ヒカルの碁パラレル 暗闇の中で 

4章 正体4



 

体が熱い。
熱くて、重い。

ベッドに沈み込んでいく体が焼けるようで、助けを求めるように僅かに動いた
手を伸ばすと
両腕をぎゅっとつかまれ体が持ち上がる。

「薬は効いているようだな」

腕を引っ張られて沈んでいた体がわずかに浮く。
痛みがわずかに走り、顔を顰めた。
閉じかけていた思考が巡る。
何があったんだ?
オレはなぜこんな状況になってる?

確か緒方に人外かどうか確かめると言われ支部
からそう遠くない緒方のプライベートマンションに連れてこられて・・・。

そこでようやく思い当たったのは出されたコーヒーの中に
クスリが盛られていた可能性だった。

だが、今はそんな事はことより、沈みそうな意識を保つことだった。
何をされるかわからない。

つかまれた腕が離され、ベッドに落とされる。
また沈み込んだ体はもう自分でもどうしようもないぐらい重かった。

「てっとり早く調べるにはこれが一番だろう」

耳元でささやかれた声は間違いなく緒方の声でヒカルは落ちそうになる思考に
抵抗するようにわずかに目を開けた。

それで息を呑んだ。

緒方は服を着ていなかったのだ。そうして僅かに動いた指に当たった足が
生足であったことに事態を飲み込んだ。

緒方もヒカルも衣類は身に着けていない。
危険本能に脳は覚醒したが、沈み込んだ体は重くやはり動かない。

「ほう、もう薬が切れかけているのか?」

緒方はそういうとヒカルの腹部を撫でまわす。
気持ち悪いと思うより先に体が沸騰する。
佐為はどこだ?やけに白い天井を目だけ彷徨わせる。
佐為に助けを求めてもどうしようもない状況だ、それでもわずかに抵抗できたのは
傍に佐為がいるかもしれないと思ったからだ。
こんな姿を見られるわけにいかない。

いやいやをするように必死で体をゆすろうとしたが、動いたのは顔だけだった。

「ふ~ん、脳だけ覚醒したのか?それは落ちていく様が楽しめそうだ」

緒方は薄笑いを浮かべあろうことかヒカルの中心に触れた。
ツンと触れただけなのに体が思わずのけぞる。

思うように動かないはずなのに、こんな所だけ反応するなんて。ヒカルは
羞恥に震える。だがそれも緒方の思惑なのだろうと食いしばる。

「抵抗しても無駄だ。強力な媚薬を盛ったからな。しかも眠剤と一緒にだ」

緒方は反応を楽しみようにヒカルのあちこちを触れる。

「人外かどうか調べるだけななら、生殖機能を調べたら済んだ話だろう!」

ヒカルの声はガラガラだった。緒方の端正な顔が近づき息を呑む。

「俺はもともとお前に興味があったからな」

囁くような声と口の中で含むような笑い声が首筋を這う。
首筋を噛み吸われ、体が戦慄いた。痛みよりも快楽が上回り堪えていた口から
息が漏れる。
緒方の方がバンパイアなのではないかとさえ思う、
緒方がヒカルから離れる。

何をされるか怖い。だが、それと同時に得体のしれない欲求がふつふつと
沸き上がっていた。

「限界なのだろう、大丈夫、お前に助言をくれるものもここにはいない。
楽にしてやる」

何をしたのかわからないが、やはり佐為がいないのは緒方の仕業と悟る。
緒方の唇がヒカルの体へと埋もれ必死に唇を噛む。
その唇からわずかに血がにじむ。自分の血が甘いと思ったのも瞬の出来事の
ようだった。




穿かれた杭が、バウンドするたび、窒息しそうだった。
それでもこんな状況でも快楽に溺れようとするのは媚薬のせいだと思いたかった。

必死に食いしばっていた唇から漏れた自身の吐息に震える。
緒方の荒い吐息とともにひと際大きく穿かれ2人ベッドに沈み込んだ。
背後にいる緒方の顔は見えなかったが僅かに笑っていた。

「塔矢アキラとはしてなかったのか?」

ひょっとして、ヒカルがヴァンパイアというのはでっち上げでそのことを確かめようとした
ような言いぐさだった。

「するわけないだろ!」

そう返したが、まだアキラなら許せたかもしれないと思った自分に
オレは何を考えてるんだ!!と心の中で責した。

引き抜かれた瞬間僅かに吐物を吐く。胸の閊えは取れたが、気持ち悪さは
急激に沸き上がる。

緒方は笑いながら、弛緩してしまったヒカルを抱き上げ、ソファに運ぶ。

痛みがあったが、眠い方がはるかに上回り、
ベッドを清潔にする緒方を感じながら、ヒカルは本当の眠りへと落ちて行った。



正体5へ

ひと月以上も更新が開いていきなりこの展開ですみませんm(__)m緋色