夢大和フォトギャラリー
四国八十八ヵ所《土佐の国》歩き遍路の旅
空海の史跡と自然を訪ねて

第1回 24番〜26番

 
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  11月9日  JR日和佐〜(列車)〜JR牟岐〜鯖大師(泊)  歩行距離 4.6km
 高速バスの延着で乗継列車を1時間40分待ちとなり修行の道場(高知県)に入ろうとしたとたんに我慢の修行となる、四国遍路とは巧くなっているなと得心。 お陰で妻と観賞した映画「眉山」に行けた。已む無く牟岐駅まで列車となる。牟岐駅を出ると直ぐに峠越え、昔日の難所「八坂八浜」の名残か。
 一時間程で番外札所 鯖大師 に到着、護摩供養を体験したく今夜は此処の会館でお世話になる。同宿者は東京の女性1人のみ、この方二度目の歩き遍路、それだけ魅力が有るとの事、経験談を聞かせて頂くが同感するところ多し、この先4日間、何度かお目にかかることと成る。今の自分は一度切りとの覚悟で歩こう。 写真は 御蔵洞

 11月10日  宿〜古目大師〜宿  歩行距離 20.1km
 鯖大師での早朝護摩供養は友人のお勧めだけあって厳かでドラマチィク、薄暗いお堂の中、供木が燃え盛り太鼓の音に読経が胸を揺さぶる、何時の間にか般若心経を唱えている自分。
 この感動を胸に7時半出発、程なく入江でアオリイカを釣るおじさん、鹿児島を目出す自転車青年に各々「頑張って」と激励されルート55号を歩くこと14km宍喰道の駅に11時過ぎに到着、食事休憩後レンタル自転車で竹の島へ、途中の古目大師を参り阿波の松島「みとこ湾」の絶景に見惚れ、柱状節理に似て非なる化石連痕に驚く。
 本日の一番難所は638mの水床トンネル、明るいが息ぐるしさを感じて急ぎ足で通過、高知県に入る。今夜の宿は東洋町の「みちしお」さん、前の海岸でサーフィンに興じる若者多し。暫し打ち寄せる波を目で追いつつ心地よい音に打たれる。
 紺碧の空の下煌めく海原を眺め波の音を聞き潮風に触れながら遍路道を歩くこの充実感!歩く遍路の楽しさを此処でも痛感。

 11月11日  宿〜東洋大師〜佛海庵〜宿  歩行距離23.1km
 冷え込んだ朝で好天気、6時に浜辺(生見海岸)へ東南の方位の空は薄っすらと朝焼け、6時33分弘法大師が呼んで下さったのか達磨大師が出現、初のお目見え思わず合掌、デジタル倍率を上げシャッターを切る。今回の旅で見たいと思っていた水平線からの日の出、まさか達磨大師が拝めるとは。ア〜嬉しい。
 7時45分に宿を出発、東洋大師では朝のお勤め中、東洋町野根で古い佇まいの民家を撮影し野根川を渡る、片側に桜並木が続く咲けば見事だろう。ルート55号に戻って11km、くじらの里室戸市に入る。
 仏海庵に11時15分着、昼食休憩後3km程先の佐喜浜港辺りで今回二人目の歩き遍路さんに会う、5km先の夫婦岩迄同行す、60歳で今回が7年振りの2回目とか、昨日の女性も2度目、不思議だ、やはり一人歩き遍路にはまっておられる。
 そびえ立つ夫婦岩、伊勢の夫婦岩は仲睦ましい感じだが室戸は、逞しく世間の荒波に立向かう太い絆の夫婦像。思い存分潮風に触れ家族の事とか色々思い巡らす。
 今夜の宿「椎名」さんに3時過ぎ到着、昨日より足の水膨れが酷い感じ、でも、夕食で元気復活、キンメタイの煮物に鮑、戻り鰹のたたき、これが大トロの味わい、遍路旅でこのような高級魚を頂けるなんて感謝・感謝!

11月12日  宿〜御蔵洞〜24番最御崎寺〜25番津照寺〜宿  歩行距離 21.5km
 7時40分出発、山並みと雄大無限の太平洋との間を進む、大自然の中に我が身を置き何時しか自然に融け込んでいる自分、無心とは此の事なのか・・・
 右手山頂に真白い風車が見えゆったりとプロペラが回り、そこを旋回する鳶が一羽、長閑な風景。
 程なく白く輝く青年大師像が見えた、見えたと端に感無量、ついに来た23番薬王寺からおよそ74km3日掛かりの歩き遍路(内15kmはやむなく列車)楽しくもあり苦しくもあった道中、水膨れで痛む足、今迄の自分なら先の酷く成るのを心配して落ち込んでいたが、今は違う、歩けていることに感謝歩ける間は歩こうと前向き、自分ながら遍路を通して変わったと思う。
 威圧する様な御蔵洞、洞の中から見る青い海と空、ここで空海と名乗られた弘法大師と同じ風景を見た。海沿いの遊歩道を少し楽しんだ後24番最御崎寺へ登り始めると亜熱帯の森を行く雰囲気、ゴーゴーと海を渡る風音を聞きながら20分で山門へ。改めてよく歩いて来たなと感慨に浸る。眼下の室戸港と黒潮寄せる海岸、そして大海原をゆっくり眺める。帰り道不思議と荷が軽くなっている。室戸道の駅でお土産を買う、西国三十三ヵ所を巡拝された店の方と話が弾む。
 室津港の漁船を見て直ぐに25番津照寺、急な階段を登り参拝、今回会った3人目のお遍路さん、遍路の教授資格を間も無く得られる方に出会いこの先の宿情報を頂く。
  近くの魚屋さんでキンメタイの一夜漬けを買い今夜の宿「うらしま」さんで炙って貰い久し振りのビールで舌鼓、『この幸せ者』と大師の声が聞こえそう

 11月13日  宿〜26番金剛頂寺〜土佐くろしお鉄道奈半利駅  歩行距離18.7km
 7時15分に出発し金剛頂寺を目指す、準備運動はしたものの直ぐの山登りはきつい。30分ほどで山門、今回最後の札所、此れ迄の感謝とこの先の無事を願い又「一粒万倍の釜」・「がん封じの椿」に各々願いを込め参拝。
 17.5km先の奈半利駅へと帰途につく、札所からの下り道は石畳・落ち葉・小石と滑りやすく要注意。途中にある吉良川町の激しい風雨から守る先人の知恵が残る伝統的建造物を楽しみ、中山峠を除いて海岸線のルート55を曇りと黄砂の影響で青くない海を眺めつつひたすら歩く、足の水膨れの痛さに加え両足の脛が痛み出す、「ぼちぼち限界ですよ」と告げている、「分かった後16kmを休憩を取りながら4時間で歩きたい頑張ってくれ」と願う。奈半利へは列車時刻の15分前に辿り着く、有難うよく頑張ってくれた。
 今回の旅は、大自然の中に融け込んだ思いが堪らない、歩き遍路を通して自分の変化も感じられた、この変化を遍路中だけでは無く今後の人生に活かしたい、この先も修行と思って歩こう。
 次回は、27〜28日友人の歩き遍路ツアーに同行する、此れも又違った楽しみが味わえる。
9日の歩行地図  (赤色表示)
鯖大師
 
10日の歩行地図  (赤色表示) 阿波の松島「みとこ湾」
   
11日の歩行地図  (赤色表示) 達磨大師
   
12日の歩行地図  (赤色表示)  室戸港
   
13日の歩行地図  (赤色表示)  金剛頂寺からの帰り道