窓の外 冷たい雨が降り続いてる。
もう碁石も片付けて、冷めたコーヒーに口を運ぶ事も
なくなって1時間は経つというの俺はにここから立ち上がれない。
塔矢も俺も傘がないから帰れないなんて言い訳だ。
「止みそうにないな。」
心とは裏腹の事を言って窓越しの曇った空を恨めしそうに
見上げた。視線を彷徨わせると
窓ガラスに移った塔矢のまっすぐな瞳とぶつかって
体中の血が沸騰してしまいそうなほど熱くなる。
熱い・・・
たとえようもなく熱い肢体から逃れるように俺は上半身を
起した。
「進藤?」
暗がりでもわかるほど塔矢の漆黒の瞳が揺れていた。
曇った窓ガラスの向こう真っ白な雪がちらついている。
「塔矢 雨がさ、雪に・・・」
最後まで言葉にさせてもらえなかった。
「進藤・・・」
「んんn・・・」
どうしてだろう。塔矢が俺の名を呼ぶだけで体が心が
お前に囚われていく。
しがみつく様に絡めた指先が 吐息が 震えてる。
塔矢・・・雪がさ・・・・降ってる
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