「直はまだ寝てんのか?」
朝7時きっかりに部屋に戻ってきた夜は腕を組んで俺たちを見下ろしてた。
全く我侭なやつだと思う。お前が藤守を部屋から追い出しといて
それはねえだろって感じだ。
ようやく目を覚ました藤守はもともとの寝起きの悪さと夜の理不尽な
態度でめちゃくちゃ不機嫌って顔してる。
「まあいい。オレシャワー浴びてくっから。直はそれまでに部屋に戻っとけよ。
それから今日はらんは学校休ませっから。」
言いたい事だけ言って出て行った夜に藤守は大げさなほどのため息を
ついてた。まあ〜わからねえわけじゃねえけどな。
「悪いな藤守。」
なんだか申し訳なくなってオレが謝ったら藤守のやつ露骨に顔をしかめて。
「別に羽柴が謝ることじゃないだろ。」
「なんだと!!」
こっちだって気いつかってるんだぜ?
「オレ部屋戻るから。」
「ちょっと待てよ〜。」
藤守はもうオレに言う事なんてないって感じでさっさと部屋から出て
行っちまって
あああ〜もう夜とらんのせいで朝から最悪な気分だっての。
でもオレはまだ知らなかったんだ。本当の不運はこれからはじまるって事を。
直が部屋を開けるとらんがガバッと布団から起き上がった。
「よるぅ〜!!」
らんの声は風邪を引いたようにかすれてた。
「夜じゃないよ。オレ らん大丈夫?風邪でもひいた?」
「なんだぁ〜。ナオか・・・」
明らかにがっかりした声を含んだらんの傍に近づいて直は呆然とした。
ベットの上に座っていたらんは未だ裸でその体には赤い痣がいたるところに
散らばっていたのだ。
「・・・・・・。」
直が絶句してるとらんがベットから立ち上がろうとして
その瞬間らんの体がぐらりと傾いて直の胸に倒れこんできた。
「らん、大丈夫!!しっかりして、えっと今七海先生呼んで来るから・・」
直がらんをベットに戻して慌てて部屋から飛び出そうとすると
らんは直の腕を掴んだ。
「ナオ僕大丈夫だから・・・平気だから。」
「でも・・・。」
「ホントだよ。ちょっと腰が立たなかっただけ。だからナオ少し肩を貸して」
「・・・・うん・・」
らんは直の肩を借りると無造作に脱ぎ散らかされていた服を拾い上げた。
その時ナオは見てはいけないものを見てしまったのだ。
らんの太腿を白濁した液がつたっているのを・・・。
これは夜の・・?夜がこんな事をしたの?
夜とらんがそんなことをしてるのは知っていたつもりだったけど・・・。
ナオはらんがひどく汚されてしまったような気がした。
夜のやつ。らんをこんなにして・・・
綺麗ならんの瞳は貼れ、散々泣かされた声は嗄れ、腰は立たず真っ白な肌は
いたるところ赤く染められてる。
一体どうしてらんはあんなやつがいいんだろうって思うと直の中に自然と
怒りに似た感覚が湧き上がってきた。
「らん。あんなやつやめちゃえよ。」
たまりかねてそういった直にらんは大きく首を振ると
こともあろうに自分の太腿につたっていたしずくを人差し指ですくって
それを口に運んだ。
「らん何やって!!」
「だってこれは夜のだから・・・。」
らんはそういうと少し寂しそうな顔をしていた。
「ありがとう、ナオ。心配してくれてるんだよね。でも僕大丈夫だよ。
僕ね夜のこと好きだから。だから何をされてもいいの。
でもね・・・
ホントはちょっと怖い。嫌われたらどうしようって思うと。」
濡れた指をチュッと吸うらんにいやらしさは感じなかった。
むしろこんなにまっすぐに自分の気持ちを言えるらんが直は羨ましく
思う。
本当に純粋に夜を思ってるんだって思う。だからこそ許せない。
こんなひどい事をする夜が・・・。
直はそっとらんを抱き寄せると子供をあやすようにぽんぽんと
その背を撫でた。
「らん、大丈夫だよ。らんはこんなにかわいいんだもん。
嫌われたりしないよ。」
「そっかな?でもありがとう。ナオ」
「それからしばらく学校以外で夜と会うのは禁止だからね。」
それを聞いてらんが「えええ〜っ」と不満を漏らす。
「こんな事で学校休んだら学校通わせてくれてる親に悪いだろ?
だからね。」
直が諭すようにいうとらんはしぶしぶ頷いた。
「じゃあ行ってくるから・・。」
扉を開けたナオを待っていたのは渋い顔をした祭だった。
今回のツインズはちと短め。夜×空まで行かなかったな〜。
ナオ&らんの親ですがパラレルなんで思い切って相沢なんてのもありかな〜
などと思ったんですが(笑) 今後お話に出てくる可能性はかなり低いです(爆)