『碁遊記』〜最終話〜終わりよければ全てよし?〜







最終話は前半(流斗翔)・中(緋色)・後半(流斗翔)の構成になってます




「ヒカル三蔵〜!!俺ら不幸や!」

詰め寄って何かを必死で訴える社悟浄。

手には一枚の紙が・・

「なになに・・緒方魔人の婚姻届に社・伊角・和谷が・の・・載ってるぞ!」

「そうなんだよ。アキラ王子とお前との結婚で遅れをとったと言って、強引に提出したんだよ!!」

「俺の人生設計では、和谷悟空との結婚が控えていたのに・・」

「伊角八戒・・俺はリ−ダ−として言っておくが、職場結婚は認めないからな。」

血も涙も枯れ果てたヒカル三蔵。

ドクタ−加賀の助言で成田離婚寸前だった。

自分の分身をアキラ王子は、詐欺で自分の子と言い切った。

でも反省したアキラ王子とヒカル三蔵Jrもとい光輝がやって来て・・

「アキラパパは悪くないよ。だって素直じゃないヒカルママが悪いんだ。」

「光輝・・何を・・?」

「僕はヒカルママの事は全てお見通し。天邪鬼なんだよね・・」

生意気だと怒りたかったが、アキラ王子に好意はあった。

必死に自分を追いかけてくれる・・例えるならルパ●三世と銭●警部のような・・

そして何よりこれ程自分を愛してくれる者は・・いない。

「分かったよ。俺の本音を言うよ。・・アキラ王子・・好きだよ。」

ストレ−トに言ったヒカル三蔵の告白は、アキラ王子をK・Oした。



(僕は夢でも見ているのだろうか?こんなに嬉しい事はない・・)

苦節3年強の恋路・・長くそしてきつかった。

始めは敵同士であり、本気で殺しあった事もあった。(←いつ??)

途中滝壺に落とされ、自分が三蔵になりヒカル三蔵が悟空となったこともあった。(←多分外伝?)

