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ツインズ



番外編前編




     
祭と別れてから夜と寮の部屋に戻る途中僕は自室の前で
足を止めた。
どうしたらよいのかわからなかったんだ。

「らん、どうかしたのか?」

「えっとあのね・・夜・・・。」

今晩も僕は夜と一緒にいていいんだろうか。

「らん、今日はオレの部屋に来い。」

囁かれるように言われて僕は全身が熱くなるのを感じた。

「でも・・。」

「嫌なのか?」

恋焦がれる恋人と一緒に過ごそうと言われて嫌なはずがない。
でも直がこんな時なのに僕は夜と一緒にいていいのだろうか。
返事に困っていると夜が僕の手を半ば強引に引いた。

パタンと部屋の扉がしまった後、音も時間さえも止まってしまったよう
な静けさが訪れた。

夜は何事もなくベットに腰掛けたから僕も普段を
装って向かいの空のベットに腰掛けたんだけど・・。

「らん、どうした。こっち来いよ。」

僕がゆっくりと顔を上げると夜と目が合った
少しの間のあと決心が鈍らないうちに夜に言った。

「あのね、僕夜に謝らないといけないんだ。あの晩本当はナオと・・。」

夜はいきなりベットから立ち上がると強引に僕の唇をそれで塞いだ。

「よる?」

「もういい。」

僕が蒸し返したのが気にいらなかったのか夜はしかめっ面をしていた。

「でも、夜怒ってたでしょ?」

「ああ。けどオレもらんに謝らねえといけねえことしちまったしな。」

謝られるようなことなどされただろうかと、僕は思い返してみたが
思い当たる事といったら昨夜、夜に強引にされたことぐらいだった。

「僕は怒ってないよ。」

そういうと夜は意味ありげに苦笑した。

「夜?どうかした?僕なにか変なこと言った?」

「いや、違えよ。」

夜ははぐらかすようにそのまま僕をベットに押し倒すと優しく頬に
口づけた。

「ほら、今日はもう遅い。らんもいろいろあったから早く寝た方がいい。」」

僕は今日はしないんだと思うとほっとしたようなそれでいて寂しさを
かんじた。
なぜだろう。夜はここにいるというのに。
僕を抱きしめてるというのに。

「あ、うん。夜、おやすみなさい。」

夜の心臓の音が、優しい吐息を僕にかかる。

夜に抱き寄せられるとそれだけで体の奥から欲求が湧き上がって
きそうになって僕はぐっと抑えた。
けれど考えないようにしようと思う程、身体はらんの意思に反し
欲求を押し上げてくる。

「らんどうかしたのか?」

夜から身体をずらしただけだったのに夜はすかさず聞いてきて僕は
それだけで体中が熱くなったような気がした。

「あ、あのね・・夜、今日はその・・・。」

僕の心臓の音はドクンと大きな音を立てていた。
夜に気づかれちゃうんじゃないかって思うぐらい。

「なんだ、らんそんな事気にしてたのか?
昨日らんに無理させちまったからな。ほら、朝まで抱いてやっから。」

「うん。」

優しく夜にそういわれてしまうと僕はそれ以上何も言えなくなって
大きな逞しい夜の腕に身体を預けた。

そうして夜が寝静まるのをじっと待って僕がベットから離れたのは
深夜をすぎる頃だった。
音を立てないようにそっとベットから起き上がったはずだったのに
いきなり背後から夜に呼び止められた。

「ん・・・らん?」

「えっ?夜?」

僕は心臓が止まりそうなほどびっくりした。

「・・・らん、どうかしたか?」

夜の声は寝言のようにぼやけていた。
半分寝ぼけてる?

「えっとトイレに行くだけ。別になにもしないよ。」

僕が何事もなくそのまま立ち去ろうとしたら
いきなり夜がガバっと起き上がって僕の身体を背後から
抱きすくめた。

「えっ夜?何?」

「たく、何もしねえって、何かするつもりだったのか?」

突然はっきりとした夜の声に僕は今更ながら自分の失言に
気づいた。

「えっ、違う、違うんだってば!!」

大きく首を振って否定してみたがやましい気持ちは増長され
僕は体中火がついたように恥ずかしくなった。

「らん・・・んなになってたのか。」

僕の欲求を知った夜はため息まじりに苦笑した。

「ひょっとして気づいてたの?」

「うすうすな。らんが何か落ちつかねえみてえだったからよ。」

「夜のバカ、バカ、気づいてたのに何もしてくれないなんて。」

半ばやけになって僕は夜の胸をぽかぽか叩くと夜に腕を掴まれた。

「バカはどっちだ。オレが欲しいと思うなら
らんがオレを求めてくれたっていいんだぜ。」

「そんなこと・・。」

その先を僕は言う事が出来なかった。
だってそんな事を口にして夜に嫌われたくなかったから。

「オレたちは恋人どおしだろ?」

僕はどうしていいのかわからなくなってベットの上で俯いた。

「らん、オレにどうして欲しい。言わねえとわかんねえだろ。」

心臓がトクンと大きく悲鳴をあげる。

「らん?」

優しく頬に触れられて僕はそれだけでぴくっと体が震えた。
嫌だからじゃない。嬉しいから、もっと夜に触れられたいから。

「夜、僕夜が欲しい。もう我慢できそうにないの。」

「了解。」


嬉しそうに夜はそういうと僕の唇にしっとりとそれを落とした。


                                    後編に続く
     
                            




「こんな所で続きにするなんて・・・」という苦情が聞こえてきそうだな(苦笑)

このお話を書く前にすきしょ!の「ミッションチョイス」を聴きました。
それでイメージを膨らませてみたんですが(笑)後編は「わがままミッション」に負けないぐらい
甘い二人にしたいな〜。