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「靖国」問題・私の見方
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前回は、靖国神社に祀られているのはどんな人たちなのかということで、特に明治維新前後の人々を取り上げました。そこで、今回は先の大戦中に亡くなられた人で、どのような人が祀られているのかみていきたいと思います。
みなさんもご存知のように、先の大戦では沖縄だけが唯一日本で地上戦が戦われました。その戦闘でたくさんの人が亡くなったのですが、その中には正規の兵隊だけでなく、師範学校の生徒たちが「鉄血勤皇隊」というのを組織したり、女学生たちが「ひめゆり部隊」というのを組織して、積極的に戦闘に参加して亡くなっていったそうです。また、女性や子供、お年寄りを含めた一般の市民もたくさん犠牲となって亡くなられました。
さて、そのうちで靖国神社に祀られているのは誰だと思いますか?
もちろん正規の兵隊さんは祀られています。その他に、「積極的?」にアメリカ軍に戦闘を挑んで死んだ「鉄血勤皇隊」や「ひめゆり部隊」の人たちは祀られているそうです。
しかし、沖縄戦で犠牲となった一般の人たちは祀られていないそうです。同じことは、アメリカ軍の空襲によって亡くなった本土に住む一般の市民や、広島や長崎で原子爆弾の犠牲となった人々についてもいえます。
つまり、靖国神社に祀られているのは、戦争の被害者のうち、軍人・軍属といわれる「積極的?」に戦闘に参加していった人たちだけだということです。空襲や原爆で亡くなった人は祀られていません。
どうでしょうか、このことからも「靖国問題」の問題点の一つがみえてくるのではないでしょうか?
「積極的?」に戦争に参加した人たちだけを『神』として祀り、顕彰することによって、「どうだ、あの人たちを見習え!」「あの人たちのお陰で、今の日本の繁栄があるんだぞ!」「もしまた戦争が起こったら、お前たちもあの人たちを見習って、積極的に戦争に協力しろよ!」「そうすれば、たとえ死んでもちゃんと『神』として同じように祀ってやるからな!」「そうすれば、日本のために犠牲になった英雄として、永遠に人々から尊敬されるんだぞ!」と言っているような気がしてなりません。
このように、靖国神社とは人々を積極的に戦争に協力させる一つの巧妙な装置なんですね。
05.1.3(tomo)
参考資料:『靖国神社ーそこに祀られている人びとー』 仮説社 板倉聖宣・重弘忠晴 |
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