わんこそら物語
3話
その晩オレはなかなか寝付けなかった。
気がつくといつもオレと一緒に寝てる夜はいねえ。
また夜遊びにでも出かけたとか。
夜はよく夜中にこっそり家を抜け出すんだ。
一体こんな時間になにやってんだってかんじだ。
「【夜】だけに夜行性とか。」
オレは自分で言ったくだらない駄洒落に顔をしかめて 布団をかぶった。
その時隣の部屋からくぐもったらんの声がした。
「ダ・・・ダメだよ。よる・・・隣の部屋にはそらがいるんだよ?」
「大丈夫だって。あいつは一度寝たら雨が降ろうが
ヤリが降ろうが起きるやつじゃねえって。」
「でも・・。」
「心配するなって・・それよりもうこんなになってるじゃねえか。」
「ああっん。」
怪しげな会話にオレは布団からのそりと起き上がると小さな壁の穴から
そっと隣のリビングを覗いた。
そしたらソファの上で夜がらんに覆いかぶさってた。
なんだよ。夜とらんのやつプロレスなんかして、
プロレスだったらオレも仲間に入れてくれたらいいのによ。
ってオレがジャマだから二人でやってるのか。
・・・にしても本格的だよな。
らんは服まで脱いで夜も夢中なのか服が乱れてるのにそのままになってる。
「よるぅ・・・もう許してよ。」
「バカ、お楽しみはこれからだろ?ほらこっちも・・・な。」
「ひゃあ、ダメだってそんなにいっぺんにしちゃ・・。」
らんの息はすでに上がりギブアップしてるのに夜はまだらんを押さえ込んでて
辞める気はねえみたいだ。 たく夜のやつ意地悪だよな。
オレとプロレスする時もそうなんだぜ。 オレが降参っていっても「まだまだいける」とかいって上から押さえ込んでくるんだ。
全く自分は大人だっていばってるくせに夜が一番子供なんだよ。
そんな事を考えてたららんに覆いかぶさってた夜がこっちを睨んで
た。
げっオレここから覗いてんのバレてる?
「よるぅ僕もう・・もう・・。」
「もう我慢できねえのか?」
「うん。だから・・。」
「らんいい子だな。」
ようやく許す気になったらしい夜はらんから離れたんで
オレも今度こそはって布団に戻ったんだけど・・・。
今度はソファの軋む音とともにらんのすすり泣く声が聞こえてきて。
「ああっ夜・・よるっ・・」
「らんいいんだろ。自分から腰振ってるぜ。」
「ヤ・・そんなの言わないで・・」
「こっちもオレに押し付けて。らんはやらしいな。」
「ひゃああ、夜触っちゃ・・めなの。」
オレはいい加減我慢できなくなってかぶってた布団をガバッと 投げて起き上がった。
夜のやつ。たくいい加減にしろよ。 オレは文句の一つでも言ってやろうと思って隣の部屋を覗いて それで驚いた。
ベットでプロレスをしていたはずの夜とらんはそこにはおらずかわりに
ナオがいたからだ。
しかもナオも全裸でプロレスをしていて・・・って
ナオの相手が羽柴空っていうのはどういうことだよ?
