ジオン公国軍

MS-07B グフ HGUC 1/144
\800
型式番号 MS-07B(YMS-07B)
所属 ジオン公国軍
開発 ジオニック社
生産形態 量産機
全高 18.7m
頭頂高 18.2m
本体重量 58.5t
全備重量 75.4t
出力 1,034kw
推力 40,700kg
最高速度 99km/h(地上最大走行速度)
装甲材質 超硬スチール合金
武装 75mm5連装フィンガーバルカン
ヒート・サーベル(グフサーベル)
ヒートロッド
ヒートホーク
シールド
MMP-78ザク・マシンガン
360mmジャイアント・バズ(弾数10)
搭乗者 ランバ・ラル
ジオン公国軍が地球侵攻の折に使用したザクII J型はあくまで地上に対応させるための改修型で、新たに陸戦専用のMSの開発が求められた。そこで開発されたのが「グフ」である。陸戦型ザクIIで問題となっていた装甲の強化や運動性の向上とあわせ、連邦軍のMS開発を考慮して、白兵戦用に機体本体に固定武装を追加された、ザクとは違う機体となった。

 ザクIIとの外観上の違い
全体的なフォルムはザクIIとの共通点が多いが、アニメの設定でも模型でも、面構成はかなり異なる。これは劇中設定とアニメ制作どちらにおいても、ザクIIの設計を基礎として発展させたためと考えられる。ただし出力データや劇中で描かれる性能などから、機体内部のメカニズムは相当異なると思われる。外見的な主な違いは以下の通り。

隊長機マーク(いわゆるツノ)が全機についている。隊長であるランバ・ラルが用いた機体のみならず、ラルの死後に登場したグフも隊長機マークが全機についている。これは初代ガンダムの作画における細部設定がまだ曖昧で、またバンクシステムがかなり使われておりメカや戦闘シーンのバンクは非常に多かったことが理由として考えられる。資料によってはこれを通信用アンテナとし、電波の伝わりづらい地上では、一般兵にも高出力アンテナが必要とされたとの説明がなされている。
モノアイ(頭部カメラ)の溝の前後高さが細い。初代ガンダムでは、ここがザクIIと同じ高さになっていたという作画ミスが比較的多く発生していた。
動力パイプが顔の横(人間で言えば耳の位置)で上がっているため、モノアイの端の短い溝が無い。
肩のアーマーが両肩とも丸型で、スパイクの一本が内側に反り返っている。
固定武装(ヒートロッドとフィンガーバルカン)の追加。
腹部コクピット部ハッチとランドセル(背面ブースター)の形状が全く異なる。設定書ではコクピット部は窓付きの直接視認型のようにも見えるが、劇中や模型では窓部分の色違いは単なるパネルラインとして処理されている。
脚部も、動力パイプが外部に露出していない、脛にブースターの様な穴が開いているなどの違いがある。
放送当時に出ていた子供向けのアニメ絵本では、シャアがシャア専用ザクに乗っているシーンを描いたつもりが、赤いグフになっているシーンもあった。アニメ絵本の作画担当が、細部をよく見ずに混同したためと推測される。

 開発経緯
ジオン公国軍は地球侵攻に向けてザクII(MS-06F)を地上用に改修した陸戦型ザクII(MS-06J)を投入することで対処した。しかし、所詮改修型では限界があり、すぐに後継機の開発に着手する。当初はグフ(MS-07)とMS-08の二つのプランが平行して進められたが、MS-08プランはYMS-08A(高機動型試験機)の5機をもってグフ(YMS-07A)のプランへ統合された。ただし、後にMS-08の型式番号を継承したイフリート(MS-08TX)が製作されている。

