If ・・・(もしも)6章 
   トライアングル5



「これがその薬。」

差し出されたビンを廉は恐る恐る受け取った。

「風太に渡したのと同じの?」

「これは廉に作ったものだから香料のブレンドが違うぜ
基本は同じだぜ。」

廉の為に作ったものだからと言われて廉は頬を染めた。
学はそんなこともできるのだ。

ビンの中の液体はまるで海を閉じ込めたような綺麗で深い色をしていた。
廉はその液体に心奪われた。

「学、これ匂いとかあるの?」

「人が感知できるかどうかって所だけどな。嗅いでみるか?」

「うん、」

学は廉の手の中の小瓶のふたを取ると廉と自分の手の甲に
1滴落とした。

廉は引き寄せられるように鼻をつけた。
微かに香る匂いは嫌なものではなかった。

廉はこの匂いを知っている気がした。

「廉、どうだ?」

学に話しかけられた瞬間、廉は体が急激に熱くなるのを
感じた。

「・・・・・。」

「廉、大丈夫か?」

急に廉の顔色が変わって心配そうに顔を覗き込んできた学に廉は顔を
ふるふるとふった。
そうすることで湧き上がってくる熱い熱をやり過ごそうとした。

「れん?」

覗き込んでくる学の顔がぼやける。廉はようやくこの体の変調に思い当たった。
この状況はこの薬がそうさせてるんだ、

心配して触れてこようとした学を廉は思いっきり突き飛ばした。

「廉!!」

「学のバカ、オレの事騙したんだな、」

廉は体を小刻みに震わせながらも学をぎっと睨みつけた。

「騙してなんかねえって!!」

「じゃあどうして・・・。オレの体、」

廉は自分の体をぎゅっと抱きしめるようにしていた。
学はそれで察したようだった。

「廉、感じてるのか?」

「ぅ・・・・。」

廉は小さくうめいて学から視線を逸らした。
逸らしたのは学の言うとおりだからだ。でも納得いかなかった。
薬の影響なのだから、

「な、さっきも言ったけど廉この媚薬は相手の事なんとも思ってねえと
効果がねえんだ。けど想いが深いほど効果は覿面だ。」

廉は下を向いたまま唇をぎゅっとかみ締めていた。
学は優しく廉の髪に触れようとした。けれど廉はその手を払いのけた。

「フェアじゃないから薬つかわないっていったのに、」

「うん・・・ごめん・・。
けどそんなに廉がオレの事想ってくれてるんだって思うとすげえ嬉しい、」

詫びたものの学は反省しているようには思えなかった。
学は右手を掴んできて廉は空いた手でそれを払いのけようとしたが、
その手首も学に持っていかれ、学の胸に引き寄せられる。

「やっ」

暴れようとした廉を学は押さえ込むと言うよりただ抱きしめた。
体よりも想いが伝わるように、

「廉好きだぜ、」




学は抱きしめるとより一層廉への想いが募ってく気がした。
学の腕の中で暴れていた廉の動きが止まる。

「廉?」

おそるおそるだが廉の腕が学に回される。
学は密着した肢体から廉の下半身がこわばってる事に気づいていた。
そしてそれは学自身もそうだった。

学はこの手の薬品にある程度免疫を持っていた。
自分で試飲して解毒薬も作るのだから 当然なのだが。

だから自身の体の変化が薬品の影響なのか、そうでないのかは学にもわからなかった。
けど、そんな事は今はどっちでもよかった。

廉が学に応えてくれたのだから、

学は優しく廉の額に口付けた。
それだけで廉はピクっと体を震わせた。

学は廉の緊張をほぐすようについばむようなキスをなんどもそこに落とした。
そうして少しずつキスの場所を落としていった。
廉は次第にその意味を悟って体をぎゅっと固くしたので学は顔を上げた。

「こんなこと言っちまったら廉にオレ嫌われちまうかもだけどな。」

学はいたずらっぽく廉の耳元に囁いた。

「オレ廉の事想って一人で・・したことあるぜ。それも数えきれねえぐれえ、」

もともと赤かった廉の顔は火がついたようにますます染まった。

「ガクのバカ!!」

廉がバカといったのに学は嬉しそうに笑った。

「ああ、オレバカだよな。一人で悩んだり迷ったりしてさ・・・。
けど廉は。オレの事想ってしたことねえ?」

「そ、そんなの・・・・」

「あるわけねえ・・か?」

学は意地悪く廉に聞いた。
ぷいっと顔を横にした廉のその態度は「ある」ってコトだ。
学は嬉しさと愛おしい気持ちが溢れて

廉を抱きしめるとそのままベッドに一緒になだれ込んだ。



「ダメっ、」

「廉、もう意地はるのやめようぜ。オレもう廉の気持ちわかっちまったし、」

「ズルすぎる、」

「ああ、オレズルイよな、」

学が肯定すると廉は瞳に涙を浮かべて言葉を詰まらせた。
学は廉が言葉でどういおうとも自分が愛されてるってことがわかった。

それに廉も学も先ほどまでこわばっていた下半身はもうすっかりって感じだった。
お互い男同士だからこの状態がきついってことぐらいわかる。

堪らない気持ちになって学は廉の唇に口付けるとそのまま服の中へと手を進入させた。






                                                           

                                              
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えっとHシーン突入前?なんですがこの後は書いていません。
後は読者の想像で(苦笑)にしても廉もたいがいツンデレだよなあ〜。