センダン(栴檀)
| 樹形 | 樹皮 | 実 |
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1.樹形: 高さ10〜15mに達する落葉高木です。
成長が非常に早く、枝を大きく横に広げて傘状の雄大な樹形をつくります。
2.樹皮: 黒褐色で、成長とともに縦に深い裂け目が入るのが特徴です。
3.葉: 2〜3回奇数羽状複葉という、細かな葉が複雑に組み合わさった大きな葉をつけます。
4.花: 5〜6月頃、若葉とともに淡紫色の小さな花を多数、円錐状に咲かせます。ほのかな芳香があります。
5.果実: センダンの実は直径1.5cmほどの楕円形で、秋に黄色く熟し、落葉後も冬空に鈴なりに残る姿が特徴的です。
鳥が好んで食べますが、人間や犬猫には有毒で、メリアトキシン等の成分により激しい嘔吐や呼吸麻痺を引き起こす恐れがあります。
内部には縦筋のある硬い核があり、その形状から古くは数珠の材料に利用されました。
生薬としては「苦楝子」と呼ばれ、駆虫や皮膚薬に用いられた歴史を持つ、毒と薬の側面を併せ持つ実です。
6.種子: 果実の中に、縦に筋の入った硬い核が1個あり、その中に数個の種子が入っています。
7.冬芽: 半球形で小さく、褐色の毛に覆われています。葉痕は大きく目立ちます。
樹木にまつわるエピソード
センダンといえば、「栴檀は双葉より芳し(せんだんはふたばよりかんばし)」という有名なことわざがありますが、
実はこの言葉が指しているのは、本種のセンダンではなく、香木の「白檀(ビャクダン)」のことです。
本種のセンダンは、花には香りがありますが、芽出しの時期に強い香りを放つことはありません。
この混同は古くからあり、文学や歴史の中で不思議な誤解を生み続けてきました。
一方で、本来のセンダンも日本の暮らしに深く根ざしてきました。
果実は「苦楝子(くれんし)」という生薬として、古くからひびやあかぎれ、駆虫の薬として利用されてきました。
また、センダンには強い殺虫成分(アザジラクチンに似た成分)が含まれているため、農作物の害虫除けとして葉や実を撒いたり、
材を家畜の寄生虫除けに利用したりと、先人の知恵が詰まった「実用的」な樹木でもあります。
文学の世界では、清少納言が『枕草子』の中で「栴檀の木、いみじうおかし」と、その花の美しさを讃えています。
また、その実が数珠の材料に似ていることから、別名「珠数玉(スズダマ)」とも呼ばれ、信仰の対象に近い親しみを持たれてきました。
冬の枯れ木に実が残る姿は、古来から日本の原風景の一部として、詩歌や絵画の題材となってきました。