続・フラスコの中の真実 番外編





オレはとても部屋とはいえぬ、冷たい監視室に
戻ってくると暗闇の中よろよろとベッドに転がった。

今までかろうじて保っていた気力も限界近かった。
目を閉じようとして暗闇でごそっと音がしてオレは
慌てて目を見開いた。



「ナンバー03大丈夫?」

近づいてくる足音と声にオレはぎょっとした。

「お前は・・いつの間に入り込んだ!!」」

「へへ、03に会いたいっていったら研究員がさ。」

ノーテンキすぎるほどに明るい声が響いて近づいてくる声の主にオレはたまらなく
苛立ちを感じた。

「それ以上近づくな。」

一瞬足を止めたものの相手はオレの言ったことなど気にも
とめてないようだった。

「何度も同じ事をいわせるな、」

「03はオレの事嫌いなのか。」

声のトーンが明らかに落ちてオレは言葉を詰まらせた。
オレはうっとうしいと思いながらもこいつを拒否することができないでいた。

「なあ、03・・?」

オレは小さくため息をついた。

「オレの名は芥だ。」

「か・・い?」

忌まわしい名前だったがそれでもナンバーで呼ばれるよりは幾分マシだと思う。
ごみでもいい。まだ存在する意味があるのなら。

「そっか、カイか、・・オレはガク!!」

「ああ。」

聞かなくてもそれはよく知っていた。
オレが名前を言ったからかガクは馴れ馴れしく「くんくん」とオレの臭いをかぐように
オレに寄りかかってきた。

「なんだ?」

「カイ、教授の儀式をうけただろう?すげえいいにおいがする。」

オレはガクの言葉に言葉を失った。

「教授は好きな人に儀式をするんだってさ。教授、芥の事好きなんだな。
オレも芥のこと好きだけどな・・。」

ガクは残酷なほど無邪気な笑みをオレに向けていた。

「カイ?」

言葉を失ったオレを学は不思議そうに見つめていた。
お前には永遠にオレの気持ちなど理解できないだろう。

あの男の儀式を受けるお前をオレがどんな気持ちで見ていたか。
そしてあの男の儀式を受けている間、オレが誰を思っているか。

オレはその光景を思い出してぐっと唇を結んだ。

あいつに憎悪を向けながら、お前をあんな風に独占できれば
どんなにいいかといつも思っていた。
そしてあの男に抱かれながらオレはお前のことを・・。


オレは感情を押し留めることが出来なくなって、
学の腕を取るとベッドへと引き寄せた。


「ガク、お前がオレを好きだというのならオレの儀式を受け入れるか。」

ベッドの上でお互い絡み合った視線が止まった。

「うん。オレくすぐったいの我慢する。カイの事好きだし。」

「ガク・・。」

オレを好きだというガクにひっかかりがなかったわけではない。
ひょっとするとあの男にもその口で同じことをいったのかもしれない。
それでも・・ガクをオレのものにしたかった。

オレはまだ性に目覚めるには程遠いガクに先ほど
出来上がったばかりの液体を渡した。

「カイ・・?何これ、」

血のように赤い液体に学が顔をしかめた。

「オレとの儀式の時はこれを飲め。いい気持ちになる。」

「いい気持ちって、まさか・・?」

怪訝な表情をしたガクにオレは流石だと思った。
ガクはまだ幼いが薬学に対する知識は豊富なようだ。


「麻痺や、中毒、それにアルコールのように依存性を持つものではない。
体にも無害だ。
オレが作ったものだが信じられないか?」

正確にはオレがあいつからもらったものに手を加えたものだ。
それでもお前をオレのものにするためにこの薬品は必要だった。

「そっか、カイが作ったものなんだな。だったらオレ飲むよ。」

大方疑うということを知らぬらしいガクはそれをいっきに飲み干した。
飲み干した後学の目がとろんとなる。
『儀式』のためにオレが学の服に手をかけると学は戦慄いた。
それでもボタンを外していくと学が身をよじらせた。

