飽和水蒸気量の変化

05/9/4

地球温暖化が進むと何が変わるのか?

ここでは、飽和水蒸気量に注目してみたいと思います。

飽和水蒸気量とは、大気中に含むことの出来る水蒸気の最大量です。
身近なところでは、湿度に関係する値で、
飽和水蒸気量分の水蒸気を含んだ状態を湿度100%と言います。
湿度100%では、それ以上に水蒸気を含むことが出来ないため、
汗やコップに入れた水は蒸発していきません。
もちろん、洗濯物も乾かないということになります。

では、地球温暖化と飽和水蒸気量にはどのような関係があるのでしょうか?
下の図をご覧ください。


出典:理科2分野下 平成元年12月10日

これは、気温と飽和水蒸気量の関係を表したグラフです。
グラフが右肩上がりになっているのが分かると思います。
つまり、気温が上がると飽和水蒸気量が大きくなるのです。

飽和水蒸気量が大きくなると、大気中に含むことの出来る水蒸気の量が増えます。
このため、地上の水は大気に吸い上げられるようなかたちになります。
大気に吸い上げられた水蒸気は、風が吹けば簡単にどこかへ行ってしまうことになります。

地球上の平均気温は15℃だと言われていますが、
これが1℃上がるとどうなるか、計算してみましょう。
まず、飽和水蒸気量の変化を計算します。
15℃ での飽和水蒸気量 12.8g/m3
16℃ での飽和水蒸気量 13.6g/m3 との差を計算すると
13.6 [g/m3] − 12.8 [g/m3] = 0.8 [g/m3]
地球上の水蒸気は高度11kmまでの大気中(対流圏)に含まれていますから、
先ほど求めた飽和水蒸気量の変化量に高さを掛けると、
0.8 [g/m3] × 11000 [m] = 8800 [g/m2]
そうです、これが1℃の気温上昇で大気中に含むことの出来る水蒸気の量なのです。
2リットルのペットボトルで約4本分の水が大気に奪われることになります。
(注:地表面積1m2あたりの話)

地球の表面積を5.1×1014m2として、
地球全体での大気に含まれる水の増加分を計算すると
8800 [g/m2] × 5.1×1014 [m2] = 44880×1014 [g]
約45000億トンもの水が大気中に逃げることになります。
これだけの水が地球上を行ったり来たり出来るようになるわけです。

雨のよく降る場所(地形)では、これまで以上の雨量になったり、
雨の降りにくい場所(地形)では、さらに乾燥しやすくなるわけです。
これが地球温暖化による気候変動なのです。

もちろん、こんな単純な計算では気候変動は予測できません。
地表に比べ上空の気温は低いです。
平均気温はあくまで平均値であって、
気温は地域、季節、時間などによっても違ってきます。

しかし、地球温暖化が大きな危険をはらんでいる事を理解してください。
たかが1℃、されど1℃ なのです。





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