暗闇の中で(番外編?)


長い間web拍手に入っていたお話デス(汗)何度も読んでくださった方
ありがとうございます。




俺と藤守は今度学園祭で演ることになった劇の台本読みをやってんだけど
さっきから台本が進まねえっていうか、なんっていうか。

「な・・・なんでオレがこんな事いわなきゃなんないんだよ。」

「だから・・・これはお芝居だっていってんだろ。いちいち
照れなくてもっ・・て。藤守痛えなあ」

藤守は台本でオレの頭をボコボコ叩きながら照れてなんかない!って
真っ赤な顔して反論すっけどその態度が照れてるっていうんだって。

けどオレだってかなりこの台詞は恥ずかしいんだぜ?

しかも藤守がいちいち敏感に反応するから余計照れくさくなっちまうっていうかさ。

藤守は台本片手にまだぶつぶつ言いながら渋ってる。


「ホントにナオったら早く空との練習終わらせてよね。」

突然藤守の口調が代わったと思ったららんが表に出てきて大きな呆れるようにため息をついた。

「らん。勝手に出てくるなよ。」

「何言ってんの。僕だってこのお芝居に出るんだよ。今晩は夜と練習する約束したんだからね。
そんな台詞ぐらいで止まらないでよ!!」

「そんな台詞・・・なんて・・・」

途端に藤守は語尾は小さくなっていった。
らんの意識が藤守の体を乗っ取ったのからんは嬉しそうに台本をぺらぺらとめくった。
そして何を思ったか突然塩らしくなってオレを上目遣いで見上げた。


「くうちゃん・・・オレを抱いて。」

オレはその瞬間相手がらんだとわかっていても胸がドキンと跳ね上がった。

「・・・な〜んて簡単じゃない。」

事も無げに言ったらんをよそに藤守は真っ赤な顔をますます上気させて口をパクパク
させてる。

うう。オレも相手がらんだとわかってはいてもそんな事言われたらドキドキしちまうって。
だってよ。藤守からオレにそんな事をいうことなんて滅多ねえしな。

そんな事をぼんやり考えてる間にオレの意識ははっきり目覚めてるはずなのに感覚が遠のいて・・・って
まさか?


「ふ〜ん。らんは誰にでもそんな台詞が言えるんだ〜。」

オレはしゃべってないのに口が勝手に動いてってこんなことするやつは夜しかいねえって。

「よるぅ〜!!」

オレが夜に体を乗っ取られた瞬間らんは夜の胸・・・。もといオレの胸にいきなり
飛び込んできた。
らんは甘えるように夜の胸に頬をすり寄せたと思ったら今度は慌てて夜から離れた。


直 「ちょっとらん何やってんだよ。オレまだ羽柴とお芝居の練習の途中だったんだよ。」

らん 「なんだ〜ナオまだ寝てなかったの?もう夜に変わったんだからいいでしょ!」

空 「な〜に勝手な事言ってんだよ。オレだって藤守の口からちゃんと・・。」ってえええ!?


オレは口から出た言葉を慌てて押さえた。さっきまで夜に乗っ取られてしゃべれなかったはずなのに。
オレが焦ると夜がにやりと笑みを浮かべてのがわかった。
夜のやつわざとだろ!?

夜 「ふ〜ん 空 スナオの口からちゃんと何だって?」

空 「な なんでもねえよ。」

夜は可笑しそうにくっくと笑いながら台本をめくった。

夜 「じゃあよ。交代といこうぜ。いいだろ?らん。」

また勝手に出てきたと思ったら勝手なことを言いやがって。そんな事を思ってる間にも
普段とは違う雰囲気へとかわっていきオレはゴクリと唾を飲み込んだ。


夜 「そんな事しねえでもらんは全部オレのもんだろ?」

らん「うん。今までもこれから先もずっと僕は夜だけのものだよ。」

直 「夜もらんもちょっと待てよ。そんな台詞なかっただろう?!」

藤守は台本をあらかじめ全部読んでいたのか抗議するように二人の間に割って入った。
すると夜がすっと台本を藤守に差し出した。

藤守が夜の指差す所を目で追うと火が出たように藤守の顔が真っ赤になっていくのがオレの目から
みてもわかった。

藤守わかりやすいぜ。ってそんなすごい台詞だったってことか?
ひょっとして俺たちの台詞よりすげえことが書いてあったとか。

夜 「いい所なんだからよ。邪魔すんな。」

夜は藤守に冷たくそういい置いてまた真剣な表情で台本に目を落としてらんに続きを即した。



らん 「夜は・・・夜も僕の・・・もの?」

夜  「ああ、欲しかったら全部らんにやるぜ。心も体も・・・な。」

らんはうっとりするように夜を見つめると夜の背にぎゅっと腕を回した。

らん 「僕・・・ほしい。夜が全部ほしい。」

夜 「ああ。」

夜はそういうといきなり服を脱ぎだしてってウソだろ?いくらなんでも芝居で
そこまでするわけねえだろ。

おい夜!!夜!!聞こえてるか。って聞こえてるに決まってんじゃん。なのに無視しやがって。
それにちょっと待て。藤守だってらんの中で見てるはずなんじゃ。
なのにこの状況を止めえねえってことは・・・ひょっとして・・?

・・・・・・・

ベットになだれ込んだ二人を見て俺はやられた!!って思った。
くそっ。たくよ・・・台詞だってアドリブだったに違いねえ。



しだいに熱くなる身体に任せてオレの意識は夢の中へと落ちていく。

夢の中で今更ながら藤守がオレに「抱いて」っていった気がした。