに起こった人質本人や家族に対する異様なまでのバッシング。そ
の背景の一端が見えたような気がする。著者はそのような状況からの解放の道を親鸞聖人
の 教えの中に求めていく。 

○『ご臨終メディア』 集英社新書 森達也・森巣博著
 「自民党圧勝。今日の世論調査では、「これほどに自民党が勝って不安だ」との声が68%。
今さら何言っていやがる。投票したのは誰だよ。人はこうして焼け野原で、呆然と空を見上げ
る。郵政民営化という見せかけの焦点と、刺客やマドンナなどの刺激性にメディアが酔い、大
衆は見事に踊った。・・・でもまだあきらめない。」(本文より)

○『いまどきの「常識」』 岩波新書 香山リカ著
 「反戦・平和は野暮」「お金は万能」「世の中すべて自己責任」・・・。身も蓋もない「現実主義」
が横行し、理想を語ることは忌避される。心の余裕が失われ、どこか息苦しい現代のなかで、
世間の「常識」が大きく変わりつつある。」(本文より) 今の私たちの「社会」「世間」の雰囲気
を精神科医の視点から分析している。



●「格差社会」関連
○『アメリカ弱者革命』 堤未果著 海鳴社(3/27new!!)
 アメリカにおける貧困と戦争、そして帰還兵によるPTSDやアルコール依存症、薬物汚染、ホ
ームレス化などの大手のマスコミ報道では決して伝えられない真実がレポートされている。『ル
ポ貧困大国アメリカ』(堤未果著・岩波新書)と合わせて読みたい好著であった。

○『ルポ 貧困大国アメリカ』 堤未果著 岩波新書
 新自由主義のもと教育や医療、戦争などあらゆる分野で「民営化(小さな政府)」や「競争至
上主義」が導入されていくアメリカ社会。そんな社会の中で人びとはどのように暮らしているの
か?衝撃のルポである。常にアメリカの後を追う日本にとっても決して無関係ではないと思う。


○『ワーキングプア』 門倉貴史著 宝島社新書
 著書の中で一人の若者の声が紹介されていた。「格差社会がもっと広がって欲しいと思いま
すね。自分はこれ以上、上にあがることができないから。自分と同じ位置に大勢の人が落ちて
くればいいな、と。・・・たとえが悪いですけど。江戸時代の士農工商制度。僕はずっと社会の最
下層にいるんです。格差社会が広がっていけば、大部分を占めた農民が自分たちと同じ位置
まで落ちてきてくれるわけだから。結果、僕というダメな存在が目立たなくなる。そうなってくれ
たらいいなと思っているのです」(本文より)。
 確か以前にも、「戦争になればいい。そうすれば国内が滅茶苦茶になって、「勝ち組」も「負け
組」もなくなる。格差もなくなる。全て一から出直せる」と発言する若者がいると聞いたことがあ
る。格差の問題がいかに深刻か、またそれが若者からいかに夢や希望を奪っているかがよく
分かる。

○『人間選別工場』 斎藤貴男著 同時代社
 全国、特に東京で進められている教育改革の実態について詳しく報告されている。「学校の
個性化」「特色ある学校作り」などの美名の下に進められている教育改革。その実態は若者た
ちの選別、切り捨てであり、新たな教育格差が生み出されようとしていると著者は言う。また、
その「改革」の中で切り捨てられた若者たちは未来を奪われ、希望を奪われ、行き場のない怒
りや鬱憤を溜め込んでいる。いつ爆発しても不思議でない。しかし「改革者」たちは、その若者
たちの怒りや不満を、消費やナショナリズム、好戦的な気分を煽ることでガス抜きしようとして
いるのだと著者は警鐘を鳴らす。


○『生きさせろ! 難民化する若者たち』 雨宮処凛著 太田出版
 定職を持たずに派遣やアルバイトで暮らすフリーターと呼ばれる若者達の実態について詳し
く書かれている。フリーターやニート、引きこもりなど現在の若者を取り巻く諸問題。大人たちは
その原因を全て若者達個人に押付ける。「最近の若者は努力が足りない。辛抱が足りない」
と。しかしこれらの原因は、決して若者に意欲がない、努力が足りないとか、ましてや怠け者だ
からではないという。社会の構造的な問題だという。

○『ニッポン不公平社会』 平凡社新書 斉藤貴男・林信吾著
 
○『分断される日本』 角川書店 斉藤貴男著
 安全、教育、生活・・・あらゆる領域で「格差」が拡大・固定化されつつある。街角に設置され
た監視カメラ、エリート養成学校開校などの事例から、日本社会が「分断」されていく現状に鋭
く斬り込む。(本文より)

○『格差社会』 岩波新書 橘木俊詔著 
 格差社会を考える上での入門書として最適。「低所得労働者の増大、新しい貧困層の出現、
奪われる機会の平等」。本当に私たちはこんな社会を築きたいのだろうか?

