暗闇の中らんは隣で何も知らず眠る空の首に両手をかけた。
「う・・・うん。」
空が息苦しさに寝返りをうつ。
震える手をもう1度握り締めたらんは空に覆いかぶさった。
「何・・藤守・・。」
空の声を聞いた途端 らんはからだ中
から湧き上がる憎しみに囚われていくのがわかった。
「今解放してあげる・・僕がそこから出してあげるから・・。」
「何言って?藤守やめろ!!」
首をすごい力で締められて空は気を失いそうになる。
これが藤守の望んだことなのか?
藤守がずっと耐えてきた事なのか?
首を絞める藤守は今にも泣き出しそうで悲しそうだ。
オレの存在がそんなに辛かったのか?
なあ藤守・・・答えてくれよ・・・
意識が遠のいていき何も考えられなくなった途端、潜在意識の中の
何かが空を支配していた。
「らん・・・」
空の首を締めていたらんの指が揺るえだす。
らんは腫らした瞳を上げると相手を凝視した。
「やっと出てきてくれたんだ。夜僕ずっと待ってたんだよ。
だから・・・お願い。僕のものになって。」
らんは夜の顔に唇を寄せると深く口付けた。
二人の唇の隙間から血のように赤い液体がこぼれだす。
夜がゴクリと飲み込んだのを見てらんは唇を外した。
甘い甘いらんの誘惑。
液体を飲んですぐ夜は眩暈と体が浮遊するような錯覚を
覚えた。力が入らない。
「何をした!らん」
「研究所のお薬なの・・・夜が僕のものになるための・・・。」
らんは恍惚な瞳を向けてそういうと夜に跨ったまま
自分の服を取り除いていく。
「・・僕の体・・・ もう綺麗じゃないけど。
僕・・ずっとずっと夜だけを想ってきたんだよ・・・・。」
夜は恥じらいもせず服を脱ぐらんの姿をじっと見つめた。
すべてらんが脱ぎさったあと夜がらんの腕を力いっぱいに掴んだ。
「夜・・?」
次の瞬間夜はらんをベットへと押し倒していた。
「なんで なんで動けるの?お薬飲んだはずなのに!!」
「わりいな。飲んだのはオレじゃねえんだ、それに
らん・・お前も飲んだろ?」
そのとおりだった。夜だけに飲ます事が出来なくてらんは自らも
薬を含んだのだ。
「ひどい。僕をだましたの!!」
夜はらんをベットに押さえ込むと両手を首にかけた。
はっとらんが息を飲む音がして、お互いにみつめあった。
「形成逆転・・・だな。」
らんの体が小刻みに震える。
「・・・いいよ。僕 夜に殺されるなら。
もう僕耐えるの嫌だから、辛いのやだから・・。夜僕を・・やって。」
らんは首に回った夜の腕に手を添えた。
自らそう臨むように・・微笑んで。
添えられたらんの腕を掴むと夜は万歳させるように
らんの頭の上で腕を交差させた。
「何・・よる?」
何をされるのかわからない恐怖でらんの顔が引きつる。
「お前が望んだ事をするだけだ。」
夜はらんの体に跨ったまますばやく服を脱いだ。
らんが目のやり場に困って目をそらすと夜はそれを
許さず腕と足をロープで縛りあげた。
自由にならないらんの体を夜は食い尽くすように
犯し始めた。
夜の指と唇と舌がらんの体中に落ちていく。
まるで触れていないところがないように。すべての場所が
自分の所有の場所だと言わんばかりに・・。
「あああっよる、ダメ・・・ダメだって・・。」
与えられる快楽と薬の快楽でらんはすぐに飛んでしまう。
夜は濡れたらん自身を含むと何度も何度も追いあげた。
荒い息をつぐらんに夜はようやく顔を向けた。
「そんなにいいのか?」
「ふうあああん。」
もうまともに返事をする事もできないらんを夜は乱暴に
抱きかかえると腰を突き出させる格好にする。
そこに夜が指を這わせるとらんの腰が逃げた。
それをすかさず引くと夜は指を差し入れた。
「ああんんそこは・・はああ」
くぐもった声をあげてらんは体を硬直させる。
「ゆっくり息を吐いてみろ。」
「ふうんん。」
言われたとおりにするとようやく夜はらんに優しい言葉をかけた。
「いい子だな、ほら、もっと力を抜けよ・・・。」
「はああんん・・やああ。」
指を増やされてらんがまた力をいれると夜はらん自身を
掴んだ。
「や・・やだって。」
らんは首をふってその快楽をやり過ごそうとするが
よるは許さない。
「オレに犯し殺されてえんだろ?」
指が抜かれて夜自身が当てられるとらんの体が震えだした。
歓喜に震えているのか恐怖で震えているのらんにもわからない。
夜はそっと後ろかららんを抱きしめると囁いた。
「らんはオレのものだ。だから生かすも殺すも俺の・・・だってな。」
「何?・・や ・よ よるぅ・・・はああやあ」
進入してきた夜にらんは言葉にならない悲鳴を上げた。
らんの体を夜が貫くたびにらんの小さな体がガクガクと揺れる。
「あああ。夜 夜 よるぅ・・」
「いいぜ。らんすごくいいぜ。」
「ダメ もうだめ 僕行っちゃう・・。」
「一緒に行こうぜ。らん」
夜がますます大きく穿つとらんはピクピクと体を反応させ
やがて二人は一緒に上り詰めてベットに沈み込んだ。
夜はらんを抱きしめたままそっと髪を撫でた。
「よる・・・」
「らんはオレのもんだからな。今までもこれからもずっとだぜ。」
「本当?」
「ああ本当だ。だからな・・・」
夜はらんの耳元に唇を寄せるとつぶやいた。
らんはたちまち笑顔になると頷いた。
「うんわかった。僕 夜の言う事ちゃんと聞くよ。」
「いい子だな、らん・・・約束だぜ?」
「うん。約束する。」
安心したのか眠りに落ちていったらんを夜は自分でも驚くほど穏やかな
気持ちで見つめていた。
「薬・・・オレにも回っちまったみてえだな。」
『でもまあこんなもん飲まねえでも俺はずっとあん時のままなんだぜ。らん』
心の中で言い訳して夜はらんを自分の胸に抱き寄せた。
「んn・・・よるぅ・・。」
寝言で夜を呼ぶらんにくすりと笑う。
まさか夢の中のオレに変なことされてんじゃねえだろうな。
夜はらんのぬくもりを抱き寄せるといとおしさで胸がいっぱいになった。
「愛してるぜ。らん。」
優しくそういうと夜もまた眠りに落ちていったのだった。
寝たふりをしていたらんはそばにある愛しい夜の頬にそっと手を置いた。
「これで夜は僕のもの。ずっとずっと僕のもの・・・。」
暗闇の中うっとりとそういったらんの声を夜は知らない。
END
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