タヌキ保護 Q&Aのページ
 だいたい、5〜6月は、何人もの方から同じことを聞かれますので、まとめてみました。
お役に立てれば、幸いです。
ここに掲載している以外のお問い合わせはこちらからメールにてお願いします。
 詳しい話の前に、タヌキとは?

まずはウィキペディアを見てみましょう→タヌキ

タヌキは60〜65日の妊娠期間を経て、毎年5〜6月に子供を産み、半年間は父、母、子供数匹という家族で生活し、父も一緒に子育てをします。

タヌキの子供は真っ黒なネズミ、又はクマのぬいぐるみのようです。
生後2週間生後1ヶ月

あぁ、可愛い♪♪
よく、犬や熊の子供と間違えられて、「保護」(という名の誘拐)されます。
しばらく犬と思っていたら、目の周りを残して色が変わってきます。
だいたい、そのあたりでおかしいことに気づく人が多いみたいです。
真っ黒な時代は2週間ほどですが、そのころは肉球のあるなしでしか判断できないくらい、アライグマの子供と似ています。
アライグマだと、今は処分の対象となっているので、ご注意ください。
タヌキは犬の仲間ですので、目印は犬に似た肉球。
指は4本。爪は犬よりも長いです。
わかりやすいように、ウチのタヌキに落款を押してもらいました。
タヌキの足跡ってこんなのです。

夏のタヌキはほとんど毛がなくなり、ほっそりしていてタヌキらしくありません。
毛がないので疥癬と間違えられてしまうこともあります。
夏タヌキ

小さいから子供と思ったら間違いで、体重は2〜10キロとまちまちです。
秋以降のタヌキは大人と思って良いでしょう。
トイプードルくらいから(足の短い)柴犬くらいまで大きさの差があります。

秋になり、子供が無断外泊をしだすと分散の季節。
経験の少ない子供はこの時期によく事故に遭います。
タヌキは夜行性と言われていますが、個人的には、人の少ないところに住むタヌキは昼行性、人里に住むタヌキは夜行性だと思います。
人の少ないところで昼間何度も目撃していますし、ウチのタヌキは夜はちゃんと寝ています。

 さて。
ここからが、タヌキ保護に関してよく聞かれるお話です。

私は、専門家でもなんでもなく、自分のタヌ飼い経験からお答えするものです。
意見には個人差があることをご理解の上、お読みください。
 
 Q1 子タヌキを保護しました。どうしたらいいですか?
※その子、本当にタヌキ??
※その子、本当に子供??
 先にも書いたように、子ダヌキは黒いです。
 黒い子ダヌキがいるのは、5〜6月です。
 それ以外の時期のタヌキは小柄な大人のタヌキです。

 本当に子ダヌキかどうか確認してください。

あくまでも、ケガがない場合です。

今すぐに元の場所に戻してあげてください。親が探しています。
汚れていてもそのまま。間違ってもシャンプーしないでください。
みなさんが「保護」と思っているほとんどが「誘拐」なのです。
突然人間が見えて、驚いた親タヌキは逃げ、子供だけが残されたと思われます。
そして、その子を「保護」した時点で、鳥獣保護法違反を犯していることになります。
SNSなどで相談するのはそのことを公に広めることになりますので注意しましょう。

大雨の日に水路で流れていたのを助けたとか、明らかに誘拐ではなく、戻す場所がわからない場合は保護した場所の属する都道府県の制度や施設を調べてください。

都道府県庁(市町村役場ではないのでお間違いなきよう)の鳥獣保護を所管している部署のHPなどに載っています。
保護施設があるところや、ボランティアの獣医さんがひとまず引き取ってくれる都道府県もあります。
それを聞くために行政に電話をすると「野生動物は捕まえてはいけないので、放してください。」と言われて気分を害すだけなので、自力で調べましょう。
都道府県によっては、害獣扱いにされていて、保護対象ではない場合もあります。
保護した場所の属する都道府県にそのような施設や制度がなさそうな場合は自分で飼うか、自分で放獣するかの選択です。

自分で飼いたい場合はQ2
自分で飼えない場合はQ3

 
 Q2 自分で飼いたい場合
 基本的には、鳥獣保護法に抵触しますので、野生動物であるタヌキは飼えません。
しかし、Q1で誘拐ではないことが明らかな場合や傷病ありの場合のみ、私は応援します。

ただ、飼うとなれば、小さい頃から飼っていても、家はボロボロ、家族は傷だらけ・・・と、かなり厳しい生活が待っていることを覚悟しておいてください。
少し大きくなるまで面倒を見てその後放獣する一時飼養又は終生飼養という選択肢があります。
いずれにせよ、ちょっと法律のお勉強をしていただきたいのと、大人の事情をお伝えしなければなりませんので、こちらからメールをお送りください。
 
 Q3 自分で飼えない場合
 どんな時期でもかまいませんので、人目の少ない山奥に放してあげましょう。
飼えないと決まったら、情が移る前に放してください。

小さいから、生きていけないんじゃない?と思われた方。
たしかに、生きていけないかもしれません。

厳しいようですが、どんな状況であれ、捕まえた(=法律違反を犯した)のはあなたです。
しかも最後まで責任持てないのに捕まえてしまったんです。
先にも書きましたが、インターネットやSNSで里親探しなどもってのほか。
自分で「私は法律違反をおかしました」と宣伝しているようなものですのでやめましょう。
また、世の中には良い人ばかりではなく、悪いことで野生動物を捕まえようとしている人も多数います。
毛皮をとるために「自分が引き取ります」と言ってくる輩もいるでしょうし、
「自分の野鳥がNGなら、ツイッターで話題のタヌキ飼ってるヤツも捕まえてからにしてくれ」などと、利用してくる輩もいますので、目の前のタヌキが可愛いなら特に波風たてずに静かにしておきましょう。

