いつか〜(ギャグバージョン。)

前置き
とにかく変なお話です。設定も何もありませんが突っ込みはなしと言う事で。


「緋色さん。」

「ほいな?」

「この脚本ではあまりにも僕と進藤との絡みが
少なくありませんか?」

息を切らし慌てて駆け込んできたアキラ君に脚本担当の
緋色は首をかしげた。


「そうかしら?」

「そうですよ。」

「ここはアキヒカサイトですよ。僕と進藤のキスシーンもないなんて
読者からクレームが来ます。」

自分の言う事が正しいとばかりにアキラは熱弁する。

「・・・キスシーンならラストに入れたけれど、それでは
だめなのかしら?」

「ええ 僕としてはですね・・・」

アキラはそこまでいうと緋色に向かって耳打ちする。

「・・・指導碁つきで伊角さんと1日お付き合いできるように
しますから。」


単純な緋色は伊角の指導碁であえなく脚本をアキラに手渡す。


「塔矢くんの好きなように書き換えていいから。」

「はい。任せてください。アキヒカサイトとしてふさわしい
脚本に仕上げて見せます。」

こうしてアキラの野望は手に入ったはずだった・・・(爆)







楽屋裏の控え室にアキラとヒカルが二人。

「進藤二人で セリフを練習してみないか?」

「いいけど・・・」

ヒカルは台本を鞄の中から取り出す。それはもちろん
アキラに入れ替えられた代物だった。

「いつか 8 からいこう。ここは二人だけのシーンが続くから」

「いつかの8ね。えええっと。」

ヒカルがページをめくるのを見てアキラがため息をつく

「進藤 本番まではあと1週間しかないんだよ。早く覚えないと。」

「いいって。塔矢は覚えてるんだろ?俺適当に合わせるから
さ。」

「そう。」

アキラはそれ以上追求しない。なぜならその方が自分にも都合がいい
からだ。




「ヒカル・・僕は君の事をもっと知りたいんだ。」

「俺のこと?俺はそのままの 進藤 ヒカルだって。 お前だって知ってるだろう。」

「僕はそう思ってないよ。
他のサイトでは君は女性だったり、僕と
結婚して子をもうけた所だってあるんだ。ヒカル嫁入り同●
なんていうのもあるんだぞ。」

「塔矢 ちょっと待て・・・台本おかしいぜ。こんなセリフなかったって・・」

「続けて、進藤・・。」

ヒカルの抗議はぴしゃりとアキラによって締め出される。
真剣なアキラには逆らわない方が身のためとばかりにヒカルはやむなくセリフを追った。

「何?お前って俺を女だと勘ぐってるの。」

「ああ。そうだ。最近はその方が流行のようだしね。
僕としても君が女性だというならもっと その目立たない
ようにしてもらいたいと思ってる。」

「なんだよ。それ。俺が女なら目立たないようにってどういう
意味だよ。」

台本の通り何とかヒカルはセリフを読んだが続きが気になって
仕方がない。何を言わされるんだろう。好奇心と怖いもの見たさで
次のページを素早くめくる。

「君は自覚がなさ過ぎる。男性としても十二分に魅力があるんだぞ。
女性だったらどうなっていると思う。和谷くんや社 果てはあの
緒方さんにだって君は狙われるかも知れないんだよ。」

