スタック top のオブジェクトを複製するには、RET か SPC
(どちらも calc-enter
コマンドの等価キー)を押します。
このコマンドに正の接頭引数を与えると、top からの複数の要素群を複製します。
負の接頭引数を与えると、指定の項を複製します。
ゼロの接頭引数を与えると、スタック全体を複製します。
例えば、スタックに `10 20 30' がある場合に、
RET を押すと `10 20 30 30',
C-u 2 RET と打つと `10 20 30 20 30',
C-u - 2 RET と打つと `10 20 30 20',
C-u 0 RET と打つと `10 20 30 10 20 30' となります。
LFD (calc-over
) コマンド
(ラインフィード記号の付いたキーがあればそれ、無ければ C-j)
は、calc-enter
に似ていますが、
接頭引数の符号解釈が正反対になっています。
しかも、接頭引数を付けない場合のデフォルトは2です。
そのため、スタックに `10 20 30' がある場合に、
LFD と C-u 2 LFD はどちらも C-u - 2 RET と等価で、
`10 20 30 20' となります。
スタックから top の要素を除くには、DEL (calc-pop
) を押します。
C-d キーは DEL と同義です。
(もし top が要素を1個以上持つ不完全項ならば、
そこから最後の要素だけが除かれます。)
正の接頭引数を与えると、複数の要素が削除されます。
負の接頭引数を与えると、指定された要素が削除されます。
ゼロの接頭引数では、スタック全体が空にされます。
例えば、スタックに `10 20 30' がある場合に、
C-u 2 DEL で `10' が残り、
C-u - 2 DEL で `10 30' が残り、
C-u 0 DEL でスタックが空になります。
M-DEL (calc-pop-above
) は DEL の類似コマンドで、
RET に対する LFD のような関係です。
すなわち接頭引数の符号解釈が正反対で、
接頭引数を付けない場合のデフォルトは2です。
そのため、M-DEL 単独ではスタックの top から 2番目の要素を削除して、
それ以外のスタック要素を残します。
M-3 M-DEL は、スタックの top から 3番目の要素を削除します。
スタックレベル 1番と 2番の要素を入れ替えるには、
TAB (calc-roll-down
) を押します。
正の接頭引数を与えると、
指定した数のスタック要素が下向きにローテーションします。
負の接頭引数を与えると、
スタック全体が指定したステップ数だけ下向きローテーションします。
ゼロの接頭引数を与えると、スタック全体が上下逆順になります。
例えば、スタックに `10 20 30 40 50' がある場合に、
TAB を押すと `10 20 30 50 40' のようになり、
C-u 3 TAB では `10 20 50 30 40'、
C-u - 2 TAB では `40 50 10 20 30'、
C-u 0 TAB では `50 40 30 20 10' となります。
M-TAB (calc-roll-up
) は TAB の類似コマンドで、
ローテーションの方向が上向きになります。
しかも、接頭引数を付けない場合のデフォルトは 3 です。
例えば、スタックに `10 20 30 40 50' がある場合に、
M-TAB を押すと `10 20 40 50 30' のようになり、
C-u 4 M-TAB では `10 30 40 50 20'、
C-u - 2 M-TAB では `30 40 50 10 20'、
C-u 0 M-TAB では `50 40 30 20 10' となります。
スタック内の特定の要素がどこに移動するかを観察すると、 TAB や M-TAB の動作がよく判ります。 接頭引数が正の n の場合、 TAB はスタックレベル 1 の要素をレベル n に移動し、 両レベル間の要素群を 1段ずつ下方に(top方向に)シフトします。 同じ接頭引数で M-TAB の場合は逆に、 スタックレベル n の要素をレベル 1 に移動し、 両レベル間の要素群を上向きにシフトします。 (いっぽう LFD は、同じくスタックレベル n に作用しますが、 その要素を移動するのではなく複製して top に push します。)
負の接頭引数 -n の場合、 TAB はスタック全体を n ステップ下向きローテーションして、 レベル n の要素がスタック最深部へ行き、 レベル n+1 の要素がレベル 1 に来ます。 M-TAB では n ステップの上向きローテーションなので、 スタック最深部の要素がレベル n に来て、 レベル 1 の要素がレベル n+1 に来ます。
これらのコマンドを、 スタック上のベクトルや式の一部に作用させる方法は、 サブ数式のセレクション 参照 。
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