悪意の通天閣マニア
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朝日新聞 08322
ふわり大阪、空の旅
世界最大の飛行船「ツェッペリンNT」による関西初の遊覧クルーズが21日、始まった。
大阪府岸和田市の発着場から飛び、この日は通天閣やユニバーサル・スタジオ・ジャパンなど
大阪市の上空を約1時間かけて巡った。 (後略)

(引用終り)
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新聞記事としてはどういうことのない記事だが、添付されてる写真が興味深い。
大阪版と全国版とでは写真が違うのである。
勘の鋭い人なら、この時点で予想がつくだろう。

大阪版  全国版




写真だけを抜き出してみよう。

           

左の写真は、大阪(関西)在住ではない人でも少し注視すればすぐに大阪城が確認できると思う。
大阪城という説明がなくても、城の天守閣らしきものが写ってることで、容易にこれが大阪城だと予想できるだろう。
大阪城が確認できにくくても、その向こうに広がってるOBPのビル群単独でも見栄えする写真であろう。
遊覧飛行の写真としては納得できるものである。

一方、右の写真は左の写真と比べると、被写体が何であるのかは分かりにくい。
通天閣という説明がなければ、分からない人も多いのではないか。(特に他の地域の人は)
通天閣が分かったとしても、肝心の通天閣が見栄えしないのでは遊覧飛行の写真としては失格である。

大阪版が本文では「この日は通天閣やユニバーサル・スタジオ・ジャパンなど」と書いていながら
写真は大阪城のそれを使ったのも上の評価を裏付ける。




確認しておきたいのは、いま論じているのは、大阪を紹介する写真は、
通天閣と大阪城のどちらがどちらがふさわしいかという一般論としての選択ではない。

上の2枚の写真のうち、新聞に掲載する写真としてはどちらが適切か、という選択である。
1
枚は何が写ってるか判別が容易な写真。
もう1枚は何が写ってるかよく分からない写真。
これで右の通天閣の写真を選ぶのは、よほどの通天閣マニアだと思うのだが、どうだろうか。




もっとも、東京の朝日新聞は必ずしも通天閣の写真を掲載したかったのではないのだろう。
そういう意味では、彼らは善意の通天閣マニアではない。
彼らは通天閣そのものには興味はない。
彼らは何が写ってるかよく分からない「ゴミゴミした」大阪の写真を掲載したかったのである。

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