次に来るセリフは「俺が女だったらお前の子が欲しい。」だと・・・

「ああ。もう塔矢 お前やっぱこの台本おかしいよ。大体俺が
女のわけないだろう。」

台本どおり読めとはアキラは言わなかった。

「君が男性だと言い張るならその証拠を示してほしいな。」

二人の間にあった数メートルの距離がぐっと近くなる。
ヒカルは慌ててあとずさる。

「どうして逃げるんだ。」

「だって、ほらその・・・」

困ったようにヒカルが顔を染めた。

「僕たちは恋人だよ。だのに君はいつも僕をかわしてしまう。
僕だけなのか。こんな気持ちを抱くのは。
君が男性だというならそれを証明してみせて。」

「証明って。一体どうすればいいんだよ。」

「簡単な事だ。今着ているものを脱げばいいんだ。」

「はああ??」

「出来ないのか。」

「塔矢今は夏場だぜ 脱がなくたって俺が胸ねえのわかるだろう。」

「そんなことわからないだろう。」

塔矢との押し問答がめんどくさくなってきてヒカルは自らTシャツに手を
かけた。

「もうわかったよ。脱げばいいんだろう。脱げば・・」

ヒカルはさっと腕を引きぬくとTシャツを脱いだ。

すこし焼けた肌。いかにも健康らしい少年の線を残す細い
上半身。

アキラはそれをじっと熱く見つめた。
恥ずかしくなってヒカルは脱いだシャツを取った。

「納得しただろ。俺は男だって。」

だが 手に取ったシャツはアキラに取り上げられた。

「なんだよ。返せよ。」

「まだわからないな。ズボンも脱がないと。」

「な なんでそこまでしなきゃならないんだよ。大体舞台で
そんなこと俺できねえ。」

「舞台上ではまねだけでいい。でも今は二人きりだ。役柄に
入り込んだらできるだろう。」


アキラはヒカルを追い詰め、そっとズボンに手をかけた。

「待て 塔矢 自分で脱ぐから。」


アキラにズボンを触れられただけでヒカルの体はあつい電流に触れたように熱くなった。
Tシャツと同じようにズボンもさっと引き抜いた。

「ヒカル 僕にみせて・・・」

上から下まで撫で回すようにアキラに見られてヒカルは触れられても
いないのに自分の体が感じはじめている事に気づき慌てて服をつかんだ。

だが、それはアキラの熱い腕によって阻まれてしまう。

「君が男性だという事はよくわかったよ。でもこれはどうするつもり?」

アキラはヒカルを引寄せると感じ始めているそこを下からなで上げた。
ヒカルはそれだけで力が抜け落ちて 壁にずるりと体を落とした。

「随分感度がいいんだな・・・君は」

「こんなの台本にないだろう。」

「僕自身が台本なんだ。君はそれに従えばいい」

最後の砦に手を掛けられてヒカルは泣き出しそうになる。

「駄目だって・・・」




突然 閉まっていたはずの扉が開いた。

そこには このくそ熱いのに白スーツをきちんと着込んだ緒方が立っていた。

ヒカルは慌ててアキラの腕から逃げ出した。

「とりこみ中すまんが アキラくん 配役は交代だ。」

「どういうことです。」

「昔から王子さまは白スーツと決まってるだろう。
新しい脚本を緋色さんに書いてもらった。」

緒方の持っている脚本をアキラは取り上げパラリと
めくる。


 
「いつか 王子さまが」
の表紙は塗りつぶされ
魔法使い(緒方十段)の弟子(進藤ヒカル)

と書き直されていた。




緒方は脚本の 緋色を丸め込んだのだ。「伊角くんに
和谷くんもつけて指導碁」と言ったらいちころだったらしい。
全く単純な脚本家である。

「なっ・・・」

爪が甘かったとばかりにアキラは唇を噛む。

「それに・・・ここは16禁サイトだ。ここまでが限度だな。」

アキラと緒方がやりあっているうちに慌てて服を着たヒカルを
緒方が誘い出す。

「進藤 さあ碁を打ちに行こう。お前は俺の弟子だからな。」

緒方に誘われてでていったヒカルを呼び止める事も出来ず
アキラは悔しさで唇をかんだ。





緒方と碁を打つのはそれは楽しい。
まだまだ自分の未熟さを実感させられるし相手の強さにわくわくした。

「進藤 どうだ。本当に俺の弟子にならないか?」

ヒカルには甘い誘惑である。
緒方の弟子 イコール 毎日こんな風に緒方と碁が打てる・・!?

それは佐為との日々をも連想させた。


だが、ふと我に返る。塔矢はなんと言うだろう。
今頃塔矢は1人で・・・・。俺の事を待ってるんじゃ。




「ごめん 俺先生の弟子にはやっぱりならない。」

飛び出したヒカルの背に緒方がつぶやいた。

「俺もまだまだ爪が甘いな」と。

  



先ほどの部屋ではアキラが1人碁盤に向かっていた。


「俺が相手してやろうか。」

それは初めて城で二人が出会った時の台詞だった。

「君が僕の相手を・・・?」

ヒカルは碁盤を挟んだアキラの向かいに座ると脚本を取り出した。

「緋色さんに書き換えてもらったんだぜ。」

碁盤分の距離を超えてヒカルがアキラの頬にちゅっとキスをする。

「進藤!!!」

驚いてアキラはヒカルを見る。

「ラストシーン。今はこれで勘弁な。」

真っ赤な顔をしてそういったヒカルにアキラはうれしさがこみ上げる。

ああ いつか 必ず君を手に入れてみせると。




あとがき
いつかギャグバーションでした。
えみえみ様のリクエストはアキヒカ夫婦漫才風というものでした。
これも全く応えられてはいないのですが(汗)
まあこういうのもありってことで・・・(逃げ)
W&B
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