ご機嫌ななめのハニー02
光輝を見送った後、アキラはゆっくりとヒカルがいるであろうクローゼットに近づいた。
「ヒカル、そこにいるのだろう?」
中から返事はない。
やむなく扉に手をかけた時、内側からクローゼットが開いた。
「ヒカル!?」
「光輝のやつが教えたんだな。」
「光輝は悪くないんだ。」
アキラは今だクローゼットの中にいるヒカルの腕を掴んだ。
「な、離せよ。」
空いたもう片方の手でアキラを突き飛ばそうとしたが逆に左手も取られてヒカルは焦った。
「ヤめろ!!離せって、」
クローゼットから引き下ろすと余計にヒカルはアキラが腕の中で暴れた。
「ヒカル、聞いてくれないか。僕が悪かった。」
アキラの突然の謝罪の意味がわからずヒカルは首をかしげた。
「な・・に?ひょっとして精次から聞いた・・とか?」
はっきりと兄から聞いたわけじゃない。だが、アキラは見栄を切った。
「ああ・・・話は兄さんから聞いたよ。」
腕の中のヒカルの顔が急激に真っ赤に染まる。
「初めての時、君に薬を使って無理強いしたこと。」
ますますヒカルが紅潮して微かに震えてる。
光輝のことも含めて結果オーライだった・・・とは思う。
でも精次に『既成事実』などと妙なことを吹き込まれてその気になった自分も自分だった。
「精次のやつ・・・信じられねえ。絶対お前には言わねえって約束したのに・・・。
オレ佐為のところに帰えるわ。」
精次とそんな約束を取り付けていたとは知らずアキラの腕に力がこもる
「ダメだ。帰らせないよ。それって君が僕を好きだということだろう。」
「どうしてお前はいつも自分に良いように解釈して・・・。」
アキラはこれ以上論議を続けるつもりはなかった。 ヒカルをそのまま抱き上げた。
「ちょ、バカ下ろせよ。」
アキラはヒカルがどんなに暴れて、もがこうとも離さなかった。
ベッドルームまで連れて行って下ろすと逃げようとしたヒカルを組み敷いた。
「往生際が悪いな。だがそういう君も悪くない。
征服欲にかきたてられる。」
「バカ野郎、」
思いっきり蹴り上げようとした足をアキラは寸ででかわした。
「ヒカル、愛してるよ。」
耳元で囁かれたアキラの声も震えていた。
無理やり着ていたものを剥がされた。
破れるような勢いだった。
ほとんど全裸になった時、ようやく手を止めアキラはヒカルを
見下ろした。
羞恥に耐えられずアキラから視線をそらした。
アキラはヒカルの顎を掴むと視線を捕らえた。。
アキラの大きな瞳の中にヒカルがいる。
まるでアキラに囚われてしまったようで、ヒカルは逃げ場を探して
瞳を閉じた。。
その瞬間唇が塞がれ舌が進入した。
『あっ、』
アキラに飲み込まれた吐息。
心臓が止まりそうになる。
流されるのがいやで舌を嚙んでやろうと思ったのに出来なかった。。
逃げても捕まってしまうことはわかっていた。
舌を絡め取られ、唾液を吸われもっともっととアキラはヒカルの
の全てを求めているようだった。
どこかで・・・・。
焦らすことでもっとアキラに求められたいっていう欲求
がある。こんなことをされても感じてしまう自分。
こんなドス黒い心の中をアキラには知られたくなかった。
ようやく唇が開放された時にはすでに息はあがりヒカルのカラダも
反応していた。
そんなヒカルをアキラは満足そうに見下ろした後、
ぬめりとした液体をたっぷりとヒカルの体に落とした。
冷たさに驚いて震えたが、それはその時だけだった。
冷たいと感じた液体が熱に、熱さに変わる。
「なっ・・・何だよ、これ・・・。」
熱い・・・。液体を落とされた所からまるで熱を発しているようだ。
逃れるようにヒカルはカラダをよじった。
「薬じゃないよ。でもこういうのを使わないといけないんだ。」
アキラがその液体をたっぷりと手に取りヒラで馴染ませヒカルの体に滑らせる。
熱が・・・全身に広がっていく。
「あっ・・・・。シーツ汚れるだろ・・・。」
だいたいここは光輝の部屋で光輝のベッドだ。
3人で一緒に寝ることもままあっても・・・。
ヒカルが抗議してもアキラは笑っただけだった。
「構わない。光輝に見られてもいい。」
仲直りの最中だと言えばいい・・・ぬけぬけとそう言ったアキラをヒカルは心底憎らしいと思った。
なんでこんなサイテー野郎に惚れちまったんだろう。
アキラの指がすべり、隙間なく埋めていく。我慢できなくなって
ヒカルは嗚咽のような声をあげた。
そしてそこから生まれる熱にヒカルはうなされる。
もう自分でどうにかしてしまいたいぐらいに体が熱かった。
プライドを捨ててしまいそうになるのを必死に耐えた。
そうして下半身に滑らせたアキラのその指の行き先がわかってヒカルは
逃げるように体を捩じらせた。
だがその方がアキラには好都合だったようだ。
「あっ、」
液体の力を借りてするりと指が入っていく。
ウソだろう?いつもは指1本だって一苦労するのに?
