ずっと ずっと何かを探して歩いた。
城で育ったアキラが1人でこんなにも
歩いた事はなく・・・
でもひたすら歩いてサンダルがつぶれ足から
血が滲み出してもアキラは歩き続けた。
父さま 母さま・・・・
父さまも母さまももういない。
それは子供心にわかっていた事だった。
それでも探さすには歩かずにはいられなかった。
自分を温かく抱きしめてくれるかあさんの腕。
父の大きな背中に焦がれ 会いたくてアキラは
碁森海を歩いた。
碁森海のどこかに住んでいる神様がきっと
会わせてくれると信じて・・。
どれほど歩いただろう。
アキラは自分の周りが一面真っ白になっている事に気づいた。
霧の中をそれでもただ歩きつづけると
突然見えない相手に腕を掴まれた。
「だ だれ?!」
霧がゆっくり晴れ渡る。
見たこともない程の美しい少年がそこにいた。
金の前髪 黒く澄んだ瞳 にアキラは釘づけになる。
彼はゆっくり掴んだアキラの腕を解いた。
「あなたは碁森海に住む神様?」
「俺が・・・?俺は神じゃないぜ。どちらかっていうと
その反対だな。」
反対・・・神の反対というと悪魔なのだろうか。
子供心にアキラは想像してみる。
だが、前にいる美しい人は悪魔には見えなかった。
「お前親を探しに来たんだ?」
何故この人にそんなことがわかったのかアキラには理解でき
なかったが取りあえずうなづいた。
「会わせてやろうか。」
「出来るの?」
「もちろん。できるぜ。」
そういってアキラの肩を掴んだ相手は少し遠い目をした。
「お前・・・死にたいのか。」
「そうすれば 父さまと母さまに会えるなら。」
「いいのか?」
「うん。」
死ぬと言う事がよくわからなかったが。
アキラは目を閉じその時が来るのを待った。
いつまでたっても訪れないそれにアキラは目を開けた。
相手はじっとアキラの顔を見つめていた。
「お前の名前はアキラっていうんだ。」
アキラはうなづいた。
「お兄ちゃんの名前は?」
「俺の名はヒカルだ。」
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