シラカシ(白樫)
| 樹形 | 樹皮 | 葉 |
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1. 樹形:常緑高木で、高さは20mに達します。枝葉が緻密に茂り、自然状態では丸みを帯びた豊かな樹冠を形成します。
2. 樹皮:灰黒色で、老木になっても裂け目は目立たず、比較的滑らかな質感を保ちます。
3. 葉:互生し、形は細長い披針形です。
表面は濃緑色で光沢があり、鋸歯(ギザギザ)は葉の縁の上部(先端から1/3〜1/2程度)に、浅く鋭い鋸歯がある。
基部付近は滑らかな全縁となるのが特徴です。
4. 花:雌雄同株で、5月頃に開花します。雄花序は黄褐色の紐状に垂れ下がります。
5. 果実:どんぐり(堅果)は秋に熟し、卵状長楕円形をしています。
6. 種(殻斗):どんぐりの帽子(殻斗)には、同心円状の環状の模様が数段並びます。
7. 冬芽:卵形で、多数の鱗片に包まれています。
樹木にまつわるエピソード
シラカシは、その材が硬く強靭であることから「白樫」の名を持ち、古来より日本人の生活と深く結びついてきました。
材が白いだけでなく、道具の柄や車両、さらには武道の木刀の材料としても最高級品とされてきました。
文学の世界では、夏目漱石の『三四郎』に、シラカシが象徴的な背景として登場します。
三四郎が東京の風景の中で目にする武蔵野の面影を残す樹木として、
カシの木は明治期の知識人が感じた「土着の自然」を象徴する存在でした。
また、関東地方においては「火伏せの木」としての伝承があります。
冬でも瑞々しい緑を保ち、燃えにくい性質を持つことから、屋敷林(いわゆる「樫ぐね」)として家の北側に植えられ、
冬の空っ風や火災から住まいを守る守護神のような役割を果たしてきました。
民俗学的には、カシの木には神が宿ると信じられ、
神社の境内や神聖な森(鎮守の森)の主要な構成種として大切に保護されてきた歴史があります。
そのどっしりとした佇まいは、現代においても日本の原風景を形作る重要な要素となっています。