関西のおばちゃん出演 JR東海の関西限定CMが話題

じゃ、東京行っちゃう?」−。JR東海(名古屋市)が関西限定で放映している初のテレビ
CM「トーキョー☆ブックマーク」が、浪速っ子たちの話題を呼んでいる。遊び心と笑いを
盛り込んだ“大阪テイスト”に仕上がっており、同社がこれまで手がけた「シンデレラ・エク
スプレス」などの洗練されたイメージとは正反対の内容。放映前に社内から「東京では放
送すべきでない」といった意見も出たが、CMが誘導するウェブサイトの閲覧数は約1・5
倍になり、人気は上々という。

 CMは、ヒョウ柄の服を着た“おばちゃん”2人が六本木ヒルズで服を買う「ヒョウ柄編」、
Ol同士が制服のまま東京タワーへ行く「刺激不足編」、夫婦がタンゴのように手を取り
合って同伴出張する「夫婦出張編」など5種類。

 いずれもコテコテの関西弁を話す登場人物が「じゃ、東京行っちゃう?」と慣れない東
京弁で語りかけると、コミカルな音楽が流れ、新幹線に乗って移動していく。

 おばちゃんが車内で食べるアメや、OLが身につけているイヤリングなど、特注の新幹
線グッズ9種類をさりげなく見せ、登場人物のプロフィルをウェブで公開するなど細部にも
こだわった。

 「トーキョー☆ブックマーク」は、JR東海と旅行代理店4社が平成17年10月から販売
する旅行商品。大阪−東京間の「のぞみ」往復運賃2万8100円より3000円程度安い
値段で、「ひかり」での往復と有名ホテルでの1泊ができる。

 Mでは安さや商品内容を直接訴えず、視聴者をウェブサイトへ誘導する手法を採用。
閲覧ページ数を示す「ページビュー(PV)」は放映前の1日約9万PVから約13万PVに
伸びたという。

 R東海がこれまで手がけたCMは、遠距離恋愛の男女が東京駅ホームで別れを惜しむ
「シンデレラ・エクスプレス」(昭和62年)や人気グループ、TOKIOを起用した「アンビシャ
ス・ジャパン!」(平成15年)など、全国展開でイメージアップを狙うものが多かった。

 今回は、関西から東京への観光需要を掘り起こし新幹線利用につなげる目的とあって、
初めて関西限定で放映。東京の魅力をストレートに伝えると、「関西を田舎と思ってる
んか」と反発されかねないため、名古屋の会社としては異例の関西色豊かなCMにした。

ただ、社内では制作段階から慎重な意見が相次ぎ、ある営業幹部は試写会で「イメージ
が悪くなるから、東京では放映しないだろうな」と念を押したという。

 R東海ではCM放映期間を14日まで約2週間の限定とし、効果を見極めたい考え。同
社関西広報室は「関西人にとって東京は特別な場所ではなく、日常の延長にあるはず。C
Mには、ふらっと新幹線に乗って遊びに行ってほしいという願いを込めた」としている。

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