役所はなんとかしてくれないのか?と思われるかもしれませんが、ほとんどの場合、山に放す作業を職員がやってくれる(かもしれない)だけで、自分の手から離れた後、幸せに暮らしているわけではありません。
 
 Q4 何でも良いからタヌキを飼いたい
 少し大きくなった秋頃に、タヌキは分散の季節を迎えます。
そのころに事故にあったタヌキがよく保護されます。
都道府県によって、扱いはまちまちです。
Q1で書いたように、都道府県ごとの制度などを調べてみてください。

ちなみに私の住んでいる大阪府では「傷病鳥獣保護ボランティア」という制度があります。
登録すれば、傷病鳥獣保護に携わることができますが、飼養期間は最大1年間。
放獣目的の保護しかできないことになっています。
名前の通り「傷病」の鳥獣ですから、基本的に元気で可愛い子ダヌキは来ません。
そして、「鳥」も「獣」も世話を頼まれる場合があります。
「私はタヌキが飼いたいから登録したので、タヌキしか預かりません」は通用しません。
登録には簡単なアンケートと面談があります。
要は「あなた、ちゃんと飼えますか?動物禁止のマンションにお住まいだったり、ご近所に迷惑をかける環境ではないですか?途中で投げ出したり、どうしても飼い続けたくなってだだこねたりしませんか?」ということの確認です。
繰り返しになりますが、運良くタヌキが来たとしても、かなり厳しい生活を覚悟しておいてください。
毎日凶暴なタヌキと格闘し、傷だらけになりながら、エサやりとトイレの掃除が待っています。
野生動物を飼うのは、生半可な気持ちでは飼えません。
 
 Q5 ケガをして動けないタヌキがいます。助けてあげたいです。
 ただでさえ臆病なタヌキ。
動けないなら特に。超警戒状態です。
保護しようと手を出すと、全身の力を振り絞って咬んできますので、絶対に手を出さないようにしてください。
また、ノミダニ、寄生虫なども持っていると思いますので、触らないようにしてください。

本タヌにとっては人間に殺されるかもしれない、という恐怖を味わっているのですから、エサや水を与えても食べませんが、見ていないところでコソッと食べる可能性はあります。
エサを長時間置くとカラスなどの別の動物が来てしまい、不衛生になるので、水でも置いて、数日様子を見ましょう。
動けないように見えていても、何事もなかったかのようにいなくなることが多いです。
血まみれで倒れているなど、明らかにケガの状態がわかる時は、市町村役場にTELです。
この場合は都道府県庁ではなく、市町村役場です。
放置しておくとそこで死んでしまってさらにめんどくさいことになるので、回収には来てくれると思いますが、この場合も運が良ければボランティアの獣医さんのところに行っているかも?というレベルです。

どうしても、今助けないと死んでしまう。と焦る方もいます。
でも、あなたがそこで手を出したときに、何をしてあげられるかを考えてください。
動物病院に連れて行ってあげたいと思っても、野生のタヌキを受け入れてくれる動物病院はなかなかありません。
運良く受け入れてくれたとしても、高額な病院費用は自分持ち。
治療後は病院が預かってくれるわけではないので、放獣するまで、又は一生、面倒見てあげられるかどうかも考えてから、行動するようにしましょう。
 
  Q6 疥癬と思われるタヌキがいます。助けてあげたいです。
 基本的にはどうしようもありません。
疥癬はヒゼンダニが毛穴に住む病気です。
ごくまれに、野生タヌキ用に飲み薬を処方してくれる動物病院もありますが、やはり少ないです。
運良く薬をもらえたとしても、飲み薬を飲ませるためには餌付けができていないと無理です。

しかも、他の動物が飲まないようにしたうえで、タヌキがエサとともに薬を口にすることができる環境であり、2週間おいて最低3回同じ個体に与えられること、一緒にいるタヌキ全部に与えることができることなど、治すのはかなり難しいのです。
薬を与える時期も、繁殖期を避けるなどの工夫が必要です。
人間でもそうですが、各種病気は元気がない時、弱っている時に発病します。
すぐに薬を与えるのではなく、なにか元気になれるようなエサを与えてみるところから始めてみても良いかもしれません。

※タヌキは夏期や発情期など、毛が薄くハゲハゲになっている場合があります。
 犬の比ではないくらいハゲます。
 見慣れていない人はそれを疥癬と見間違う場合も多いです。
野生の疥癬タヌキ

ちなみに我が家のタヌキは預かってから半年で発病したので、飲み薬ではなく病院で皮下注射をしました。
2週間あけて、全部で3回×2頭分。
ヒゼンダニは死滅し、皮膚はきれいになりましたが、毛穴がダニに侵されて毛根の復活に時間がかかったことや、春先〜夏だったのでそもそも毛が抜ける時期だったことから、なかなか毛が生えず、半年以上はげてました。
 
 Q7 タヌ飼いさんとしてメディアに出て欲しい
 保護の話ではありませんが、よく問い合わせがあるので書いておきます。
テレビや雑誌などで「タヌキとの生活を取材したい」というお話が時々来ます。
確かに私はタヌ飼いですが、あくまでもQ4に書いた「傷病鳥獣保護ボランティア」としての活動です。
つまり、ウチのタヌキは大阪府からの預かりものという扱いですので、大阪府の担当課からOKが出た場合のみ、取材OKとさせていただいております。
で、OKが出るのかということですが、ほぼ出ないです。

ウチのタヌキはわりと慣れていて、家では好き放題遊んでいますが、取材などで他人が来たら、普段の様子はまず撮れません。
  yosshisgarden 2017