「う…あ、ガイ…」
熱い肌が合わさっている。
カーテンは閉じているけれど筋になった光が入ってきていて、浮かぶ汗の玉と白いシーツを輝かせた。
再会して、はじめてガイと呼んだ時、ルークはガイに対して強い安堵を感じた。
巣からはぐれていた雛が親鳥に再び巣に連れ帰ってもらうような。
心地よくてガイの傍に行くことが多くなった。
ガイもそれを喜んでくれるから甘えていた。けれど、はじめて唇を奪われてから少しずれが生じたとルークは思う。
快楽を共有する時のガイはきっとずれたものを見ている。
それ以外の場面で与えられる安心感や親しみ、軽口を言い合う瞬間を失うことが怖くて、ルークはガイの言うままに従っているけれど。
日を追うごとにガイがルークに向ける熱情が高まって、ルークの受け取っていない分はどこだか知らないところへ積もっていった。
すべらかに足の間から割り込んでくるガイを受け入れて振動に耐える。
感情のずれを暴かれはしないかと不安になる一時だ。
いや、本当はもう知られている。だからガイはいつも激しく快楽を与えることでルークをごまかそうとするのだ。
「ガイ…、いやだ、俺…」
体を上にずらして、ガイの腕から逃げることでルークは浸して食われてしまいそうな快感を拒否する。名残はうずき、誘惑が強いけれどルークはこれ以上のずれを看過したくなかった。
「なんで」
「ガイと、俺の関係ってこんなんじゃ…ないだろ…」
こんなに歪んで傷むような関係はガイに似つかわしくない。
光を遮ってお互いの奥底を見て見ぬふりをするような間柄ではなかったはずだ。ルークがガイをかすかでも思い出した瞬間、感じたのは太陽の光の下とそれと…もっと爽やかなものだったから。
ガイの体の下から逃れてだだっ広いベッドを降りるべく、ルークは起き上がって端へ向いた。しかしシーツについた手を掴まれて再びガイに組み敷かれる。
つかまれた手は離してもらえない、たぶんこのまま固定されるのだろう。
「ガイ!いやだって、…頼むからっ」
「俺を、拒むのか…ルーク、おまえが…」
『目の前にいる俺』をおまえが拒んでいるからだよ。ガイラルディア・ガラン。
ルークは嘆きをガイに伝えない。きっとわかってくれないから。
代わりに別のことを告げてみる。それを言えば優しいガイは自分を手放してくれると信じて。
「俺にはマリィの父親がいるから」
ガイが傷ついた顔をした。でも他の場面でならこんな表情をしても、その後淡く微笑んで、ルークの要求を聞いてくれた。
だからルークが顔を上げればそこにあるのは、ガイの淡い笑顔なはずだ。
けれど合わせたガイの瞳は笑ってなどいなかった。ずれというレベルではない。完全に、ここにいるルークを見てはいない瞳。
「…覚えてもないんだろ…よく言う…」
「あっ…う…」
堕ちれば逃げなくなる。そう踏んで、ガイは手を止めるどころかルークの内を刺激して快楽に酔わせていった。
白熱する感情に思考を蝕まれながら、ルークはこれが終わればまたしばらく『心の友』の付き合いをできるのだから、とあきらめ。
友達としてならこんなずれは生じないのだから、ずっとそのままでいてくれればいいのに、と心を痛めた。
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ラブくしようと思ったのにっ
すれちがい愛が大好きなんです。
2006/2/1
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