陽気な日の光が降り注ぐ。
芝の上に寝そべって俺と塔矢は他愛のない話をしていた。
「俺昨日 白雪姫の映画みたんだ。」
「君が?」
「俺が見ちゃ悪いかよ。」
「いや。僕もその映画見たんだ」
「それでさ・・・」
親父たちは遠征でいない。
今日は碁石も握ってはいない。
たまにはこんな日があってもいいよな。
「なあ 塔矢?」
返事がなくなった塔矢を俺は覗き込む。
すーすーと優しい寝息・・・
長い睫、さらさらと揺れる髪。
自分よりも大人っぽいと思っていた塔矢も
こうやって見えるとまだあどけないんだと思う。
「塔矢・・・」
間じかにある唇にドキドキする。
俺キスしてもいいかな。
意識した途端手の甲が汗ばんだ。
思わずズボンでごしごし拭いてみたりして。
いつもキスをする時は塔矢からされる事がほとんどで。
それは突然訪れて、
俺は何の準備もなく胸を ドキドキさせて余裕なんてなくって。
だから・・俺からしたっていいよな。
塔矢にキスをする言い訳をあれこれと考えてみる。
もう1度覗き込んだ塔矢の寝顔に唾をごくりと飲み込んだ。
キスしてえ。
昨日見た映画のワンシーン。王子様が眠るお姫さまにキス
してた場面が浮かぶ。
ドキドキする胸を押さえて俺は塔矢に顔を近づけた。
あと少し あとほんの少し・・・
触れるか 触れないかの距離で目を覚ました
塔矢と俺は目が合った。
俺は心臓が止まりそうなほど驚いた。
「あっえっと俺 その・・・」
自分のやましさを塔矢に知られてしまったようでどうして
良いのかわからず俯いた。
「進藤・・・」
俺の頬に手が伸びる。
塔矢の顔が近づいてきて俺はドキリとする。
それは唇の数センチ手前で止まった。
「とう・・・や」
どちらともなく唇が重なる。
俺の体も塔矢の体も微かに震えていた。
こんな気持ち俺だけじゃないんだ。
好きな人に想われることがこんなにも幸せなことなのだと
思う。
幼さすぎる二人はこの恋の行方を知らない。
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