グフのプラン(MS-07)は地球侵攻作戦によって制圧した北米キャリフォルニア基地で設計・開発が進められ、ジオニック社によって陸戦用ザクIIをベースにプロトタイプグフ(YMS-07)が完成した。開発にあたってはMS同士の格闘戦を想定し、胸部装甲の強化、右肩に固定されていたシールドを取り回しの良い左腕部に設置し、両肩には大型化したスパイクアーマーを備えた。また、陸上における運用のためラジエターの大型化とともに機体の軽量化が図られ、バックパックはYMS-08A(高機動型試験機)のデータを基に製作された。開発当初から、重爆撃機ドダイYSとの連携攻撃を考慮されていたため、従来指揮官機用だった頭部通信アンテナを標準装備とした。試作1・2号機は通常のマニピュレーターだったが試作3号機から固定武装が装備された。

量産化にあたり試作型プロトタイプグフからの主な変更点はモノアイスリットを前方のみとしたこと、脚部の動力パイプを内装式としたこと、脛部にスラスターを追加したことなどである。本体は予定されていた固定武装の開発よりも先行して製造されたため、通常のマニピュレーターを装備した試験型テストタイプ(YMS-07A)がドダイYSとの連動テストや局地での可動データ収集をおこなった。この機体のテストデータを基に初期生産型(MS-07A)32機が先行生産されている。両腕の固定武装は試作型(YMS-07B)で標準化され、その後に標準装備型(MS-07B)として本格的に量産化されている。試作型は標準装備型と基本的に同一の仕様だが、ファインチューニングを施されていたため好成績を挙げている。

陸戦用ザクIIの生産ラインに替わって量産化されたグフは、オデッサやジャブローでの戦闘に大量に投入された。白兵戦を重視した本機は高性能で、熟練パイロットに特に好まれたが、一般パイロットには扱いづらく、操縦性に難点があった。また、接近戦用に特化しすぎた内蔵式の武装は汎用性に欠け不評で、改良型のMS-07B3ではMS-07Aと同様の通常型マニピュレーターに戻されている。

本機を母体にMSを飛行させる計画が進められていたが、計画は芳しい結果を出さずに終わった。しかし、副産物としてMSのホバー走行に目処が立ち、ツィマッド社のドムで「MSの行動半径拡大」という目的は達成されることになる。以後陸戦用MSの生産の主体はドムに移ったが、一部の熟練パイロットはその後も、垂直方向への機動力の高いグフを好んで使っていたようである。

 武装
固定武装を持たない先行量産型(MS-07A)は実戦で120mmマシンガンを装備していた機体が確認されている。

先行試作型(YMS-07B)と標準装備型(MS-07B)では両腕に固定武装が装備されている。白兵戦用武装として右腕部には伸縮式の電磁鞭であるヒートロッドが内蔵されている。最長で17.5mまで伸び、特殊デンドリマーを積層することにより幾層からなる圧電アクチュエーターを構成し、各層に独立して電荷を与えることにより自在に動かすことができる。それにより敵MSに絡みつき大電流を流すことで、電子回路を損傷させるとともにパイロットを感電させること(劇中の設定であり、実際には例えば車や航空機に落雷してもこのようなことは起こりえない)や、電流とともに熱を発生し敵装甲を溶断すること(こちらは実際にも起こりえる)も可能である。この兵装は後年のハンブラビの海ヘビ、ゾロアットのビームストリングスなどの基礎となった。ちなみにビームサーベル等で切られても残った部分で使用可能である。

左手には5連装75mmマシンガン(別名グフマシンガン/フィンガーバルカン/フィンガーランチャー)を内蔵しているが、マニピュレーターとしての機能が低くなってしまい、汎用性が低いため前線での運用に問題があった。

シールド裏には格闘兵器としてヒートサーベルが装備され、高分子化合物による刀身を形成し相手を溶断することが可能である。

これは本来はビームサーベルのはずだった。劇中の描写もヒート兵器ではなく、放送時に発行の書籍でも「ビームサーベル」と明記されている[1]。しかし、その後多くの解説本がその設定を忘れてゲルググ、ギャンを「ジオン初のビームサーベル装備機」と長年にわたって記述し続けたため引っ込みがつかなくなり、“ランバ・ラルのグフの剣はビームサーベルのようだがビームサーベルではない”という認識[2]がライター間では定着した。また、ビームなのか実体剣なのかをはぐらかして「グフサーベル」と呼んでいる書籍も存在した。