○『下流同盟』 朝日新書 三浦展著
 どこまでもアメリカに追従し、格差社会へと突き進む日本。その先に待っているものは・・・。

○『希望格差社会』 筑摩書房 山田昌弘著
 「職業・家庭・教育、そのすべてが不安定化しているリスク社会日本。「勝ち組」と「負け組」の
格差が、いやおうなく拡大するなかで、「努力は報われない」と感じた人々から「希望」が消滅し
ていく。将来に希望がもてる人と、将来に絶望している人の分裂、これが「希望格差社会」
である。」(本文より)。今日の日本社会(経済状況)の二極化は単に不況の所為ではない。90
年代(バブル崩壊)以降、これまでの「高度経済成長」「大量生産・消費経済(オールドエコノミ
ー)」が終焉し、「グローバリズム」「ニューエコノミー」といった新たな経済構造への転換が大き
く影響している。景気がよくなれば、また昔のようなよき℃ミ会に戻るというような単純な話
ではないと著者は主張する。

○『機会不平等』 文春文庫 斉藤貴男著
 独自の視点から現在日本社会の病理を鋭く批判するフリー・ジャーナリスト斉藤貴男さんの
名著。今の日本社会がいかに急速に不平等(差別)社会、階層社会にむかって突き進んでい
るのか、克明に報告されています。はっきり言って、驚きました。



●「浄土真宗の戦争責任」関連
○『憲法九条は仏の願い』 明石書店 念仏者九条の会編
 「念仏者九条の会」の趣旨に賛同する12名の念仏者が、戦争に対する怒り、平和への願い
をそれぞれ語っている。なぜ念仏者として憲法9条を護るのか?あらためて考えさせられた。

○『天皇制と真宗』 永田文晶堂 二葉憲香著
 「国民を囲いこんで国家だ、民衆を囲いこんで宗団だ、などと称している、そういう社会とは異
質な世界が、親鸞聖人のところに開かれている・・・。囲いこみを破って横に人間がつながって
いくことができる世界、国家を超えて人間が世界的につながって生きる世界、こういうものが、
親鸞聖人の、仏教の教えをうけた、本来的な人間の世界であるべきなのです。・・・我々は実際
申しますと、エゴイズムに満ちた人間である。それを克服して、あらゆるものの人格の平等と尊
厳にめざめ、その人格がむつみ合う世界を開こう。・・それを実現しようというのが、親鸞で
す。」(本文より)

○『「真俗二諦」について』 同和教育振興会 石田慶和著

○『真俗二諦』 本願寺出版社 梯 實圓著
 「浄土真宗は、一切の衆生が、阿弥陀仏によって平等に一子のごとく大悲されており、一人
一人が、大悲本願によってわけへだてなく救われていくという、全衆生的視野に立って、超越
的な立場から個人の救いを説いていく世界宗教であります。阿弥陀仏を中心として、四海の
内、みな兄弟という信念に立脚して、真宗の同朋教団は成立している・・。真宗教団は、民族と
か、国家という閉じられたレベルを超えて、いつも仏子としての個人の尊厳を問題にし、また開
かれた人類的なレベルで思想し行動しようとする指向性をもつべきものであります。」(本文よ
り)

○『戦時教学と浄土真宗』 社会評論社 大西(神戸)修著
 よくもまあ、戦時中の宗学者はこれだけ親鸞聖人の教えを捻じ曲げても、平気でおれたもの
だと、怒りを通り越して呆れるばかり。確かに身の危険を含めて様々な圧力があったんだろう
けど、戦後になっても、それらに対する十分な反省もなく教団の中心に居座わり続けるという神
経。信じられない。ちょうど731部隊の幹部達が、戦後、何の罪にも問われることなく、医学界
や製薬会社などの重要なポストを占めていたという状況にそっくり。当時の反省・総括をちゃん
として、後世まで伝えないと、必ず私たちの教団は過ちを再び繰り返すと思う。


○『親鸞さまと歩む道C 戦争と差別』 本願寺出版社 岩本孝樹著
 浄土真宗の戦争責任を厳しく問う書。単に教団の責任だけを追及しているのではない。今を
生きる私たち「念仏者」一人一が、この問題とどう向き合うのかを厳しく問いかけているよう
な気がする。

○『親鸞と差別問題』 法蔵館 小武正教著
 現在の日本社会及び本願寺教団の差別構造を厳しく問う書。普段なにげなく見過ごしてしま
いがちなものの中にも、差別意識が根を下ろしているということを知らされました。

