◆【山行日時】 2007年11月23〜24日 晴れのちガス、夕刻より快晴(23日)
快晴のちくもり、にわか雨(24日)
◆【画像と概要】
3日にも泊まったユートピア小屋。
その際は天候に恵まれず振子沢を登ったという事実だけにとどまり、これといった収穫のない山行だったものの、今回のユートピアはその際の山行の鬱憤を晴らすものとなった。
モヤモヤが晴れた要因は、なんといってもその日の天候に恵まれたことがまず第一で、さらに前日までに降った今シーズン初ともいえる雪の存在も大きかった。
宝珠尾根からは北壁や三鈷峰・西壁の岩壁に張り付いた新雪が荒々しさをより一層際立たせ、ユートピアに上がれば大休峠付近を覆う雲海がこれらとは対照的に女性的で素晴らしい。
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大休峠付近の雲海
(奥の稜線は甲ヶ山〜矢筈ヶ山 手前のそれは野田ヶ山〜親指ピーク〜振子山) |
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甲ヶ山、矢筈ヶ山と満月 |
夕刻には空はすっかり晴れ上がり、日が暮れるとともに満月(月齢14.2)に照らされた北壁や東壁がモノクロームの世界を浮かび上がらせた。(表題画像)
翌朝には、まだ夜の明けきらぬ米子平野のすぐ上空に達した満月の名残の光を見たあと、小屋をあとにした。
目的地までは30分少し。同宿のAさんのトレースを追い歩く。
前回もそう、そして、今回ももちろんそう。ここから朝の東壁を見るのが最大の目的だ。
残念ながら日の出の時刻が近づいても東の空は茜色にはならず、その時刻を過ぎても真っ赤な太陽は顔を見せない。
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朝日は下蒜山の右から出た
(その右は上蒜山) |
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小焼けの東壁 |
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真顔の東壁 |
少ししてぼんやりとした太陽が朝もやの中から顔を出したが、雪面は思ったほど赤くは焼けず、そのうち雪の白さが増し、朝のショーは終わった。
でも、満足だった。この時期に雪の着いた東壁を見ることができたのだから。
象ヶ鼻まで戻り、天狗ヶ峰目指し細い稜線を行く。このルートを歩くのは久方ぶりだ。
雪が着いているのでもう少し歩きやすいかと思いきや、無雪期と遜色ない恐怖感。
次第に傾斜も増すので、復路のことも考えながら歩く。
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槍尾根から天狗ヶ峰、剣ヶ峰、弥山へと続くスカイライン |
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天狗ヶ峰への主稜線
(頂上の黒い点は後述の大阪からの青年) |
振子沢源頭部を過ぎ、右に元谷沢を見下ろす箇所にはずいぶん細い場所があり、これを過ぎたあたりであえなく撤退。
槍尾根は手を延ばせば届きそうなほどの位置に、また見上げれば天狗のピークはすぐそこだったが、家族の顔が頭の隅にチラチラしかけたので、きっぱりここで止めた。
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槍尾根と烏ヶ山 |
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甲ヶ山、矢筈ヶ山を見ながら下る
(登高するのは前述のAさん) |
慎重に下り、振子沢源頭付近からは景色を堪能しながらのんびり歩く。稜線漫歩。
引き返したことは決して間違っているとは思わない。縦走したという事実が欲しい歳はとっくに過ぎたようだ。
下山時に三鈷峰に上がることにした。
下山路分岐からの踏み跡は大きな野うさぎのものだけで、それを追うように歩く。踏み跡は山頂まで続き、山頂でうろうろしたあと、どこかへ消えていた。
しばらくすると年配の5人パーティーが上がってこられた。三々五々、目の前に広がる光景に感嘆の声を挙げる。
これだけ喜ばれる姿を拝見すると、ついこちらまで嬉しくなってしまう。
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三鈷峰より望む北壁 |
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上宝珠沢より孝霊山遠望 |
稜線の下山路分岐で、昨夜のもう一人の同宿者の大阪からの青年と、さらに上宝珠では朝、一緒に写真を撮り、この時間も墓場尾根を狙って長居するAさんにも別れを告げ上宝珠沢へと下る。(彼らは連泊)
あまり状態がよくないと聴いていた砂すべりはすっかり雪の下で、ことのほか下りやすかった。
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元谷ケルンと北壁、別山 |
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大神山神社 |
大神山神社に立ち寄り見上げると、稜線はすっかりガスの中。
家族へのせめてもの罪滅ぼしのお守りを買い、山行への感謝を込めお参りしたあと、山を下りた。
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