なお、後年の設定では、ヒートサーベルについて「形状記憶セラミック粒子でできており、起動時にグリップに収められていた粒子が刀剣状に展開し発熱する」としている[3]。またB3型の装備の場合、設定書では「ヒートサーベル」とされていたが、映像では刃が灼熱化することがなく、その重量で叩き割る鉈のような使われ方だった。ただし、後のゲーム出演等ではほぼ全てにおいて白熱化した状態で運用されている事から、パイロットのノリス・パッカード大佐が、長時間使用する目的で灼熱化させなかったものと推測される。

 劇中での活躍
アニメ『機動戦士ガンダム』第12話にて、これまで主力として登場していたザクとは塗装だけではなく外形も違う、新たな敵モビルスーツとして登場する。が、TVでオンエアされてもしばらくは「グフ」という名前がまだ設定されておらず、今までのザクとは違う新型のザク、という扱いだった。このため、ランバ・ラルの部下クランプはグフを含むラル隊のMSを「ラル様の3機のザク」と呼んでいる。「グフ」という名前はコズン・グラハムがホワイトベースの捕虜となってから初めて脚本上に登場した。

機体の武装や能力、さらにランバ・ラルの操縦技能をもってアムロ・レイの乗るガンダムを苦しめた。後にランバ・ラルの乗った機体は「YMS-07B 先行量産型グフ」と設定されている。しかも、ランバ・ラルの乗るグフが撃破されてのち多少間をおいて第22話に、再び同様の機体が現れる。ザクと同様にこの機体も量産されている兵器である事を知らしめている。この時登場したグフは、ザクマシンガンとヒートホークにグフシールドを持つだけでなく、ヒートロッドも使っている。正確な型式名は不明。

第23話では、マ・クベがレビルによるホワイトベース隊への補給を阻止するために、3機のグフを重爆撃機ドダイYSの上部に搭載し、ドップと共にマチルダ・アジャン率いるミデア隊を襲撃。同時にアムロ・レイの搭乗するガンダムを追い詰めるものの、最終的にはGファイターの出現が原因で、全滅している。

オデッサ近郊で登場したグフ(これが後にMS-07Aと設定された)の一部は両手共マニピュレーターでザク用の120mmマシンガンを携帯していたが、その後左手に5連装マシンガンを装備した機体(後にMS-07Bと設定された)が登場した。ジャブロー戦では、ドム用兵装と思われていた360mmジャイアント・バズを装備した機体も確認されている。また、両手共に5連装マシンガンを装備した機体や、左腕にヒートロッドを備えた機体も登場し、バリエーションの豊富さを物語っている。

なお、1980年代の書籍では、グフの使用する120ミリマシンガンやヒートホークについて、「グフは両手が武器になっているため上手く使えなかった」と記述している。

グフのカラーリングが青い理由は、YMS-07Bにランバ・ラルが搭乗したときのカラーが青だったため、後の量産型にも同色が継承されたというのが一般的な認識だった。後年、モデルグラフィックス誌の記事や学研のムック『一年戦争全史・上』では新たに、無塗装の金属が表面処理により青く見えるという新説が提唱されている。実際はアニメの制作上の都合、セル画のバンクによる再使用のために青いのを、記事を書いたライターが後付で考えたもので、どちらも非公式設定である。

漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、ランバ・ラル機は、ヒートロッドを収納する右腕が太く丸い形状になり、バルカン砲を装備している左腕は角ばった形状になるなど、アニメ版以上に左右非対称が強調された腕部に変更されている。武装に関してはヒートロッドの先端に展開式のアンカーロックが付けられ、左胸に三門の小型バルカン砲(本編未使用)を装備している以外は基本性能は同じである。その他に形状記憶タイプのヒートサーベルを多用し、ガンタンクを一刀で切り裂くなど接近戦において高い性能を発揮している。「オデッサ編」では、マ・クベのギャンに率いられ集団で登場した。その中の大半が角の付いていないタイプだったが、性能的に差があるのかどうかは不明。なお、実剣タイプのサーベルを装備していた。
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2000年4月発売






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