○『解放の宗教』 緑風出版 菱木政晴著
  〔内容〕



●「お念仏の教え」関連
○『親鸞の仏教と宗教弾圧』 明石書店 藤場俊基著
 著者によれば、『教行信証』の「後序」から、親鸞聖人が「承元の法難」をどのように捉えてお
られたかが分かるという。なぜ専修念仏教団が弾圧されたのか、よく私たちが真宗史などの授
業で聞いたのは、男女間のスキャンダル説(松虫・鈴虫など)である。しかし著者はそれはきっ
かけであって、事件の本質ではないという。「承元の法難」に関する記述がある「後序」には、
宮中の女官の名前はおろか安楽や住蓮という名も出てこない。挙げられているのは、「処罰の
責任者として「太上天皇諱尊成」(後鳥羽上皇)と「今上天皇諱為仁」(土御門天皇)の二人、そ
して処罰された者としては「真宗興隆の大祖源空法師(法然)だけです。そのほかに・・・・「関連
する者として「興福寺の学徒」と「ならびに門徒数輩」、そして「予はその一なり」と自分自身を挙
げています。親鸞はこれだけを関係者としてあの事件を見ているのです」(本文より)。つまりこ
のことから分かることは、なぜ弾圧されたのか、その理由は、お念仏の教え(真実の教え)を広
めたかであり、お念仏の教えに出偶い、その教えに生きたからなんだと。つまり「真宗興隆」そ
のものが弾圧されたんだと著者は言う。

○ 『無宗教からの『歎異抄』読解』 ちくま新書 阿満利麿著
 「阿弥陀仏の誓いは、凡夫によっては、いわば北極星のようなものだろう。旅をする人には、
北極星は到達はできないが、必ず必要なのだ。北極星という指針がなければ旅ができない。
同じように、凡夫には、阿弥陀仏の本願はとても実践不可能であるが、生きてゆく指針なので
ある。ましてや、凡夫にも願いはある。その願いがなんであれ、阿弥陀仏の願いに連続してい
ることが大切ではないか」(本文より)。

○『親鸞とその思想』 法蔵館 信楽峻麿著 
 私が今まで聞いたこともなかった親鸞聖人の教え。まさに「目からウロコ」とはこのことを言う
のだろう。なぜ念仏者として憲法9条を守るのか?その意味が解ったような気がする。

○『仏教の再生』 大法輪閣 山崎龍明著 
 「親鸞における「信心」とは、世俗の価値観にどっぷりとつかって生きている人間の改造を果
し、自己変革をうながすものでした。それはさまざまな呪縛に執われ、がんじがらめになって生
の方向を失っている、自己を解放するものでした」(本文より)。なぜ私たち念仏者が戦争やヤ
スクニ」、愛国心教育や「日の丸・君が代」の強制に反対するのか?その疑問がスーッと解け
たような気がしました。

○『社会をつくる仏教』 人文書院 阿満利麿著
 僧侶として、仏教徒として是非一度読んでみてください。「従来の仏教では、「苦」の原因はも
っぱら個人の内面に巣くう無知や欲望と考えられた。しかし、ベトナムの仏教徒たちは、戦争と
いう現実の苦しみのなかで、「苦」の原因には社会が生み出したものがあるのではないか、と
気づきはじめた。そして、「苦」の原因となる社会の矛盾、社会構造の変革に積極的に立ち向
かうことになった」(本文より)。

○『焼身』 集英社 宮内勝典著
 1963年、南ベトナム政府の仏教弾圧政策に抗議し、自らの体を焼いた(「焼身供養」)ベトナ
ム人僧侶=クアン・ドゥック師の足跡を追い求めたドキュメンタリー。なぜ自らの体を焼く必要
があったのか?同じ仏様の教えを聞く僧侶・仏教徒として考えずにはおれない。



●「その他」関連
○『他人を見下す若者たち』 講談社現代新書 速水敏彦著
 今、日本社会に渦巻く何ともいえない「不安」や「イライラ感」。それが一番顕著にあらわれて
いるのが若者たちだという。その原因を探る。最近の日本人の右傾化や親攻撃的な態度。も
しかしたらこういうところからもきているのかも知れない。

○『「ニート」って言うな!』 光文社新書 本田由起・内藤朝雄・後藤和智

 お勧めです。「ニート」と聞くとやる気がなく、ひきこもり、何を考えているか分からない犯罪
予備軍、社会のお荷物≠ニいったイメージがある。そして、「カウンセリングを受けさせろ!」と
か「教育によって根性を叩き直せ!」とか、その責任のすべてを(子ども)個人に押し付けようと
する風潮が社会の中に出来つつある。それに対して、この本では、ニートの増加は単に個人
の問題ではない!日本社会・経済・労働市場の構造的な問題(グローバリズム化・人件費削減
のための非正社員雇用の増加等)から生じており、「経済、福祉、法の問題として取り組むべ
きことを教育や心の問題にすりかえて」いると指摘している。
 しかし現実はというと、そんな私たちの間違った理解を、マスメディアが「ニートの増加」=「少
年犯罪の増加・凶悪化!」と大々的に煽る。それによって国民の中の不安と憎悪が一層増幅
させられる。さらに、それを一部の政治家が「監視を強化しろ!」とか「徴兵制を復活させ
ろ!」、「教育が悪い!法律を改正しろ!」と自らの主張を実現するために利用する。この本を
読んでいてそんな構造が見えてきた。

○『いのちの食べ方』 理論社 森達也著
 毎日私たちの食卓にのぼる豚肉や牛肉を手がかりに、「いのちについて」「被差別部落の歴
史について」「戦争を引き起こす私たちの無関心について」など、非常にわかりやすく語られて
いる。対象は中学生以上だけど、大人でも是非一読してみてください。



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