ウェディング狂奏曲 2

 





オレは寝室に入ると扉を後ろ手でしめた。
俺たちがケンカしてる所なんて親父に聞かれたくねえし。
心配するだろ?
だからオレは声を潜めて言ったんだ。

「芥、なんで親父にあんな事いうんだよ!!」

芥はオレの方にくるりと向き直すといきなりすぎるほど急にオレをベッドに
押し倒してきたんだ。
芥の顔が近づいてオレは顔を背向けた。
こんなことで誤魔化されたくなかったんだ。

けど芥は全身でオレをベッドに縫い付けるといきなりそこに
触れてきた。

「なっ・・芥やめろって、親父がいるんだぜ!?
芥・・・カイ・・。」

オレは芥の背をドンドンと叩いた。
それでも芥はやめてくれなくて起用に片手はオレのズボンのチャックを下ろして
もう片方は服の中へと進入させてきた。

芥は力づくでオレを縛りつけようとしている気がして
それが嫌だった。そしてそんな芥にすぐ流されちまうオレも嫌だった。


「ヤダよ。芥・・・、イヤだっていってるだろ!!」




その時だった。玄関のドアがガタンと閉まる音が微かにしたんだ。
さすがの芥も一瞬手が止まって、オレはその隙に乱れた服を調えると
部屋を飛び出した。

「親父!!」

思ったとおり親父は部屋のどこにもいなかった。
オレは慌てて玄関を出てエレベーターホールまで走った。
けど既にエレベーターは1階に止まっていて。
踊り場から見下ろしたら足早に去ってく親父の背中がみえたんだ。


「親父・・・。」

オレは諦めきれなくて階段を追いかけようとしたんだけど
背後から芥に呼びかけられたんだ

「ガク・・。」

「カイ、親父・・・行っちまった。」

寂しさと落胆がいっきに押し寄せてきて泣きたい気分だった。

芥に恨み言の一つでも言ってやろうかと思ったけどオレはそうすることが
出来なかった。
だって芥も泣きそうな顔をしてたんだ。


「明日会えるだろう。」

「あしたって?」

オレはこの時になって夜とらんの結婚式の事を思い出したんだ。
親父はその為にこっちに帰ってきたわけだし明日は
絶対出席すると思う。
けど・・・。

「オレたち仕事休んで結婚式行っていいのか?」

「仕方がないだろう。」

オレは「うん。」って大きく頷いた。
結婚式もすげえ楽しみだったけど、明日親父に会えると思うと。
さっきのこともチャラになっておつりが出るくらい今は嬉しかった。

もちろん芥にはそんなことは口が裂けても言えねえけど。

「へへへ、楽しみだな〜。やっぱらん先輩がウェディングドレス着るのかなあ〜。
それとも2人ともタキシードか?
いやいや、意表を突いて夜先輩がウェディングドレスってのもあるかもなあ〜。。」


オレが想像を膨らませてると芥が珍しく笑った。
笑ったといっても口元を緩める程度なんだけどな。
それでもすげえ珍しいことなんだぜ。

「芥ひょっとして、夜先輩のウェディング姿を想像した?」

「してない。」

返事は即答だった。

「だったら何で笑ったんだよ。」

「オレが笑うとそんなに可笑しいのか?」

「そんなことねえけど・・・珍しいし気になるだろ?」

芥は尚も苦笑しながらオレを見てた。
う〜やっぱり気になるんだけど・・・。
そしたら芥がぽつりとつぶやくように言ったんだ。

「意外とお前も似合いそうだ。」と。

オレは一瞬何を言われたのかわからなかったけどその後
顔中火がつくほど真っ赤になった。

「な・・・オレは・・んなの絶対似合わねえって。」

オレはわたわたしながら芥に言ったけど芥はそんなこと
もうどうでもいいというように一人でさっさと部屋へと入っていった。

「芥、ちょっと待てって!!」


オレはそれが芥の照れ隠しなんだってわかったのはもっと後のことだ。




                                           3話目 


あとがき

思った以上にお話進んでいませんで(汗)18日(サイト2周年)完結は諦めました(苦笑)
3話はとうとう結婚式。3話目は空視点のお話になります。