クロガネモチ(黒鉄黐)

樹形 樹皮
  1. 樹形: 樹高10〜20mに達する常緑高木。主幹がまっすぐ立ち上がり、枝を斜め上に伸ばして、豊かで丸みのある樹冠を作ります。

  2. 樹皮: 明るい灰色から灰白色。滑らかで、老木になっても大きく割れることはありません。

  3. : 互生。楕円形で厚みがあり、表面には強い光沢があります。
      葉の縁に鋸歯がない(全縁)であること、そして葉柄が紫黒色を帯びるのが最大の特徴です。
      
    葉身が中肋に沿って少し折れ曲がり、舟のような形になることがよくあります。

  4. : 5〜6月頃、新枝の付け根に淡紫色の小さな花を多数咲かせます。

  5. 果実: 11〜1月頃、直径6mmほどの球形の果実が真っ赤に熟します。雌雄異株のため、赤い実が見られるのは雌株のみです。

  6. 肉質果/種子: 核の中に4〜6個の小さな種子が含まれています。

  7. 冬芽: 卵形で、紫がかった褐色の鱗片に包まれています。


樹木にまつわるエピソード
名前の由来は、若い枝や葉柄が「黒鉄色(くろがねいろ=紫がかった黒色)」をしていることにあります。
その名の通り、性質は非常に強健。
大気汚染や潮風にも強く、都会のビル群の間や排気ガスの多い道路沿いでも、一年中ツヤツヤとした緑を保ち続ける頼もしい存在です。う祈り

「クロガネモチ」という音を「苦労がなく、金持ち(クロ・ガネ・モチ)」と読み替える語呂合わせから、
商売繁盛や家運隆昌を願う縁起木として、庭先や神社に好んで植えられてきました。
冬の寒空の下でたわわに実る真っ赤な実は、まさに豊かな実りや富を象徴しているかのようです。

クロガネモチの実は、鳥たちにとっても冬の大切な食料です。
しかし、実は熟した直後はそれほど美味しくないと言われています。
何度も霜に当たり、冬が深まって甘みが増した頃、メジロやヒヨドリたちが一斉に集まってきます。
人には「富」を、鳥には「糧」を。クロガネモチは、冬の街角に温かな循環を生み出す、慈愛に満ちた樹木なのです。