イチョウ(銀杏 公孫樹)
| 樹形 | 樹皮 | 葉 |
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||
| 実 | ||
1.樹形: 高さ30m以上に達する落葉高木です。
若木は端正な円錐形ですが、老木になると樹冠が広がり、不規則で重厚な姿になります。
2.樹皮: 灰褐色で、厚いコルク層があり、縦に深く不規則な裂け目が入るのが特徴です。
3.葉: 扇形で中央に切り込みがあることが多く、並行脈が美しく並びます。
秋には鮮やかな黄色に黄葉します。
4.花: 雌雄異株で、4〜5月頃に開花します。
雄花は尾状、雌花は長い柄の先に2個の胚珠をつけますが、どちらも目立ちません。
5.果実: 植物学上は「種子」ですが、外種皮が肉質で黄橙色の果実状になります。
秋に熟すと独特の強い臭気を放ちます。
6.種子: 肉質部分の中にある白い殻に包まれた「銀杏(ぎんなん)」です。
食用として親しまれています。
7.冬芽: 卵形で、短枝の先に鱗片に包まれた芽が目立ちます。
(注意)イチョウの果実(外種皮)には、ビロボール等の成分が含まれており、素手で触れると激しい接触皮膚炎を引き起こします。
赤みや痒み、水疱が生じるこの症状は、数日後に現れる遅延型アレルギーが特徴です。
銀杏拾いの際は必ず厚手のゴム手袋を着用してください。
また、種子(銀杏)の食べ過ぎにも注意が必要です。
メチルピリドキシンによる中毒症状でけいれん等を起こす恐れがあり、特に子供の摂取には厳重な注意が求められます。
樹木にまつわるエピソード
イチョウは、メタセコイアと同様に「生きた化石」の代表格です。
約2億年前のジュラ紀に全盛期を迎えましたが、氷河期を経て、中国の一部にのみ生き残った一属一種の極めて孤立した植物です。
1896年には、東京大学植物園(小石川植物園)の平瀬作五郎により、イチョウの精子が発見されました。
これは「種子植物でありながら精子を持つ」という、植物の進化の謎を解き明かす世界的な大発見となりました。
また、日本では古くから「火伏せ(ひぶせ)の木」としての伝承が多く残っています。
イチョウは水分を多く含み、火災の際に葉から水を吹き出して延焼を防いだという伝説が各地にあります。
1923年の関東大震災では、東京・本所の旧安田庭園付近で多くの樹木が焼失する中、
生き残ったイチョウが人々を救ったと言い伝えられており、「震災イチョウ」として現在も大切に保護されている個体もあります。
文学や芸術の世界でも、その鮮やかな黄葉は秋の象徴です。
与謝野晶子が「金色のちひさき鳥のかたちして銀杏散るなり夕日の岡に」と詠んだように、
舞い落ちる葉を鳥に見立てるなど、多くの表現者に愛されてきました。
名前の「公孫樹」は、木を植えた「公(祖父)」の代には実は成らず、「孫」の代になってようやく収穫できるという
成長の遅さと長寿を表しており、家系の繁栄を願って植えられることも多い縁起の良い樹木です。