「何?・・・なんか・・・体があつい。」

「それだけか?」

「ううん・・体の奥が・・・ズンって。」

目をとろりとさせたガクが熱さで体をしならせる。オレは吸い寄せられるように
幼すぎる学の素肌に唇を落とした。

「ガク・・・。」


あの男とお前が儀式している間・・・狂いそうになりながらも
お前から目を離すことができなかった。

ずっと、ずっとこうしたいと思ってた。


「ガク・・・。」

「カイ・・カイ・・・・」

ガクは熱にうなされたようにオレの名を何度も呼んだ。
無理やり目覚めさせられた学の性はオレに触れられるたびに
大きくなっていく。

本当はどうすれば良いのかよくわからなかった。
あの男にされるようにすれば良いのだろうが、同じことなどしたくはなかった。

学の体を重ねるようにオレは学に覆いかぶさった。
互いのものが触れるとものすごい衝撃が体中を駆け抜けて、
お互いこすり合わせるように何度もそこを押しつけた。

「カイ・・・」

学は無意識のうちにオレのそこに擦り付けるように自身の腰を動かしていた。

「ガク気持ちいいか・・・」

「・・いいけど・・・体がヘン、ヘン、カイ・・オレヘンになっちゃう。」

「ああ、オレも・・だ。」

この感覚が自分だけじゃないとわかったからかガクは体の高揚を
自然に任せはじめて・・・。

バウンドさせるように互いに打ち付ける速度が激しくなっていく。

「カイ・・カイ・・・体が・・体が・・」


学がひときわ大きく体を反らした時だった。
ぬるっと暖かな飛沫が学のそこから吹き上げたのだ。
学はベッドに沈み込んで体を弛緩させた。
だがオレの欲望はまだ収まることを知らずガクの体を貫くように
それを押し付けた。

「カイ・・・ヤダ・・カイ・・・」

力の抜けきったガクは首を大きく横に振って抵抗したがオレはそんなことにも
構えないほどにガクのもので濡れたそこに何度もそれを押し付けた。

パンパンと塗れた音が響いてガクはオレの下で必死になってしがみついてくる。
もっとガクの傍に行きたかった。もっともっと学の傍に、一つに溶けてしまうほどに。

大きく突き上げた瞬間俺のそこからも熱いものがあふれ出した。

「ガク!!」




今まで忌まわしいとしか思わなかった行為がこんなにも気持ちいいものだとは
オレは知らなかった。
満たされていく想い・・・。
学、お前も同じように感じてるだろうか?

荒い息を継ぐ学をオレはぎゅっと抱きしめると学もおそるおそるオレの
背に手を伸ばしてきた。

オレと学はぞのまま小さなベッドに体を折り合わせるように沈み込んだ。








『ほう、あの幼さで精通したか。流石は芥、渡して正解だったな。』


監視モニターを見ながら研究員に今まで奉仕させていた教授は
もう用はないと言いたげに袖を振り身なりを整えはじめた。

研究員の方もそれに不服を言うわけでもなく、今までのことなど何もなかったように
一礼すると部屋からそそくさと出て行った。


『 ふふっ、お前たちは所詮私に作られた命。
お前たちは私のものだ。あがらうことなどできん。』


狂気に満ちた声が広がりやがて影のように幼い二人を
覆っていったことを二人はまだ知らなかった。




                                              END

あとがき
本編のネタバレ的な内容もありましたが(汗
ところで芥(学)が研究所でなんというナンバーで呼ばれていたのかはすきしょ!でも
語られてないですよね?以前も何番にしようか迷ったことがあったんですが。

なんとなくナンバー1は真一郎じゃないかなと思ってるんですよ。
ナンバー2は綾野ちゃん、七海ちゃんかな??←もちろん根拠なし(苦笑)
少なくても空とナオの前に12人はいたわけだからその間の数字だよな〜と思いながら
ナンバーを入れてみました。

それと今回のこの二人の年齢一体いくつなのか?書いてる本人も実際の所よく
わかっていなくて曖昧です(滝汗)
というわけで歳はご想像にお任せして、
とりあえずお声は置鮎さんと私市さんでお願いします(笑)