痛みはないが異物の侵入が気持ち悪い。臓器への圧迫感で締め付けられそうになる。
なのに体の中で蠢く指が内壁に当たるとぎゅっと痙攣を起こして
感じてしまうのだ。
アキラの指の動きがそのまま伝わるほどに・・・。
「ああっ。」
熱さがカラダの内からも外からも発してその熱と痙攣とでどうにか
なりそうだった。 指を動かしながらヒカルの反応をみていたアキラは満足そうに笑った。
「すごく感じてるんだろう?」
違うというように顔を横に振った。
「ヒカル、もっと力を抜いて。」
一旦引き抜かれた指にヒカルは荒い呼吸をつぐ。
これ以上されたらどうなってしまうかわからなかった。
「アキラ、これ以上はもう無理。頼むから辞めてくれよ。」
悲鳴のようだった。
「お願いだって、頼むから・・。いつもみたいに口でしてやるから・・・。」
最後の方は消え入りそうで、泣いているのかと思うぐらいか細い声だった。
アキラは一瞬ぐらっと決心が傾きそうになったが、今日ばかりは譲歩するわけにいかなかった。
「すまない。でも今日はそれで終わらせたくないんだ。」
精次に相談したことも気に入らなかったし。何よりそんなことで悩んでいたことも気に入らなかった。
「何度も愛している」と言ったのに。
「どんな君も受け止めてみせる」と約束したのに・・・。
言葉で言ってわからないなら体に教えたらいい。
わがままかも知れないがそんなドス黒い愛情もヒカルに受け止めて
欲しいとアキラは思う。
再びあてがわれた液体と増やされた指にヒカルはますます
身をよじった。
嫌だ、嫌だと泣いてもアキラは辞めることはしなかった。
気を失ったヒカルをアキラは例えようもなく愛おしさを感じていた。
ヒカルの体を拭き汚れたシーツを交換したころ光輝が隣の
部屋に戻ってきた気配がした。
アキラがベッドルームから出ると光輝は清次と一緒に いた。
「お父さん、お母さんの具合どう?仲直りした?」
子供にこんな心配をかけてしまうなんて、とアキラは反省した。
「大丈夫だよ。お母さんはもう少し休んでた方がいいからそっとしておいてくれるかい?」
「うん、わかった。」
光輝はどっちに似たのか素直で気立てがいい。ヒカルもこれぐらい素直だったらやりやすかったろうにと思いながら光輝の頭をなでた。
そうしたら光輝は安心したのかおもちゃを取りに言った。
ニヤニヤ傍でいやらしい笑いを浮かべる緒方にアキラは言った。
「で、どうして精次兄さんがここにいるんです?」
「それはだ。光輝がお父さんとお母さんが心配だって言うから、一緒にきてやったんだ。」
面白おかしくいう精次にアキラはウソだろう・・と思ったが光輝のいる前では言えなかった。
「それで、仲直りはしたんだろう。」
露骨な物言いにアキラは顔をしかめた。
「ええ、おかげさまで。」
清次が声を潜める。
「ヒカルは初めての時、お前が薬を盛っていたことに気づいていたんだぜ。」
アキラはそれにはっとした。
「知ってて僕を受け入れたってことですか?」
「ああ、そうだな、」
それはつまり最初から・・・。 正直になれないヒカルらしいといえばヒカルらしい。
「ま、あいつにはアキラには絶対内緒にしていて欲しいって言われた
がな。」
そういうことか、とアキラは納得した。
そこで光輝がおもちゃ箱から何かみつけて戻ってきた。
「おとうさん、これ、」
手渡されたものは小さなリングだった。
それは佐為がヒカルの戒めの為に頭につけていたリングだった。
(いちよう西遊記な設定なので;)
「好きな人に指輪を渡すんだって、喧嘩をしても仲直りできるんだよ。」
どこでそんなことを聞いたのかわからなかったが光輝の好意を無駄にすることは出来ずアキラはそれを受け取った。
「ありがとう、
お母さんに必ず渡すよ。」
アキラはこのリングがヒカルの戒めになっていた事はこの時全くしらなかった。
「それで・・・。」
照れくさそうに光輝はポケットからもう一つ小さなリングを取り出した。
子供が持つには立派な宝石がついている。
「これはどうしたの?」
「精次おじさんにもらったの。」
いぶかしんで精次を見ると精次は鼻の下を伸ばして笑っていた。
「大人になったら光輝をオレの嫁さんにしてやるって約束したんだ。」
アキラは光輝から指輪を奪い取った。
「光輝は絶対には兄さんに渡しませんよ!!」
城内に地響きを起こすようなアキラの怒りがそのリングを破壊したのは言うまでもなかった。
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趣味に走ったお話を最後まで読んでくださってありがとうございます(汗)
えっと私にしては(Hシーン)頑張って書いた方だと思ったんですが、本番書いてなかった(滝汗;)
今回またこういった機会が出来て芹沢リオナさんに、またここを読んでくださった読者様に感謝です。
今後も私のアキヒカにお付き合いしてもらえたらこれ以上嬉しいことはないです。
ありがとうございました。 緋色

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