ワニ騒動に思う


最近、何処の川でワニを見たとか、数年前上野の不忍池でワニを
見かけたとか騒動になった。そんなニュースを聞くとあの騒動を思い出す。
私が1年の7月ごろ、ひょっこりとQさんとZさんが、寮にやってきた。
この二人が、寮にやってくるときは必ず何か企んでいる。
手には、大きな水槽と、段ボール箱をもっていた。
箱の中身は、メガネカイマンというワニだった。
それも2匹(本人達は、雄、雌と言っていたが定かでない)
値段を聞くと、3万円ぐらいしたと言う。当時バイト代が1日、
5〜6、000円の時代2人で割勘で買ったそうだ。ほとんど衝動買いである。
2人で歩いていてペットショップの前をとうりかかり、目につきどうしても欲しくなったそうで、
金欠病の2人なのに3万円も出して買った行為にあきれたものだ。
寮に持ってきたのは、互いの家では飼育するのを家族が許さないため(あたりまえや)
寮で飼うことに決めたのだ。(1年にとっては迷惑なことだ)
名前を付けることになり、「万吉」と「銀次」になった。
私達が、小、中にかけて大ヒットした、本宮ひろ志著作の漫画「男一匹ガキ大将」
から名ずけたのだ。戸川万吉なる硬派の不良少年が喧嘩を通じて子分をふやし。
日本一の番長になり、「水戸のお婆」なる大金持ちのばあさんの会社を譲られ社長になる
石油を輸入するために、不良学生がタンカーを操り、それを阻止しようする。
アメリカの財閥が、タンカーに砲撃を仕掛けたり、援護するために万吉の子分が
旅客機をチャーターし、その旅客機からダイナマイトを投げ援護し、まーメチャクチャな
展開の漫画なのだが夢中で読んだものだ。(基本的に本宮氏の漫画は、人物や時代が
変わるが基本はこの物語から抜け出せていない)その万吉の1の子分が、
久保銀次で、「万吉」「銀次」と命名されたのだ。
最初のうち2人は甲斐甲斐しく世話をしていた。
鳥肉、金魚、豚肉、最初は続くのだが、お金も根気も尽き果ててきた。
まず餌代だ。ある日、寮の1年に集合がかかった。
「明日から、寮に帰るとき蛙を一人1匹取って帰ってくること」
大学の回りには、田圃がまだ残っており、蛙、ザリガニ、ワニの餌になる小動物は、
たくさん生息していた。
1年は餌さ集めが日課になり、いつしかQさん、Zさんは寮にも来なくなり、
完全に飼育は1年の仕事になった。
8月になり、合宿の時期がやってきた。
2週間、寮も不在になる。
蛙をいつもより余分に集め、水槽にいれ私達は合宿に出発した。
合宿から帰って来ると、1匹は逃げていた。1匹は生きておりこれからどうするか?
Qさん、Zさんに尋ねた。
2人はもう飼育意欲を完全に無くしているので、大学横の1級河川に放流することになった。
放流当日、2月近くも飼育していたので、少し情も移っていたし、淋しい感情が、
沸き上ったが反面、厄介払いができる気持ちもあった。
その後、その川でワニを目撃をした話は聞かない。