でもそれも今では甘酸っぱい青春の1ペ−ジとなろうとしていた。

「アキラ王子・・これは無駄にならなかったようね。」

500人前の赤飯が炊飯器で炊かれていた。

明子女王様が側に天竺の使い【佐為騎士】を連れてやってきた。

天真爛漫な雰囲気の佐為Jr・・

ス−パ−海王で知り合った二人。

信頼出来る情報筋では生粋のショタコンの明子女王様が、ひと目で気に入り誘拐したとされている。

本人談では餌付けした明子女王様が本人の意思により、魔界に案内した。

「ヒカル三蔵・・おめでとうです。」

笑いかけ側の光輝と直ぐに仲良くなった。

盛大に行われた結婚式。

それに便乗した緒方魔人も、3人と結婚した。

半ばこちらは自分の意見を無視された事だったが・・

「幸せにするよ・・ヒカル三蔵・・」

「ああ・・幸せにして貰うよ。これからは・・」

迷いも無く言い切ったそれは、未来への希望・・。



そして天竺でヒカル三蔵を案じていた佐為は・・

「ヒカル三蔵・・そして以下省略・・。貴方達は身を固めたようですね。しかし姑がいる事をアキラ王子・・ついでに緒方魔人、お忘れなく。」

魔界と天竺の一年戦争は・・終結した。



種族を超えた恋愛によって・・








「塔矢 でも俺、お前の子も欲しかったかな。」

アキラは驚いたようにヒカルを見ると優しく微笑んだ。

「じゃあ こうしよう。」


・・・アキラ王子もヒカル三蔵の頼みで 黒の組織のくすりを飲みました。
そして二人は愛を育み子供が産まれました。
その子の名前は・・・



ふと考え込んだアキラにヒカルはただの思いつきでない名を提案する。
「俺 明人がいいな・・」

「わかった。 明人にしよう。」


アキラ王子とヒカル三蔵と光輝と明人はいつまでもいつまでも楽しく幸せに暮らしました




話を終えたアキラの肩にそっとヒカルが体を預けた。


摩訶不思議なお話の中へ引き込まれてその登場人物にお互いを重ね合わせていたアキラとヒカル。

ヒカルはふと何かを思い出したように顔をあげた。

「でもさ塔矢 そうすっと俺がお前を抱かなきゃなんないのかな。」

何を突然言い出すんだとばかりにアキラは噴出した。

「君は突拍子もない事を考えたんだね。」

「だって話の中じゃそうだったじゃないか。」

「じゃあ君は僕を抱けるのか?」

「えええ???でも その 俺 もしお前が子供を産むっていうならその・・・」

ヒカルの返答にアキラは満足そうにわらった。

「大丈夫だよヒカル。物語はきっと僕たちのために作られたんだ。これからの物語は二人で作っていけばいい。」

「そうだよな。」



そう・・・本当の物語は今ここからはじまろうとしているのだから。








「なんで俺たちの部屋に緒方先生がいんだよ。」

温泉から戻ってきた和谷が部屋に残っていた伊角に尋ねた。

「ほんまや。なんでこのおっさんが俺らの部屋でねてんねん!」

仮にもタイトルホルダーの緒方先生に社はおっさんっ呼ばわりとは・・。

苦笑しながら伊角が社と和谷に事の次第を説明する。

「なんでも同室の芦原さんに締め出されたらしくて部屋に泊めてくれって。緒方先生の頼みじゃ断れないだろ」

「そやかて・・俺らの布団占領せんでもええやん。」

見事に緒方は三人の布団に跨り大の字になって寝ていた。

「これじゃあ俺たちの寝る所ないよな。」

「三人で端に運ぼう。」

だが、緒方は3人がかりでもびくともしそうになく諦めようとした時・・。



「お前らまとめて俺のものにしてやるからな・・・」

緒方が言った寝言に三人が顔を見合わせた。

「先生今なんか言わなかったか?」

「いってた。俺のものがどうのこうのって・・・」

「でもおっさんえらい 幸せそうな寝顔やで。このままにしといたった方がええかもな。」

緒方の夢の中で・・・何があったかは三人とも知らない。いや、三人とも緒方の嫁にされた?など知らない方がいいのだ。



こうして男三人と1人の夜は暮れていった?




仕舞われた一冊の本。

それは冒険の物語とは少しほど遠い話だった。

それをアキラと読んでいたヒカル。

「剛親父が買って来た本なんだ。ちょっと変だろう?」

5月のこどもの日、普通なら詰碁集でも買ってくれるだろうと期待したヒカル。

しかしどう間違えたのか、おばちゃん根性で下のほうからそれをとっていたら違う本が混じっていた。

それが目の前の本。



「ラッピングの時点で気付けよな。親父も・・俺と同じで肝心な事が抜けているぜ。」

そして溜息をついたヒカルの肩をアキラは抱き寄せ、ペ−ジを捲る。

「でも・・アキラ王子はヒカル三蔵と目出度くゴ−ルインしたんだね。羨ましいな。」

内容はどうであれ、束縛も無い自由奔放な恋愛模様はアキラの理想だった。

自分達の関係は親に歓迎されていない。

寧ろ別れる事を期待されている。

「ねえ・・ヒカル。僕達は何時になったら・・」

「マイナス思考はいけないって。何時かこの作品のような結婚をしような。」

真っ赤になりながら、アキラを見詰めるヒカル。

そしてどちらからとも言えないキスを交わす。



彼らもまた未来に希望を乗せて・・



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最後流斗さんが書いてくれたのはうちのfirst loveシリーズのアキラとヒカルです。
リレー小説が面白いのはまず作者であると同時に自分も読者であるってことですよね。

読者の皆様にも楽しんでもらえたら幸いです。

                            再編集2011.10月 緋色