「藤守、ここかんじんだろ?」
「ちが・・っ」
顔を真っ赤に染めてナオは顔を横に振ってた。 羽柴空はナオの下半身に手を伸ばすと擦るように
そこを何度も撫であげてた。
「我慢できねえくせに、ここもうこんなになってんぜ。」
「ああっ・・・ヤ。」
オレは怒りがこみ上げて来て部屋に乗り込もうとしたら
ナオが羽柴空の背にぎゅっとしがみついたのが見えたんだ。
途端オレの足はすくんで胸が押しつぶされそうになった。
「・・・・らさないで。」
「なに、藤守聞こえねえぜ。」
羽柴空は夜とおなじように意地悪い声だった。
「ほらちゃんと言ってみろよ。」
羽柴はナオの下半身に這わせていた手を外すとナオを見上げていた ナオは羞恥に潤んだ瞳を染めて、蚊が鳴くほどに細い声でつぶやいたんだ。
「もっと・・・・・。」って
オレはナオがそんな事を言ったことに驚いたし・・。 すげえショックで。なんであんなやつにそんなコト言うんだよ
あんなに色っぽくて、あんな綺麗なナオを見せるなんて。
ナオの瞳には羽柴空しか映ってなかった。
オレは胸の奥の奥がもっと痛くなった。
今のナオには羽柴空しか見えてないんだってわかったんだ。
そしてオレはいつの間にか羽柴空を自分に重ねてた。 あんな風にナオを独占できたらどんなにいいだろう。 ナオとプロレスしたらこの疼くような痛みが治まりそうな気がするのに。
羽柴空とナオはいつの間にかすくい投げ の姿勢から密着するように
体を重ねてた。
とオレの下半身がずくんと疼いた。 自然と伸びた指がそこに触れるとそれは今まで感じた事もないほどに
熱かった。
「ああっくぅちゃん。」
「ナオっ」
濡れた音が部屋中に響いて二人は打ちつけるように体を何度も波立たせた。
「もうだめ・・」
「オレも限界・・ナオ・・・ナオ」
「あああっ」
一際高いナオの声を聴いた瞬間オレは今までに感じたこともないほど
の快感をかんじた。
なにこれ?ずっとションベン我慢してトイレに駆け込んだ時みてえな。
いや。なんか違う、もっともっと体の奥そこから突き上げてきたものが
解放されたような感じ・・・
けどなんでこんなにオレの心は空しいんだろ?
・・・とその時ジリジリジリとオレの耳元で大きな音がなった。
「なんだよ。うるせえなあ〜。」
オレは無意識近く目覚ましを止めて、も1度布団に入ろうとしたら
なんだか気持ちわりい濡れた感触がした。
ひょっとして俺・・この歳にになってオ●ショ〜??
「んn?そらどうした。」
いつもと同じようにオレの隣で寝てる夜が怪訝そうにオレを見る。
ううううっ・・・まさかこの歳になっておもらし〜なんていえるわけがなく、でも
誤魔化しようもねえし。
なんてコトをあれこれ考えてる間にも、夜はくんくんとオレの匂いを嗅ぎはじめて
ニヤリと含んだような笑みをみせた。
うう〜夜のその笑みがあまりにも怖くてオレは正直に謝る事にした。
「ごめん。オレ昨日変な夢見てそれで。」
そこまで言って夜を見上げたら、夜はニコニコしながらオレの頭を撫でて
きやがった。てっきり怒鳴られるか、一発叩られるぐれえは覚悟はしてたのに 俺はおもいっきり拍子抜けした。
「そっか、そっか。で、どんな夢だ?」
夜は下心があるときみてえにやけに嬉しそうに聞いてくんだけど。
「どんな夢って・・それは・・・」
ってあれ?
オレは考え込む。ついさっきまで覚えていたはずなのにどんな夢だったか
思い出せねえ。
ただすげえ気持ちよくて・・
けどめちゃくちゃ後味がわるかったような・・・
オレがぶつくさ言ってると夜が俺の肩を抱いてきた。
「まあ何はともあれよかったじゃねえか。お前も大人の仲間入りしたって
コトだしな。」
オレは夜の言った意味がわからなくてきょとんとした。
「夜、オレ大人になったのか?」
「ああまあそういうこった。
けどよ。毎回布団に出されたんじゃ洗濯が大変だからな。
今度もっといい方法オレが伝授してやっから。」
オレは半信半疑のまま頷くと夜はめちゃくちゃ嬉しそうにオレの頭を
ぐりぐりと撫でまわした。
こうしてめでたくわんこそらは大人になったのかどうかは??だが(苦笑)
そらは今朝も早くから元気いっぱいに七ちゃんちへと駆け出していった。
今日の天気は昨日と打って変わって雲ひとつない快晴。
今日のナオは笑ってたらいいな〜。
END
あとがき
またしても尻切れなかんじですが・・(汗)
わんこのそらも空を描く時も空くんのつもりで書きました。
わんこ空の恋、せめて夢の中でぐらい実らせて上げたかったんだけどな〜(笑)
2006 8月
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