ケヤキ(欅)

樹形 樹皮
  1. 樹形: 落葉広葉の高木で、樹高は20〜35mに達します。
    幹が直立し、上部で枝が扇状に広がる「箒(ほうき)立ち」と呼ばれる端正な樹形が最大の特徴です。

  2. 樹皮: 若いときは灰白色で平滑ですが、成長とともに鱗片状に剥がれ落ち、明るい褐色の斑模様が現れます。
    この剥げ方はケヤキ特有の景観を作ります。

  3. : 互生(ごせい)に付きます。形は先の尖った卵状披針形で、寸法は長さ3〜7cm、幅1〜3cm程度。
    葉の縁(ふち)には、内側に曲がった特徴的な鋸歯(きょし)が並びます。
    秋には個体によって黄色から赤色まで鮮やかに紅葉します。

  4. : 4月〜5月頃、新葉とともに開花します。雌雄同株で、目立たない黄緑色の小さな花を咲かせます。

  5. 果実: 10月〜11月頃。直径4〜5mmの歪んだ三角形(いびつな球形)をした木質の小さな実を付けます。

  6. : 果実は乾燥すると葉が1枚付いた状態で枝から離れ、その葉が帆の役割を果たして風に乗り、遠くへ運ばれます。

  7. 冬芽: 小さな円錐形で、赤褐色の芽鱗(がりん)に包まれています。


樹木にまつわるエピソード
ケヤキは古くから「木を尊ぶ」と書いて「欅」と読む通り、日本人に最も愛されてきた樹木の一つです。
その強靭で美しい木目は、建築材や家具材として最高級の評価を受け、特に寺社建築の柱や漆器の素地には欠かせない存在でした。
古くは『日本書紀』や『万葉集』にも「ツキ(槻)」の名で登場し、古来より格調高い木として認識されていたことがわかります。
江戸時代には、街道の並木や屋敷林として盛んに植えられました。
現代でも、その雄大な樹姿から「県の木」や「市の木」に指定している自治体が非常に多く、
東京の表参道や仙台の定禅寺通りのケヤキ並木は、都市の象徴的な景観として広く親しまれています。
また、絵画の世界でも、その特徴的な樹形は日本の原風景を描く際、里山の象徴としてしばしば描き込まれてきました。
季節ごとに見せる表情の豊かさは、清少納言が『枕草子』の中で「木は…つき(ケヤキ)」と、その美しさを称えた感性にも通じています。
巨木になりやすく、各地で国の天然記念物に指定されている個体も多く存在し、まさに日本の精神風土を象徴する樹木と言えるでしょう。